7割が検討していない小児歯科矯正、子どもへの贈り物なのか?

一度に14本の虫歯が見つかった私が思う歯と矯正のこと

子供の歯の矯正について、考えたことがありますか?
私自身は歯があっち向いたりこっち向いたり、重なったりと相当歯並びが悪いのですが、
残念ながら子どもの頃に矯正をしてもらえなかったので、そのまんま。

仕事などで忙しく歯の手入れがおろそかになる日が続くときなどは、
歯と歯の間が磨きにくいので汚れが残ってしまいます。

ひどい時で一度に14本の虫歯が見つかり、治療するのにお金・時間・体力のいずれも消耗してひどい目にあった…という思いが消えません。
歯医者の先生もムキになって「こっちも治療しちゃいましょっか」とムキになって、一日の治療で4本位虫歯をやっつけた日もありました(普通は1回の治療で1本か2本では…)。

その後は懲りまして、3~6か月に一度のクリーニングを継続することで虫歯を未然に防ぐか、小さいうちに処置できています。

「歯がきれいじゃない」という意識から、
大きな口を開けて笑うのもいやだなぁと思ってしまいます。

私が子どもの頃の両親は、その当時ではめずらしく会社勤めを辞めて自営業に転じたばかりだったので、費用・時間の両方の理由で子供の歯並びに多くの注意を払う余裕はなかったのかもしれません。
また、私が住んでいた地方都市で周りをみわたしても、矯正を行っている子はクラスに1人か2人くらいと、マイノリティだったように思います。

「そういう時代だった」
のかもしれません。
矯正できなかった自分への割り切りでもありますが。

そんな「子供のころに矯正していれば…」と思う背景もあり、
歯並びが悪くなりそうな気配がプンプンしている息子には
「私と同じ思いをさせたくない」
「適切な時期に、歯科矯正をしてあげたい」
と思っています。

7割のママは子供の歯列矯正を検討していない?

子どもの歯科矯正については、身近なところの広告やSNSなどで、いろいろな情報があふれています。
歯列矯正はマジョリティになったんだなぁ。
そう思っていました。

ところが、大阪にある歯科医院が子どもを持つ母親109人に対して個別に行った意識調査では、「77.4%のママが歯列矯正を検討していない」という結果を発表しています。

また同記事では、「97.2%のママが子どもに歯列矯正を実施せず」とも書かれています。
このデータから逆算すると、実際に歯列矯正をしている子どもは3%未満
と推察されます。少ないですね…。
全国的にみたら、少なくとも2桁の割合では矯正しているのでは?という感覚がします。

ここでは調査対象は「ママ」に限定されていますが、父親を含めた家庭としての方針はどうなのか?などもう少し広域的な視座で見たら違う考えが浮き彫りになりそうです。

日本臨床歯科学会で男女1000人を対象とした歯科矯正への意識調査を見ると、設問は異なるものの、「72.6%が「歯並びは第一印象を左右する」と回答」しており、こちらは自分の感覚値と一致しました。

「7割の人は歯並びの大切さを認識しているけれど、実際に矯正を行う人の割合は1割未満」ということなのかもしれません。
子供時代に矯正をスタートすることが多いと思いますが、するかしないかは親の意識や判断、検診での指摘やかかりつけ医のアドバイスの有無など、環境によって左右されます。

小児歯列矯正相談を受けて

先日、7才の息子の小児歯列矯正の相談に行ってきました。
学校の検診でも受診を促すお知らせをもらうほど歯並びが悪く、
虫歯治療やクリーニングで通っている歯科医院でも矯正を勧められました。そこで数カ月前に歯列矯正の初回相談を受け、そのときに、手前の歯の成長を妨げている奥歯を2本抜歯したほうがよいと助言がありました。
そのため2本の歯を抜歯し、手前の歯がきちんと生え始めたころ合いを見計らって、2回目の相談です。

息子の場合は、奥歯にも課題があるけれど、
目下の心配は、抜けた乳歯が永久歯に生え変わりつつある前歯の生え方にあるということです。

前歯のかみあわせ(かなまるメモ)

息子の場合は「A」のようになっていて、「B」が通常(うらやましい)。
先生の話によると、
「歯の生える向きがよくない(これならマウスピースなど通常の強制で対応できる)」場合のほか、
「もともとの顎の骨格に原因がある」こともあるとか。

しかもあごの骨格は20才位まで成長する可能性があり、
現段階の骨格に合わせて歯並びを矯正しても、そのあとにさらに骨格が発達してしまうと、いずれ外科手術をして骨を削る必要がでてくることもあるそうです。

次回の検診で、その原因を探るためのCT等の検査を行い、
今後の方針を話し合っていくことになりました。

矯正をすること/しないことによるリスク、原因が骨格だった場合にできる処置と今後起こりうること、治療期間と費用、など1時間以上にわたり、丁寧に説明をしてくれました。

自分が矯正してもらえなかったことがどこか消化しきれない気持ちがあり、
「今と昔で、矯正する/しないはどう判断してきたのか」という雑談的なことも聞いてみました。
日本では矯正は保険適用外であるための費用面、歯科検診でひっかかった場合にお知らせがある程度という意識・認知度からなかなか浸透していない現状をうかがいました。

一方で、「海外では、歯並びが悪いと親が虐待していると思われるので、かなりの割合で矯正する」という話も聞きました。
なるほど。
気になってしらべてみたメモをまとめると、下のようなかんじ。

日本と海外の歯列矯正の意識の違い(かなまるメモ)

「口を大きく開けて笑う外国人」と「笑うときに大きく口をあけないことが美徳とされがちな日本人」との対比もありそうですね。

親から子供への思い vs 子どもから親への思い

「歯列矯正はしてあげる」と決めてはいるものの、
費用面では100万円近い出費になるので、しんどいなぁ、という気持ちはあります。
ただ、息子のように歯並びが明らかに悪く将来不利益を被るリスクが高い場合、矯正をしなければ、大きくなってから「虫歯になりやすい」「(歯のかみ合わせ次第では)歯が割れたりする恐れ」「歯並びを気にして大きな口で笑えない」などが出てくる可能性があります。

矯正は親ができる子供の健康や幸せへの投資」と決心して、
受診して帰宅後の子供にこう話しました。
「いま矯正の治療の相談をして、まるこめ(息子のニックネーム)も歯磨きが大変だし、親も費用的には大変だけど(これを言うべきかは迷いました)、矯正はしてあげるからね。親が子供にしてあげられる一番の贈り物かもなぁ。だから一緒にがんばろうね。」
と。

そうしたら、息子は耳元でささやいてきました。
「ちがうよ。一番はね、「げんきなこころ」だよ。まず元気じゃなきゃいけないでしょ。お母さんがこれをくれたから、僕は元気でいられるんだよ。」

矯正相談後の親子のやりとり(かなまるメモ)

そうだよね。
歯も大事だけど、その前に元気なこころだね。
お母さん、
「いくらかかるか」「どのくらいの時間がかかるか」「自分と同じ思いはさせたくない」とごちゃごちゃ考えてしまって、本当に大事なこと、とばしちゃったかもしれない。
元気いっぱいの子供からやさしい気持ちをもらった夜でした。

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