はためくスカート【今井俊介】
展示室に風が吹く。
鮮やかな色彩の風が吹いているよう。
なんとなく、夏の空気を思い描く。
これ以上ないビビットな、風。
今井俊介はデザイン的な起用が多いアーティストだ。
布や洋服、CDジャケットやドラマの壁掛け作品とかもやっていたような。
もしやっていなくても、やっている気がすると思わせるほど、デザイン的な暮らしや趣向に親和性が高い。
個性的と言われるブランドがしそうな色使いと、おしゃれと言われる人のバランス感覚がある。
知っている雰囲気だけど、見たことはない、というような印象。
テキスタイルは直線でできていて、絵画に落とし込まれると途端に風を受けてはためく。
PC上で直線や曲線、色を構成したものを出力して実際に折り曲げてそれを撮影し絵画として描く、という段階を経ている。
中でも最も愛おしいと思ったのは、色と色の境目。
ちょっとだけ揺れているのだ。
その理由は彼の作業風景の動画と写真で手で描いているからと知る。
こんなにデザイン的で色の塗り方も均一かつ直線も多用されているので、マスキングテープを貼って塗っているのだろうと思っていた。
日常にちょっと疲れて会いに行くと思った以上に鮮やかな風が吹き抜けていた。
夏の風を感じる展覧会。
作家紹介
■今井俊介
1978年、福井県生まれ。
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