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発音向上のためにやってきたこと(スピーチコンテスト出場を通して)

中国語を学習するにあたり、これまで本当に多くの人に支えてもらいました。このご恩をお返しするにはどうしたら良いか考えたときに、自分の経験を話すことで、私と同じような中国語学習者への一助になればと思い、恥を承知で、私がやってきたことをここに記します。

私は、スピーチコンテストに合わせて4回出場しました。
その中で、日中友好協会主催のスピーチコンテスト(朗読部門)では、全国大会で最優秀賞、あわせて「漢語橋」中文朗読之星という賞をいただきました。
  中国語スピーチコンテスト参加レポートはコチラ
  【地方大会編】  【全国大会編】

私はアラサーのワーママです。中国語に関しては、ただの素人です。始めた当時、語学学校に通っているわけでもなく、困ったとき周りに聞ける人もいませんでした。
今まで何度かスピーチコンテストに参加してきましたが、毎回順調にいったわけでも決してありません。出場の度に「あの時もっとこうしておけば良かった」と反省ばかり。
でもたくさんの行動を重ねる中で、友達、先生、Twitterの神フォロワーさん達、その他たくさんの方に支えていただき、今では会話で聞き返されない程度の発音力を身につけられました(流暢と言うにはまだ程遠い会話力ですが;;)
今回は、ゼロから人に通じる標準的な発音を身につけるために、試行錯誤しながらやってきたことをシェアしていきます。
発音を良くしたい、あるいはこれからスピーチコンテスト(特に朗読部門)への出場を考えている方に、何か少しでも参考になれば幸いです。

出場歴

①令和3年2月 中検スピーチコンテスト【暗唱部門】(zoom)
②同10月 日中友好協会県大会【朗読部門】
③同10月 中検スピーチコンテスト【暗唱部門】(zoom)
④令和4年1 月  日中友好協会全国大会(10月と同じ課題文)
(②日中と③中検の間は6日間しかないという過酷スケジュールでした)

最初に出場したのは中検主催のコンテスト。
中国語の勉強をはじめてちょうど1年経った時に、発音をもっと良くしたくて、スピーチコンテストに出場することになれば、否が応でも頑張らざるを得ないだろうと思い、意を決して申し込みました。

初回の大会では、自分の力を精一杯出しきって、それに自分では割と上手くできたって思っていました。でも、半年後に改めて自分の発表時の録音を聞いたら、なんだ、直すところがいっぱいあるじゃん、勘違い超恥ずかしいわって。笑
でも同時に「もしかして自分、多少なりとも成長してるってこと!?」と思ったんです(ポジティブ人間\(^o^)/)
このように、自分の現在地を確認する意味でも、節目節目でチャレンジすると良いですね。様々な気づきが得られますし、経験値は確実に上がります。賞を取ることは大して重要ではありません。

では、ここからは私がやってきたことを振り返っていきますね。

1.お手本の音源を入手する

発音練習は、お手本の音源が命。
お手本音源のクオリティによって命運が分かれるのではないか、実はそのくらい大事なものだと、個人的に思います。

何かを習得するためには、上手い人を手本にして模倣するというのは、どの業界でも同じですよね。
プロの漫画家も、最初はひたすら好きな作家の作品を模写するとか。料理人や美容師も、師匠の技術を横でじっと観察して、技術を盗みますよね。

もし無ければ、すぐに誰かに音源の作製をお願いすると良いかもです。
一回目のときは、音源の大事さに気づいておらず、後でとても後悔したので、二回目の出場を決めた際は、早々に動きました。ココナラで、女性のナレーターにお願いしました。クリアでキレイな声の方です。
そのあと、朋友と出会い、朋友のご好意で、音源を作ってもらいました。シャドーイング用、ゆっくり版、速い版、演劇版、シンプル版など、いろんなバリエーションの音源を作ってもらいました。本当にありがたかったです。
音源を通勤中にBGMとしてエンドレスリピートしていました。
身近に先生がいる環境なら、まず先生にお願いすると良いですね。
もし周りにいなければ、プロの方にお願いするのも一つの手です。

2.お手本の音源をひたすら聴く

息遣いや「間」に至るまで、お手本をそっくりそのまま完コピする。
お手本を完コピするのが発音上達への一番の近道だと思います。
音源を聴くときは、「高低差」「発音」「音の長さ」「音の強弱」この4つに着目して、譜面をおこすような感覚で、ノートにどんどんポイントを書き込んでいきました。
それぞれのポイントを次にまとめました。

【高低差】

音がどの位置から始まって、どの高さで終わるか。単語単位と違って文章になると、文脈によって教科書通りでないものも出てきます。
一文の中で、同じ1声でも高さが違うし、4声+4声でもスタートは単語によって同じ高さではないことが往々にしてあります。
(自分ではわからないので、朋友に教えてもらいながら確認しました。)
例1)4声+4声 の「异性」「错过」は前の「异」「错」の方がスタート位置が高い。
例2)文末の「人」が本来の2声でなく3声っぽくなる。
   看你是不是一个聪明
例3)「天」が本来の1声でなく2声っぽくなる。
   有一,〜

【発音】

ピンインと音を一致させるために、まずは市販の発音教材(紹文周の中国語発音完全マスター)を手元に置いて、確認しながら進めました。
私は母音の発音(a、an、ang、u、e、uoなど)がなかなか上手くできませんでした。もっと細かいことを突き詰めると、ao とoでは「o」の音が微妙に違かったり。細かい違いを理解するのに、かなりの時間を費やしました。

【音の長さ】

動詞+目的語の組み合わせの2音節の場合、アクセントは目的語の方におくとか、そういうことを細かく覚えていきました。
あと、例えば「不能」は、教科書的には、一つ一つをハッキリ読むので「ブーナン」と読むけど、実際の会話では「ブナン」のように読むとか。

【音の強弱】

文中では、強調しないで軽く発音するものがあります。
文脈の中で、あえて強調するときもありますが、個人的な感覚だと、以下のものを軽く読む傾向があります。(※もし間違っていたら是非教えてください。)
主語(你、他)、量词(一个、一只)、助動詞(会、可以)、助詞(过)、副詞(正在)、前置詞(被)、接続詞(如果、不过)、是、也、和、的、不、了、呢、吧 など(←分類わからなくなって諦めました)

3 .音声翻訳アプリで練習

AIで通じなければ、人にも通じない。
私は音声翻訳アプリを使って、発音がうまくできているか練習しました。
様々な音声翻訳アプリを試した中で、個人的には「百度翻译」を一番使っていました。
まずは単語、その次は短いセンテンスごと。そして徐々に長くして、文章全体を最後まで読んで、誤訳がなくなるまで繰り返し練習します。
やってみると、かなり難しいです。でも、これを繰り返すと、自分の苦手な発音の傾向がわかります。
この音声翻訳、本当に賢いです。
試しに日本語でボソボソっと話しかけてみると、どんなに聞き取りにくい言葉でも、予想して正確に拾ってくれます。テクノロジーの進化に感動。笑

ということは、何回やっても誤訳されてしまう発音というのは、AIもお手上げの間違った発音。この賢いAIに通じなければ、人にだってとても通じないのですね。
良いパートナーだと思って、話しかけまくりましょう!

4.自分の声の録音をひたすら聴く

自分の声を録音して聴くというのは、王道の勉強法ですが、これを愚直にやることが、実は一番効果的なのではと思います。
先生と同じ発音をしている気になっているのだけど、録音を聞くと歴然と違うことに気づきます。不思議ですね。
私はiPhoneの録音機能を使って、何百回と繰り返しやりました。
これをやるかやらないかによって、大きな差が出ると思います。自分の声は正直聞きたくないですが、どう聞こえているのか客観的に分析するために、録音は避けて通れません。

5.プロの発音指導を受ける

一番最初に出場が決まった中検のコンテスト前に、発音矯正に特化している先生のオンラインレッスンを受けました。YouTubeで人気沸騰のKOBI老师です!

先生は、日本人の苦手なポイントを熟知し、どうやったらうまく発音できるのか、初心者の私に一からわかりやすく説明してくださいました。
そして、何度も練習を重ねるうち、段々とコツがわかってくるようになりました。
最初、anとangの使い分けなんて一生できるようにならないだろうと半ば諦めていましたが、先生の指導を受けてから、ある日、急にできるようになりました。OKもらえたときは、本当に嬉しかったです(^^)
AIの音声翻訳で、最初は誤訳のオンパレードだったものが、レッスンを受け始めて1か月足らずで誤訳頻度は随分と減りました。
私は仕事と子育ての影響で時間的に厳しく、たくさん回数を受けることはできませんでしたが、数回のレッスンで、しっかり上達が感じられました。
何より一番の変化は、モチベーションが上がったこと。上達が実感できるにつれ、中国語の勉強がどんどん楽しくなりました。
変な癖がつく前に、正しい発音指導を受けることはとても大事だと思います。

6.HiNativeやHelloTalkに音声投稿

HiNativeやHelloTalkは、外国語を勉強している世界中の人たちが、勉強を教え合ったり交流するアプリ。私はこの2つに音読した音声を何度も投稿しました。投稿する度に、たくさんのネイティブの方が真似してお手本を読んでくれたり、間違いを修正してくれました。
ちなみに、前述の朋友はHelloTalkで出会いました。自分ではなかなか気づかないようなことを、音声で優しく、根気よく教えてくれました。忙しい中、ときには電話で私の発音を添削してくれました。自分のレベルを押し上げてくれたのは、間違いなく朋友のお陰です。
(ちなみにHiNative音声投稿は、無料会員だと10秒まで、有料会員だと60秒まで。私は有料会員です。発音以外にもたくさん機能があって、めっちゃ使えます。今でも愛用しています。)

7.ネイティブの話している自然な音声を聴く

初心者は、個々の単語を一つひとつはっきり正確に読みがちです。
私の場合、語尾の「了」「的」は軽声だから本来軽く読むところが、「ラ」「ダ」というように私は強くはっきり発音してしまっているようでした。
市販の検定対策用の教材では、聞き取りやすいように、あえてハッキリと発音しているんですね。
私自身、これまで検定の勉強しかしてきておらず、教科書の音に慣れてしまっているのが原因でした。
時間を見つけて、YouTubeでネイティブが話しているナチュラルな中国語を意識的に聴くようにしました。

8.人前で発表している動画で表現力を研究

スピーチコンテストの場合、単に朗読するだけじゃなく、魅せる力も必要です。
私はYouTubeで過去のスピーチコンテストを観たり、TEDを観て、表現力を研究しました。
中国語に限らず、外国人が日本語の発表をしているスピーチコンテストも、とても参考になりました。
余談ですが、上手いなぁと思う人の発表って、登場したときから堂々と自信に満ちていて、オーラが全然違うのです。それだけ練習したからこそ醸し出せるオーラ。
(逆に自信がなさそうにしていると、見ている側も不安になってしまいます。それは避けたいですね。)
オーバーな身振り手振りのジェスチャーは全然いらないのです。
上手な人は、声のトーン、間、視線で、十分に聴衆の惹きつけるんです。本当にすごいですね。

でも、あくまでも発音の正確さを優先してください。一に発音、ニに発音です。
土台となる発音が出来ていない状態で感情をのせても、それはたぶんマイナスにしかならないです。特に基礎固め中の人がやろうとすると、発音がブレてしまいます。
私の場合、淡々と読むときはキレイだけど、スピーチコンテスト特有の、ちょっとオーバーな感じを出すと、途端にボロボロに。本人は感情的になっているけど、何を言っているかさっぱり分からないという悲劇。怖いですね。

表現に関しては、決して正解があるものではないと思います。文章を咀嚼する中で、感じ方は人によって違うように、表現の仕方が人によって違うところが、むしろ醍醐味なのかもしれませんね。

最後に:挑戦したことで、かけがえのない自信につながった

スピーチコンテストを通して一つの文章にとことん向き合うと、時間が経っても口から出てくるし、文法的な表現も自然に覚えられます。自分の血肉になるんですね。
これは、中国語学習をする上で、かけがえのない自信につながりました。

そして、改めて発音の奥深さを知りました。
発音の世界って底なし沼で、どこまでやっても、出来ていないことが出てきます。私などまだまだ未熟者です。
でも続けていれば、一歩一歩、着実に良くなっている実感はあります。今回はあくまでも通過点として、これからも練習を重ねていきたいです。

最後に。Twitterで、DMで丁寧にアドバイスくださった神フォロワーさん、単発でレッスンしてくださった先生、他にもたくさんの方に支えていただきました。ご紹介できなくて申し訳ありません。私に関わってくださった皆様、本当にありがとうございます。
何より、私のことをずっと熱心に指導してくれた朋友には、心から感謝しています。

スピーチコンテストは挑戦したいという人向けに、広く門戸が開かれていますので、迷ったら是非チャレンジしてみてください。きっと人生の良い経験になると思います!

では、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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