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映画「化け猫あんずちゃん」を観た感想

ネタバレしているのでまだ映画を観ていない方は観てからお越しください。

(個人的な記録;8月15日木曜日グランドシネマズで8時15分上映を鑑賞。ここではこの日のこの一回が最終の上映だったので慌てて見に行った)

以下感想。




まず率直な感想。
お母さんの扱いに納得がいかなくて終盤ずっともやもやしていたし終わってからもずっともやもやした。
話の内容としてはざっくり言えば…あの、うん本当に個人的な感想ですよ?個人的に感じたのはトトロと千と千尋を掛け合わせたような物語だったかな、と思った。王道といえば王道なんだけど、
けど、化け猫あんずちゃんにしかない要素がたくさんあってそこはすっごく面白かったです。
かりんちゃんの心情、心の動きというものに対して忠実で、どうして彼女がそんなことをするのかっていう理由が明確で良かった。

お母さんについて
まずお母さんがなぜ地獄にいたのか、については
生前なにかしらやらかしているんだろうな、と想像することはできるんですけども。地獄を抜け出した罪に対して同情も猶予も事情聴取も一切無く
ただただ断罪する閻魔大王なんなんですかね。まぁ、一応大王なんで話なんか聞かなくても全て理解しているのかもしれないですが「覚悟はあるのか」しか聞かないし何回聞くんだよお前!!なんでお母さんがきつい罰を受けることを強く何度も強調するんですかね?これ子供にとってはすんごくつらい映画だと思います。
もやもやしすぎてこのお母さんの扱いについてネット検索してしまったんですが閻魔大王、というかお母さんの扱いについて憤慨している方はちらほらいらっしゃったのでぼくだけじゃなかった、ってちょっと安心しました。

で、少し逸れますがお母さんがなぜ地獄にいたのか、についてすごく面白い考察がありましたので貼っておきます。これは納得できるなって思いました。


映画の中では何も語られていないので想像するしかなく、何が正解ってこともないんですけど、でもこの考察にはものすごくしっくりきたなあっていう感じがしました。うん。
で、ごめんもうちょっと愚痴らせて欲しい(くどい)
お母さんが人間界に来てしまったのは娘のかりんが無理やり?手を引っ張って地獄から出してまったわけで、
まぁ、お母さんはかりんの手を振り切ることはできたはずではあるんですけども、うん、でも地獄を出たのはお母さんのせいじゃなくね?って思うじゃないですか。そういう感想を持ってしまうのはぼくが子供っぽいからかもしれないんですけれども。そう。かりんが連れ出したのになんでお母さんが罰を受けなければならないんだ???っていう率直な疑問を持ちました。さっきもいいましたけど、お母さんの罪だけがものすごく強調されているんですよね。お母さんだけが罰を受けるということをものすごく強調されている。それに対してかりんは何も罪悪感を感じていないことにももやもやしました。かりんはお母さんと一緒に地獄にいくつもりだったのかもしれないですけど“お母さんが地獄でひどいことされる”というものに対するリアクションが一切なかったですよね(もしかしてぼくなにか見落としてます…?)
お母さんはあわよくばかりんと一緒にいたいという気持ちはあったのかもしれないんですけれども、でもそれって母親として当然のことなわけじゃないですか。そこに釈明とか猶予とか何もなくただただ罰を受けろ!みたいな感じ、
家族の愛に対して何の配慮もないというか。地獄の住人閻魔大王だから一ミリも許してくれないってことなんですか。うーーーーん。お母さん一人にすべてを背負わせてしまっているのかなんだかうーーーーーーーん。
お母さんが死んだ理由は作中不明ですけども、個人的に考えたのは自殺というパターンもあるのかなと思いました。自分を殺しているけど他人を殺していないから地獄にはいるけど清掃員として働かされているのかな、とか思ったりした。そうなると娘を残して先に死んでしまった罪、みたいなものをメタ的に閻魔大王が投げかけている、ていうこともありえるのかなぁ。
あぁもう何度でもいいたいんですけど、お母さんに対する扱いに納得が行かなかったです。これからお母さんがひどいことされるのは明確ですよね。本当にひどい。


面白かったところ
地獄について
散々愚痴りましたが面白いところの方が多かったです。
鬼がカエルたちに暴力振るうのも本当にひどくて。お母さんにたいする暴力とは対照的にそこは逆にありだな、と思った。これまでのほのぼの、ゆるゆるとしたかわいくって癒やし系のキャラ達が鬼たちにむごいことをされるっていうのがもう本当に怖かったですよね。ギャップがすごすぎて恐怖だった。リアルで言えばくまモンの内臓引きずり出すぐらいのギャップですよ()おぞましさがものすごくて、そこはやられたなあっていう感じはしました。
地獄って怖いんだって言うのを子供に、まじまじと感じさせられる表現だったんじゃないかなかとは思います。「地獄=怖いもの」という、子供に対する教育としてそういう物語をこう押し付けてくる感じはちょっと嫌だなって個人的には思いました。子育てをしたことがないやつがとやかく言うことではないかもしれないですけど。地獄っていうワードっていうのは教育には便利で必要なのなのだとしたらこのアニメはものすごく効果的かもしれないと思いましたね。もちろん受けとる子供次第ではありますが。
鬼たちに追いかけられてる最中、お父さんの実家につけばお寺だからそこまで頑張れば読経とかで追い払ってくれるのでは?その方法しかなくね?って思ってたけどぼくの凡庸な想像を裏切る結果だったのは良かった。

あんずちゃんとかりんについて
アニメーションがとにかくすごい。なんかあんずちゃんがもちもちふわふわしていて見ているだけで気持ちが良かった。
あんずちゃんは37歳のおっさんらしいですがあの落ち着きが貫禄がありすぎてもう60代ぐらいだとぼくは感じました。
かりんちゃんのお父さんは借金して家賃も払えなくなって借金取りに追われて
実家のお寺に戻ってきた訳なんですけども、かりんちゃんにとっては田舎ってのは異世界で、そういう意味ではあんずちゃんが存在することというか、田舎に行くこと自体が異世界なわけであって、その気持ちめちゃくちゃわかるなぁと思った。ぼくは田舎の育ちなので都会に行ったとき別世界だなって思いました。そういう世界観が化け猫としてのあんずちゃんに現れているのかなって思いました。だからその異世界の中の人達にとってはあんずちゃんは普通なんですけども、やっぱりかりんちゃんから見たら異世界の住人に見えるっていうのをメタ的に描かれているのかな。
かりんちゃんがどんどん異世界に堕ちていく感じが面白かったですね。都会から田舎に落ちて、田舎から都会に戻ろうとするんですけどもやっぱ子供の力だけでは都会には戻れなくて穴に落ちて、
そこを異世界の住人のカエルに助けられて
で、かりんちゃんは温泉に入って「極楽だ」っていうんですよ。あとから思い返してそれすっごく面白いなって思って。かりちゃんは穴に落ちたんですけど、落ちた先は極楽だったわけですよ。かりんちゃんにとって。なぜならかりんちゃんは生きているから。穴に落ちたときかりんちゃんが死んでたら、あんずちゃんの自転車を川に落っことした罪で地獄に行ってると思うんです。でもかりんちゃん生きてるから、生きているからこそ極楽に入れたんだなって
。かりんちゃんがもがきはじめたところから展開がコロコロ回り始めて、回りはじめてからのスピードがジェットコースターみたいでほんとにおもしろかった。

あんずちゃんはかりんちゃんのお父さんの分身のようでもあったし、もうひとりのかりんちゃんのような存在として描かれていているのも良かったです。
パチンコでかりんちゃんのお金使ったり、バイク免停になって職を失ったり、てつおもそんな感じで借金取りに追われているんだろうな、っていう想像をさせてくれる感じも良かった。
かりんちゃんは寂しさのあまり他人の自転車蹴り飛ばしたりとか、あんずちゃんの自転車落っことしたりとかしてしまうんですが。お父さんはお母さんの命日に帰ってこないし、電話も出なくて、都会に戻ってもお父さんが見つからず、寂しさを埋めるために塾の友達の男の子に会いに行き。「どこか連れてって」って、もう家出少女というか、その男の子と一緒になろうとするような、解釈の仕様によってはすごいませた話なんですけど男の子には断られてしまい。それで最終手段でお母さんに会いたいって…まあそりゃそうですよね。今生きてる人間界の中に頼れる人誰もいなくなっちゃったんですから。お父さんの実家の寺の住職なんかかりんちゃんのことほとんどほったらかしだし。お母さんに会いたいなって思うのは必然ですよね。かりんちゃんの寂しさがすごく伝わってきたな。
貧乏神に頼んで地獄に入れてもらうところとか、展開が急にコロコロ変わりはじめたのは面白かったですよね。正直序盤から中盤まで正直、こんなゆるいのがずっと続くんか…って思ったんですけど、あんずちゃんがパチンコ行って自転車がなくなったところ、あんずちゃんのリアクションがものすごくリアルでそこめちゃくちゃ面白かった。自転車がない!っていう感じがものすごくリアルでめちゃくちゃよかったですね、あそこめちゃくちゃ良かったです。めっちゃ良かったですそれしか言えねえ。森山未來さんめちゃ良かった。
うん。で、そこからあずちゃんも初めて殺意剥き出しの、すんごい怒っててあそこも面白かったですね。かりんちゃんがやったんだってことがあとでわかるんですけども。そうそう、かりんちゃんっていつも周りにいいい顔して猫かぶってるのに、ほんとの本音を言えたのってあんずちゃんだけなんですよね。あんずちゃんがカエルたちを家に呼んで終わって片付けをしているときに、あんずちゃんとかりんちゃん喧嘩するんです。あんずちゃんが「お前嘘つきだ」って言って何回も言うんです。かりんちゃんのことちゃんと見て、それをちゃんと言ってくれたのはあんずちゃんだけだったんじゃないかなと思った。だからかりんちゃんもあんずちゃんに対して本音で話せたんだろうなって思ったし。
かりんちゃんのそういうところを知ったからあんずちゃんは地獄連れてってくれたんだろうなって思う。たぶんあんずちゃんって地獄行くの断固反対するキャラだと思うんですよ本来。だけどかりんちゃんが意地悪したり穴に落ちてまで何かしようとしているのを見てしゃーなし東京行くか、と思っただろうし、地獄にも連れてってあげようと思ったと思うんです。知らんけど。
地獄の住人たちに追いかけられてる時にあんずちゃんがかばってくれるというか、守ってくれるじゃないですか、めちゃくちゃよかった。地獄を敵に回してでも守ってくれるってめちゃくちゃいいやつじゃないですか。地獄敵に回すとかマジで嫌じゃないですか、絶対嫌じゃないですか。だけどかりんちゃんの手を握るっていう、うん、一緒に地獄に落ちてくれるあんずちゃんまじで信頼できると思った。かりんちゃんもすごい罪な奴だなって思うんですけどね。かりんちゃんは人に悪いことさせてしまう不思議な力があるんだなと、、自転車落とさせたりね地獄の住人怒らせたりとかね……。本当に罪なやつですよ。だけどそういう悪いことしてるっていうのはちゃんと理由があるっていうことを、ぼくたちは背景読み取るべきなんですよね。いい子に見えても心の中に寂しさを抱えているかりんちゃんの背景を。そこで手をとってくれるあんずちゃんみたいな人がいたらどんなに救われるだろうねって思いました。

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