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189 湧水に恵まれた伊豆の一宮がある町・三島の冬の朝を歩く

12月25日の朝は静岡県三島市で迎えました。旅先で迎えるメリークリスマス。

富士の裾野に開けた三島は「湧水の街」と言われています。富士山の噴火の際に流れ出た三島溶岩流が地下で水を通し、この街のいたるところで湧き出ているのです。

このように駅の前からせせらぎが流れ、湧水が湧き出ています。いかに三島が水に恵まれた町であるかを物語っています。

今回は三島駅から水の町・三島を感じながら三嶋大社まで散歩することにしました。この日は天気はとてもよかったですが朝はキンと冷えていました。

道中にある白滝公園は市民の憩いの場になっています。ところどころに溶岩が見えていて、かつて富士山から流れ出た三島溶岩流の姿を垣間見ることができます。

その溶岩流を伝ってこの地まで来た伏流水が白滝のように湧き出たことからこの名がつきました。いまでもこの公園では富士や箱根から流れてきた水が湧き出ています。

白滝公園の脇を流れる桜川からは霧が立ち上っていました。寒い朝、水温より大気の温度の方が低いとこのような蒸気霧が現れます。「けあらし」なのかな、と思いましたがけあらしは海から立ち上る蒸気霧にしか使われない言葉だそうで、川や湖沼の場合は単に蒸気霧と呼ぶようです。朝陽に霧が照らされてなんとも幻想的な光景。街中の川でこのような現象を見たのは初めてで感動しました。

そんな霧の立ち上る桜川に沿って歩いていきます。ここは遊歩道になっていて三島を舞台にした文学作品の一部を彫った石碑がところどころ並んでいます。

美しい富士山をすぐそばで眺められ、海にも山にも温泉にも恵まれた伊豆地方の玄関口であるこの地には多くの文壇が集まり、当時の街の様子を書き記してきました。

三島駅から歩いてくる場合、こちらの西門が便利です。

そんな石碑を眺めながら川沿いをしばらく歩けば三島のシンボルともいえる三嶋大社に到着します。伊豆諸島の尊称である「御島(みしま)」がその名の由来であり、伊豆諸島の開拓神を主祭神として祀っています。

朝の神社は掃除をしている職員の方がいるほかはひっそりとしていました。お札やお守りの販売所の臨時看板がすでに建てられています。1週間後のお正月にはこの静けさが考えられないほどの人で埋め尽くされるのでしょう。神社は既に初詣の参拝客を出迎える準備が着々と進んでいます。

神社では今年も無事に旅をすることができたことのお礼と、来年も平和裏に過ごすことができるように祈願しました。この本殿は江戸末期に建てられたもので平成12年に国の重要文化財に指定されている貴重なものです。

大鳥居近くの神池に浮かぶ小島にあるのが厳島神社。広島から北条政子が勧請し、篤く信仰したと言われています。なお、三嶋大社には北条政子が奉納したとされる化粧箱、国宝「梅蒔絵手箱」もあり、北条家とも縁が深かったようです。

神社の南端にある大鳥居から出て一礼してから神社を去ります。三島駅からどんどん南に歩いてきてここに着いたのですが、ここから三島駅には戻らずさらに南へ。

7,8分も歩くと伊豆箱根鉄道の三島田町駅に到着しました。ここが散歩のゴールです。副駅名が「三嶋大社前」となっているとおり、神社へはJR三島駅から歩くよりもここからの方が近いです。

ただ、水の町・三島を感じて散歩しながら行けばJR三島駅からの道のりも全く苦にならず、むしろ楽しいものになりました。

もしお近くの方で今年の初詣、どこに行くか迷われている方がいたらJR三島駅から歩いて三嶋大社まで出かけてみてはいかがでしょうか。


こちらは三島駅の新幹線ホームから見た夕方の光景。東横インが思い切り視界に入りますが、雪化粧をした富士山がとてもきれいでした。

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