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漫画「ラーメン発見伝」を知っているか

ラーメン発見伝という漫画を最近読み始めた。というのもお笑いコンビ「春とヒコーキ」のぐんぴぃ(通称 バキ童)がラジオで紹介していたからだ。
最近よくバナー広告でも出てくるのでなんとなく知っている人も多いと思う。

バナー広告に出てくるシーン


ラーメン発見伝」はタイトルの通り料理漫画で、ラーメン屋を開くことを夢見るサラリーマンの藤本が、その道の料理人や業務を通して知識を蓄え、修行していくストーリーである。
1999年〜2009年までビッグコミックスペリオールで連載しており、続編の「らーめん才遊記」は2009年〜2014年連載、更に続編の「らーめん再遊記」は2020年から現在も連載中である。それぞれ主役は異なるが、シリーズとして連続したストーリーとなっている。

ドラマ化もされており、「ラーメン発見伝」はTOKIO国分太一主演日本テレビにて、「らーめん才遊記」は鈴木京香&黒島結菜主演テレビ東京にて放送された。(ドラマの方は原作と異なる点も多く、割愛。)


この漫画シリーズのウリは、「いかにして美味しいラーメンを作るか」というだけでなく、「いかにして飲食店を経営していくか」というところに主眼がおいてある点である。
特に続編についてはフードコンサルティング事業が主軸となっていくのでその傾向が強い。


自分が特に好きなエピソードを紹介したい。

①本物を売るために偽物を売る話

出典(ラーメン発見伝 第7杯)

ラーメン屋開業を目指す藤本は、行列店であるらあめん清流房へ訪れた。清流房は珍しい鮎の煮干しスープが売りで、「濃口」と「淡口」のニ種類のラーメンを提供している。

ラーメン発見伝第7杯より


店では「濃口」が売れており藤本も「濃口」を食べたのだが、牛脂の香りが強烈過ぎて鮎の風味がまったくないことに気づき、その時たまたま取材に来ていたテレビの前でもその欠点を発言してしまう。
たちまち炎上してしまい、清流房の店長芹沢と言い争いになるが、ここで放った芹沢の話が印象的だった。

元々清流房では「淡口」のみを提供していた。「淡口」は鮎の風味が効いた本当に美味しいラーメンだったが、なぜか売れなかった。そこで芹沢は舌の分からない鈍感な客向けに脂っこい牛脂が入った「濃口」を提供し始めた。その結果、店は繁盛しどんどん支店を拡大して行くことになった。本物の「淡口」ラーメンを続けていくために偽物の「濃口」ラーメンを売る手法を取ったのだ。

一方で店では、脂っぽい「濃口」では「鮎の風味」はほとんど感じられないのに、「鮎の煮干しスープ」という情報を全面に押し出すことで、「濃口」を食べた客までも「鮎の風味」がすると錯覚させていた。
つまり味覚の鈍い一般の客は、自分の舌で味わっているのではなくあくまで「情報を食っている」だけに過ぎないのだ。

有名なラーメンハゲこと芹沢

このエピソードを見てハッとした。
おそらく僕らも普段の生活で「情報」に飲み込まれて錯覚させられているかもしれない。「かき氷は実はどの味も同じ味のシロップ」というのも近い話なのかもしれない。

そして店を継続させていくためには、意図して万人受けする「偽物」を売ることも必要というところは衝撃だった。
しかしここには頷ける点もある。音楽業界もお笑い業界も「自分が本当にやりたいこと」を実現するためには、まずは売れて安定的収入を得ることが先決である。
今ではハードロックバンドとしての地位を確立したB'zも、デビュー当初はまず売れることを目標としてダンサンブルでポップなシングルを発売し、大きなファンベースを獲得することに成功した。

現実と理想の両立の仕方は本当に勉強になった。


②レシピ通りにラーメンを作っても何故か美味しくならない話

出典 ラーメン発見伝 第9杯

東京にはかつてラーメン好きに愛された秋来軒という店があったが、店長の急死により15年前に閉店してしまった。
その味を継ぐため一人息子の伸一が秋来軒を復活させ、昔なじみのお客さんにラーメンを試食してもらうことにした。
しかし、父の残したレシピ通りにラーメンを作りお客さんに食べてもらったのだが、評判はイマイチで先代の味には及ばないと言われてしまう。

ラーメン発見伝 第9杯より

店を救うために藤本も協力し、「レシピのミス」を探すが見当たらない。いくらレシピ通りに作っても、何故か美味しくないラーメンができてしまうのだ。

そして藤本は一つの結論に達する。「このラーメンのレシピはそもそも美味しくない」ということだったのだ。だからレシピ通りに作っても上手くならないのである。
この15年の間にラーメンは大きく進化しており、従来のレシピでは古ぼけたまずいラーメンにしかならない。15年前であればこの味でも勝負できたが、日本人の味覚が変わってしまっていたのだ。


③その他

他にもたくさん面白い話がある。さっと羅列すると、
・夫の味(ラーメン発見伝)
・日本台湾麺対決(ラーメン発見伝)
・奥様は食いしん坊(らーめん才遊記)
・グリストラップ(らーめん才遊記)
・酒ラーメン(らーめん再遊記)
・支店が必ず2年で潰れる話(らーめん再遊記)
・ラーメン自販機対決(らーめん才遊記)

なお、ストーリーズが進めば進むほどギャグが増えており、最新のらーめん再遊記では芹沢がプロレスボケをいれたりもしている。

ピッコマなど、多くの漫画サイトで読めるので気になった方はぜひ読んでみてほしい。

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