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27歳、脱サラ男がコロナ禍にカナダワーホリ留学をした話。

※ 2021年1月23日のコロナ禍当時に、カナダ留学をした方の体験談をリライトの上、掲載しています。

タイトルにもあるように私は27歳。

2016年に大学を卒業し、都内総合商社にて営業マンとして4年間勤務しました。
2020年に脱サラし、翌2021年1月にコロナ禍の中でカナダへ入国。

「こんな時期に」と散々言われ、それと同じぐらい「こんな時期だけどホントは行ってみたい」という方々の声も聞いてきました。

不安を抱えながらの、当時のコロナ禍での留学経験をお届けします。


脱サラしてカナダ留学をした理由

結論から言うと、すべて「悔しさ」が私を海外渡航へと駆り立てました。

実は私は、学生時代に2回ほど留学を経験してます。

きっかけは高校時代に海外の某コメディドラマにハマったことでした。

田舎育ちの私は「海外に行けばこんなユニークで華々しい生活が送れるのか!」と衝撃を受け、商業高校の商業科という留学と無縁な環境から必死に勉強して、国際関係学部のある大学へと進学しました。

1回目はイギリスのケンブリッジにあるケンブリッジ大学。

ハリーポッターの学校のモデルで有名なオックスフォード大学と対を成す、世界的にも有名な大学です。

1ヶ月の短期留学でしたが、これは私にとって初めての海外渡航でもあり、目に映る全てが新鮮で輝いて見えました(実際にめちゃくちゃ綺麗です)。

正直会話も辿々しく、ほぼジェスチャーとボディーランゲージで乗り切りました。

自分が本当に思っていること、伝えたいことがまったく伝わらず「これじゃ海外生活どころか友達なんてできないよ!」と非常に強い悔しさを抱えたままの帰国になりました。

イギリスでの悔しさが忘れられなかった私はさらに勉強を重ね、翌年に2回目の留学となる7ヶ月間のアメリカ中期留学に出発しました。

「ついに!あのアメリカで華々しい生活が送れる!!」と意気込んでいたのは最初だけで、実際に通った大学はウィスコンシン州というカナダのオンタリオ州の真下に位置している州で、いわゆる田舎街でした。

とはいえ、退屈したかと言うとそんなことは一切なく、実際に4年制の大学へ通学しているアメリカ人の生徒たちと同じ寮で生活し、スムーズな日常会話を習得するには非常に快適な空間でした。

2回の海外渡航経験経て「海外経験のある人材」として挑んだ就職活動では、いくつかの会社からも内定をいただき少し天狗になっていた時期もありました。

そのうちの1つであった総合商社へ就職を決めて、とある営業部隊への配属が決まりました。

しかし、そこから自分の無力さを痛感する日々が始まったのです。

私の部隊は海外出張や海外の会社とやり取りする機会が多々あり、ビジネスとしての英語を使う日々が始まりました。

今まで自分が学んできた英語はいわゆる学業としての英語や日常会話としての英語です。

勝手がまったく違う中、

「これはビジネス的には失礼な言い回しかな?」
「相手の言ってることがわからなかったけど聞き返すほどの余裕がない!」

なんてことを気にしている内に、すっかり英語を使うことが怖くなってしまいました。

中でも一番怖かったことは、海外の工場にて私が主となって大事なお客様をアテンドして視察すると言う案件でした。

結果的に簡単な日常会話以外、すっかり怯えてスマホの翻訳機能が手放せない状態になってしまいました。

見事に天狗の鼻(英語ができる人材としての自信)は真っ二つに折られてしまったのです。

そんな中、私はさらなる海外経験を積むことを考えていました。

元々4年程度勤務したら別の道を考えてみてもいいかもしれないと思い入社時から貯金を続けていましたが、この4年間の日々が私にさらなる「悔しさ」を蓄積していき、より実践的な語学能力取得への憧れを募らせていくことになったのです。

そこで私が思い立ったことが、海外での語学勉強と労働経験が一度にできるカナダでのワーキングホリデーでした。

そして昨年2020年1月に4年間勤めた職場を退社し、3月からのカナダ渡航へと向けて準備を進めていました。

しかし、私を待ち受けていたのは憎きコロナウイルスによる渡航の緊急中止でした…。

突如訪れたコロナ禍のフリーター生活

世界的にもコロナウイルスが猛威をふるい始めていた2020年初旬、本来であれば私は2020年3月13日のフライトでカナダへ渡航する予定でした。

出発前日、荷造りも全て終えてあとは寝て起きて空港に向かうだけ、となっていた私にかかってきた電話。

この時点で非常に嫌な予感がしていたのですが見事に予感は的中。

内容は渡航の緊急延期要請でした。

丁度この時期は世界的にもロックダウンや隔離と言う言葉が広まり出しており、カナダも例に漏れず、新たな入国者は隔離を行うと発表しました。

もちろん、大変な事態であることは理解できます。

ただ、「なぜ発表が今日なんだ、カナダ政府!」と言う気持ちでいっぱいになり、正直頭が真っ白になったことを鮮明に覚えています。

出発日が前日なら出発できていたのに。

こうして、私の先の見えない待機時間が始まったのです。

それからはというと、不本意に得てしまった膨大な時間と、再度のカナダ渡航に向けてのモチベーションとの戦いでした。

蓄えた貯金を使うわけにも行かないので急遽アルバイトも始め、日々を過ごしました。

最初こそは急遽狂ってしまったスケジュールによる倦怠感ややるせなさでふてくされてしまいましたが、結果的に自らを見直し「今の自分に何ができる?」「自分が本当に足りていないものは何?」ということを考え直す有意義な時間となりました。

まず自分が取り組んだことは、改めて自らの英語能力を知るということでした。

正直勉学に関してはカナダに着いてから始めれば大丈夫だろうと鷹を括っていた部分がありました。

そのため、それまで仕事が休みの日のみ英語の勉強を行っていましたが、改めてTOEIC等の教材を揃えて毎日午前中は勉強する習慣を付けました。

実際に取り組んでみると単語や文法等、わかっているつもりでも間違っていたり知識が不足している部分がたくさん見つかりました。

実際にこちらの語学学校の授業でも、この際の勉強が役に立っていると感じています。

事前に準備をしているのとしていないのとではまったく違います。

今後海外経験を検討されている方は、ぜひとも早い段階で勉強を始めることをオススメします。

加えて改めて「自分が何を本当にしたいのだろうか?」ということを考える時間にもなりました。

正直、商社の正社員という立場を捨ててまで選んだ道が結果的にフリーターになるということは私としてもプライドを傷つけられた部分もあり、同時に今後に関する不安感に押し潰されそうにもなりました。

おそらく、今社会人として働いていて留学やワーキングホリデーを考えている方の多くはこういう所が一番不安なのかな?とも思います。

「こんな時期に、本当に自分が今の立場を捨ててまでやるようなことなのだろうか?」と。

私も何度となくそう感じました。

しかし、一度自分が何者でもない環境に立って自分自身を見つめ直してみると見えてくるものもあります。人それぞれ異なると思いますが、本気になって見つめ直せば海外渡航への意義は見つけられるはずです。

ふと頭に浮かんだり感じたりする瞬間があります。

一度踏み出してさえしまえば、何とでもなりますよ。

途中で腐ったりさえしなければ。

そうして、過ごしている内に1月での入国ができそうなお話をいただき、2021年1月23日に バンクーバー着の飛行機に乗ってカナダへ入国しました。

こうして約一年越しに、私のカナダ生活が始まったのです。

コロナ禍のカナダでホームステイ生活がはじまる

入国後、空港についてから感じたことは、まず「空港ガラガラ!」ということです。

出国時の成田空港もそうだったのですが、ほとんどと言っていいほど空港に人はみられませんでした。

そこからホームステイ先へ移動し、14日間の隔離生活が始まりました。

まず到着と同時にサニタイズ(消毒作業)に移ります。

各家庭や隔離場所によって手順は異なるかもしれませんが、私の滞在したホームステイ先では持ってきたキャリーバックをアルコールで消毒しました。

入居後は原則トイレとシャワー以外で部屋から出ることは禁止、出る際もマスクの着用は必須でした。

食事は基本的にドアの前に置かれるのでそれを自室内で食べ、終わったらまたドア前に戻すという感じです。

ホストファミリーとも一定距離を取って会話をしなければなりません。

正直14日間は我慢との戦いになります。

何より辛かったのは、ホストファミリーの飼っている犬と猫が非常に人懐っこいということでした。

動物好きの方々からしたら「それの何が辛いの?!」と思われるかもしれません。

勿論私も犬猫大好きです。

しかし、ルール上触ることができないのです……。

とはいえそんなこと彼らにわかるはずもなく、私が少し部屋を出れば関心を持って私に近づこうとするも、ホストファミリーに注意されて追い払われるという状況を何度も目にしてきました。

おかげでワンちゃんに関してはすっかり怯えてしまい、隔離終了直後しばらくは私を避けるという状態になってしまいました。

コロナ禍のカナダ語学学校の授業

6ヶ月間、カナダの語学学校で勉強をしました。

授業自体は隔離中からZoomを使用したオンライン授業にて始まりました。

私はSELCというガスタウンにある学校に入学。

授業は朝9:00から15:15まで、グラマーやスピーキング、リスニング、リーディングなどのカテゴリに分けた授業が行われます。

授業自体はほかの通学中の生徒たちと混ざってZoom経由で参加するという形になります。

最初はどういった流れになるのか不安でしたが、私のように世界各地からやってきて、それぞれの隔離生活を送っている生徒たちと一緒に授業を受けている内に次第に緊張も解け、今では「あの時はお互い外出れなくて辛かったよね〜」と笑い話をできる関係になっています。

隔離終了後は月〜金まで、対面授業を週2回、オンライン授業を週3回という流れに変わりました。

このようなご時世である以上mオンラインが主なのは仕方ないのですが、実際に慣れてしまえば特に不満もなく授業を受けられています。

Zoomには様々な機能があります。

画面共有機能があるのでそれを駆使してお互いに資料を見せあったり、トークルームが作成されてそこでじっくり特定の生徒同士のみでグループワークができます。

そのため、対面授業と比べて劣る点は特に無いかと思われます。

逆に言えば対面授業がある意味レアなので「次あいつに直接会ったらこれ話そう」とか「今度会うまでに先生に聞くことまとめておこう」と、自分なりに切り替えて通学に臨めていると思います。

また街の様子ですが、みんなマスク着用で定期的なサニタイズを行った上で日常生活を送っています。

人出については東京と比べると少ないように思われます。

それもそのはず、2021年2月のBC州では外出に関して規制がかけられており、友人の家に遊びに行くなどの行為は原則禁止されています。

買い物や公共施設へのお出かけは禁止されていませんが、それでもカフェや飲食店が16:00ぐらいに閉店したり、スターバックスについては現在店内飲食は提供しておらずテイクアウトのみでの営業を行っています。

なおかつ個々人の感染対策への意識が日本より高いようにも感じます。

そのため、比較的日が落ち始めると街から人はいなくなります。

加えて欧米圏では家族で過ごす時間を重要視している習慣があります。

みんなそれぞれ家族とご飯を食べるということが一般的だったりするので、ある意味自然なことなのかもしれませんね。

コロナ禍の留学に意味はあった?

この時期での留学に意味は非常にあると感じます。

私から見てこの時期にカナダにいる留学生は非常に質が高い方が多いと思います。

なぜならこのような時期にも関わらず多くの制限や不安とも戦い抜き、やっとの思いで辿り着いた学生たちがほとんどだからです。

これは単純に「語学が堪能な人が多い」という訳ではなく、「語学に望む姿勢や志が高い人が多い」ということを意味します。

少し砕けた言い方をすると、半端な気持ちで来ている生徒がいないということです。

授業中も生徒からの質問が活発に飛び交い、皆積極的に英語でコミュニケーションを取ろうとしている場面をよく目にします。

これは日本人を含め、どの国の出身者にも言えると思います。

周りのモチベーションが高いと相乗効果で自分自身のやる気も上がります。

加えて、自分も渡航に苦労した分、他の学生たちも渡航に苦労してきているということが十分に理解できます。

そのため自然と親近感を感じやすく交流関係も築きやすいと感じています。

これらの理由から、学業を取り組む環境としては非常に優れていると感じました。

生活や環境面について

正直ここについてはコロナ前の情勢と比べて制限されることが非常に多いです。

今までと勝手が違うことが多く、ネットや口コミで前もって調べてきた情報と違うということが多々見られます。

しかしこれは逆を言ってみれば、このカナダという移民大国で、ちょうど世界が変わって行く瞬間を見届けられる第一世代の人間になれるということです。

もちろん、日本でもリモートワークの浸透など新しい常識が生まれていますが、ここカナダにおいてはあらゆる人種の人たちの生活の変化を目にできます。

最近で言うと2月12日に中国の暦での正月、いわゆる旧正月がありました。

従来であればここバンクーバーでも盛大なお祭りが行われますが、今年は中止。

代わりにそれぞれが各家庭で小さなお祝いをとり行いました。

私の滞在しているホームステイ先でもフォーチュンクッキー(旧正月に食べるおみくじ入りのおかし)を家族で食べて、占いの結果で談笑するという光景がありました。

他の家庭でもそれぞれが楽しんだことを報告しあったりして、制限の中でもみんな新しい楽しみ方を見つけて生活しています。

そういった新しい小さな幸せの積み重ねを見届けられるという環境もまた、素敵なのではないでしょうか。

社会人留学をした感想

一度社会人を経験した身として、実際に何が足りていなかったかと言うことを分かった上で留学することはある意味「復習」のようにも思えます。

おそらく私と同じように社会人を経験した上で留学を検討されている方は、何かやり残した思いがある方や働いている中で不足しているものに気づいた方たちなのではないでしょうか。

明確な理由がある方にこそ、同じようにコロナに負けず勉学に熱意を持った世界中の学生たちと学ぶ環境というのは素晴らしいものだと私は思います。