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【一汁一菜】平日の夕食をご飯と味噌汁固定で一週間過ごしてみた

一汁一菜。
ご飯と味噌汁とおかず(基本的に漬物)の食事。

2016年に出版された、土井善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」は多くの悩める家庭料理人を救った……というのはもうあちこちで語り尽くされていると思うから、まず、私と一汁一菜との出会いについて書きます。

私が「一汁一菜」を知ったのは「一汁一菜でよいという提案」ではなく、「おかずのクッキング」(後に「一汁一菜でよいという提案」も読みました)。私が中学生のときから親が買ってきていて、私の料理の基礎を鍛えてくれた「おかずのクッキング」。


家には「おかずのクッキング」バックナンバーが10年以上ある

そちらで組まれた特集で「一汁一菜」を知ったのだけど、それはちょうど20歳になるかならないかの大学生のとき。まだまだ食べ盛りだし、先入観があったから、
「エーー」
って思ったけど、
社会人になって料理できる時間がなくなったり、お腹が気になりだして食を見直すようになってからは、
「オーーッ」
となりました。

だって、ご飯、おかず(それも、肉や魚をご飯が進むように調理したもの)、そしてサブの味噌汁、みたいな感覚があったものだから、最初は理解不能でした。おかずがないと耐えられない。ご飯を食べられない。

でも、社会人になって夜帰るのが遅くなり、食って寝るだけみたいな時期が訪れると、その「おかずがないと」という思考が、かえって自分を縛っていたことに気づいたのです。

一見ストイックに見える一汁一菜。自分には無理だと思ってたけど、実際にやってみると真逆。むしろ自分を縛っていた思考からの解放。だんだんと一汁一菜に魅せられていきました。

とある日のベーコン、ナス、ほうれん草の味噌汁

今は28歳になりたての冬。だいたい2年前ぐらいから、徐々に一汁一菜を取り入れ始め、今年、とうとう夕食の基本を「一汁一菜」にしました。
冷蔵庫との兼ね合いもあるけど、まずは味噌汁を作るかどうかを最優先で検討。あとはご飯と漬物or佃煮の食事。

これまでは、冷蔵庫を見て5秒悩んだら「味噌汁とご飯にしよう」ぐらいの感覚で、毎日はやっていなかったのですが、とある経験から、基本を一汁一菜に置くことにしました。

というのも、機会があったので、一週間の平日の夕食を一汁一菜に固定(イチが多いな)して過ごしてみたのです。するとこれまでの一汁一菜で得た経験から、また一皮剥けたような感覚がありました。今回はそれについて語っていこうと思います。


一応、証拠?のGoogleフォト画面

前から感じていたこと


呼吸が深くなる

味噌汁を飲むと、心が落ち着く。
そんなことはありませんか?もはや日本人のDNAに組み込まれている味噌汁への安心感。

ついつい肩に力が入ってしまう現代だけど、味噌汁を一口飲めば、呼吸が深くなり、ふっと肩を撫でおろし、心が落ち着く。人生がドンと地に足ついたものになる。

私は味噌汁を飲む度、緊張から解き放たれてリラックスすることができています。まさに味噌汁セラピー。

食べた後のスッキリ感

味噌汁の具材は基本的に野菜。それをご飯と合わせて腹八分目ぐらいまでしっかり食べます。
すると、食べた後もスッキリ。
味噌汁を飲むと、「いいもん食ったな」って思うし、身体が喜ぶというか、身体がすっかりそれを歓迎しているような感覚をおぼえるのです。

一汁一菜の食事なら、味の濃いものや外食をしたときに感じる、腹の中、そしてノドのあたりに澱のようなものがドスンと溜まる感覚が全くない。
身体が落ち着くから、夜の趣味の時間もゆったり過ごせます(だいたい夜はゲームだけど)。

また、翌日のお通じもスッキリ。朝を清々しく迎えられます。

冷蔵庫のお掃除

味噌汁にはだいたいなんでも入ります。
私は以前ブログでレシピをいっぱい書いていたんですが、計量を割としっかりしていたので、野菜の端材が余りがちでした。
それを味噌汁に入れて、一気に食べてしまう。一気に冷蔵庫が片付きます。

味噌汁定番のナスや、小松菜、ほうれん草だけでなく、トマト、じゃがいも、ズッキーニ、ブロッコリー、ピーマンなんかもどんどん入れます。
たまにオリーブオイルを垂らしてちょっと洋な風を吹かせてみたり。

色んな野菜を受け入れる懐の深さに感動。

味噌のパワーでご飯が進む

味噌汁の味付けは、ダシと味噌だけにしています。
私が使うダシは専ら煮干し。そのまま具として食べられて、ダシがらの処理に困りません。
たまにがっつり味付けする味噌汁には「ほんだし」も使います。

あとは味噌が味を調えてくれます。

トマトとズッキーニの味噌汁(オリーブ油、胡椒掛け)

すると、さっき挙げたトマト、じゃがいも、ズッキーニ、ブロッコリーなんかも、味噌汁にしてしまえばすっかりご飯のおかず。不思議や不思議、ご飯が進むのです。
味噌汁はただの汁物にあらず。具材をこんもり入れれば、しっかりご飯のおかず兼、汁物。
「ご飯が進むメインのおかずがないと!」という感覚はすっかりなくなりました。

この1週間で変わった感覚

最後の砦から生活の基盤へ


昔の私は5秒悩んだら味噌汁と決めていた

私の中での一汁一菜は、これまで冷蔵庫を見て5秒悩んだら実践する、献立の最後の砦でした。
レシピに悩んでも、これを食べておけば食事として間違いない最後の砦。
それがあるだけでも、生活の中での安心感は格段に増していました。

その安心感が、1週間の平日、一汁一菜を続けてみたところ、生活に芯が一本通ったような感覚へと変化。もはや生活の基盤。基礎も基礎として自分の中に根を下ろしたのです。

最近、2年続けたブログに色々あって、落ち込む日が続いていましたが、一汁一菜の食事をしっかり摂れていれば、「とりあえず生きていけるな」と思えました。

その後、徐々に戻ったメンタルの中、読書に熱中できているのも一汁一菜のおかげ。食べるものが決まっているから、ほかに考えることはありません。あるとすれば、味噌汁の具と使う味噌の種類だけを考えるだけ。すっかり暗くなってから、「ウワー……、ご飯作んなきゃ」とストレスを溜めることはありません。
だから一つのことに集中できます。

「生」に直結する食事の型をしっかり整えることで、今やりたいことに集中できるようになりました。なんだか、これって「禅」にも通ずるところがあるのではないかと思い始め、最近禅と食にまつわる本をよく読むように。
私の中で、ますます生活の基盤としての一汁一菜が固められつつあります。

人には勧められないかもしれない

一週間連続で夕食を一汁一菜にしてみて、慣らし期間がもう何年ぶんもあった私としては何ら不都合は感じませんでしたが、これをいきなりやれって言われたら無理ですね。

ひもじさを感じるかもしれないし、貧乏くささを感じるかもしれない。
一汁一菜を始めるには最初かなりエネルギーを使う気がします。それも、知的なエネルギー。
これまでの食に対する自分の価値観を一度棄却し、「足るを知る」であったり、「侘び」的価値観にシフトしていかないといけない。

そんな価値観の転換を他人に迫るのは憚られるなと、この一週間で思うようになりました。
だから「一汁一菜」について他人に話すときは、「私はいいと思っているから習慣にしてるけど、まぁ、実践するのは大変だし、興味があるならちょっとずつね」ぐらいの温度感。ぬるめ37℃。自分の中では熱々45℃。

1週間の味噌汁ダイアリー

では、とある一週間の夕食の味噌汁をご紹介。11月中旬です。

月曜日:カブ(葉も)と豚肉、油揚げの味噌汁


カブの千枚漬けを作った余りのカブと、大容量パックの余りの豚肉、油揚げを入れた味噌汁で一週間をスタート。
カブの、大根と違う歯ざわり、甘み、爽やかな印象が嬉しい。爽やかといっても、夏ではなく、冬に似つかわしい爽やかさ。

火曜日:白菜、小松菜、人参と豚肉の味噌汁


半端に余っていた白菜、これまた余っていた豚肉、余っていたから細く切って冷凍していた人参を入れた味噌汁。
ご飯は新生姜と油揚げの炊き込みご飯。

前日に漬けた千枚漬けも登場。漬物枠としてしばらく出突っ張りになります。

水曜日:ほうれん草と落とし卵の味噌汁(ネギ入り)


珍しく七味を振る

ほうれん草といえばやっぱり卵。トロっと黄身が溶けた味噌汁の濃厚な旨みといったら……もう堪えられない。
新生姜ご飯もしばらく続きます。ご飯自体におかず要素があればさらに満足。

木曜日:トマト、ワカメ、玉ねぎと麩の味噌汁


トマトからもダシが出るから大好物のトマト味噌汁。
ジュワジュワに味が染みた麩が旨い。

この日のトマトは赤々として美味しそうだったから、1/4個ぐらい、冷やしトマトとして頂きました。さすがに旬には及ばないけど、美味しかった。
歯にジュンと染みる冷たさと、あったか味噌汁とのコントラスト。

金曜日:野菜炒め味噌汁(キャベツ・人参・ピーマン)


キャベツの味噌汁は青臭さが気になるので、油で炒めるか、油揚げを一緒に入れることにしてます。
ピーマンはしっかり焼き目をつけるのがポイント。甘みも香りも際立つから、ピーマンと油はやっぱりマブダチ。水魚の交わりならぬ、油唐の交わり。

その後も……

ほうれん草と厚揚げの味噌汁

厚揚げは焼き目をつけてから味噌汁に入れます。

ブロッコリーとじゃがいもの味噌汁

ブロッコリーもしっかり焼き目をつけると旨い。
芯のホクホク、花蕾のジュワジュワ、ホグホグ。
オリーブオイルを垂らしてさらに風味よく。

小松菜、人参、ワカメの味噌汁withチャーハン

松屋のカレーと味噌汁がアリなら、チャーハンと味噌汁でもいいでしょう?という感じ。
昼食なので、チャーハンは簡単豚の生姜焼きを載せてガッツリと。

味噌汁の作り方

ここからさらに書くと長くなるので別記事へ。
一汁一菜を続けるために、味噌汁を作るときのマイルールを3つほど決めました。
これがあれば、失敗知らず、飽き知らず。

よくあるかもしれない質問

ご飯と味噌汁とちょっとのおかずで足りるの?

―私は足りてます。というか足りるように身体を馴染ませたというか……
ただし、味噌汁は2杯分作っておかわりしています。
ご飯1杯と味噌汁2杯が私にとって丁度よいみたい。
あまりに味噌汁が美味しくてご飯をちょっぴりおかわり……なんてこともありますけどね。

飽きないの?

―具材をコロコロ替えるので飽きません。一週間のうちに同じ野菜が回ってきても、具材が1つでも違っていれば、味が変わります。
また、旬か、はしりか、なごり物かでも味が変わります。旬の野菜の機微を感じることができるので、毎回味の違いに驚きます。

目にも麗しいとろ~り、じゅわじゅわ、濃厚な味の料理は放っておいても美味しさが向こうからやってきますが、味噌汁には、味を探しにゆく探検の喜びがあります。

また、長く続けたいなら、味噌を2~3種用意すればさらにバリエーションは増えます。私は合わせ味噌と赤味噌を用意してます。今欲しいのは麦みそ。

あと、どうしてもガッツリ食べたい……ってときは具を油で焼くor炒めてから入れます。一気にジャンキー感、ご飯のおかず感が倍増します。
ただし、いつもそれだとかえって飽きるので、切り札的に油を入れます。

味噌汁一つとっても、色んな手札があると飽きません。

あと、昼はラーメンとか、カレーとかパスタとか、色々食べてます!

どんな人に向いてる?

―デスクワークの方、お腹が気になる方、野菜をたっぷり食べたい方、あとはミニマリズムに関心のある方が向いていると思います。
実際にミニマリストの方が一汁一菜を実践されているのを見かけます。

身体を動かす職業の方は、タンパク質のしっかり摂れるおかずを用意する、お肉や魚、卵を味噌汁に入れるなど工夫したほうがいいでしょう。そのあたりはご自身の体調、ご職業、そしてパートナー、ご家族とご相談ください。

私は自分一人の食事の時にやっているので好きにしていますが、食の価値観はそれぞれ。他人に無理に押し付けるものではありません。

ここまで読んでくれたあなたへ

正直、この一汁一菜生活は一人ならまだしも、ご家族、パートナーなど共に食卓を囲む方がいらっしゃる場合、理解を得るのが大変ですし、実践するのがむつかしいと思います。

ただ、少しでも食生活を見直したいだとか、ごちそう疲れ(食べるのも、作るのも)しているだとか、引っ掛かる部分があれば、こういう生活もアリなんだ、と心に留めておいてくれれば幸いです。

リンク集

↓私が2年間運営しているブログ。スパイス料理、スパイスカレーのレシピがたくさんあります。
料理の撮影後、余ったら夕食に充てていたので、一汁一菜が毎日できなかった、というのもあります。

↓スパイス料理の中でも、スリランカ料理って、かつお節(現地ではモルディブフィッシュ)を使ったり、あっさり、スッキリとした味付けなので、日本人の舌によく合うと思います。


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