組織の「フィルターバブル」化を考えてみる
「フィルターバブル」とは??
みなさんは「フィルターバブル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
フィルターバブルとは、インターネットやSNSのアルゴリズムによって、ユーザーの閲覧履歴や検索履歴などを元に最適化された情報が表示されることによって、「フィルター」がかかった情報のみに触れることになり、ユーザーのユーザーの考え方や価値観の中、つまり「バブル(泡)」に包まれた状態になることによって、異なる価値感に触れることのない遮断された状態になることを言います。
詳しくは下記を参照いただければと思います。
インターネットの世界での事象であったフィルターバブルが、企業組織においても同じことが発生しうるということの危険性を感じたのがこの記事を投稿した理由です。
経営者や組織のリーダーにとって、会社組織の成長を阻害する要因となる「組織のフィルターバブル化」について、原因と対策を考えていきます。
組織がフィルターバブル化する原因
人が生きていくうえで、何かしらのバイアスがかかっているといっても過言ではないのでしょうか。
デバイスの利用をやめ、メディアを断ち、人間関係を遮断したとしてもそれまでに受けてきた影響が何かしらあることは間違いのない事実です。
バイアスと聞くとあまりいい印象がないかもしれませんが、正の方向、負の方向と両面に働きます。学生自体ので学校や部活の恩師、先輩上司の言葉など良いバイアスはさまざまありますが、フィルターバブル化については間違いなく負のバイアスがかかっていることが大きな原因です。
原因となるバイアスの例
誰しもこのような経験があるのではないでしょうか?
人間関係を保つために言いたいことを抑える
先輩や上司が決めたことに意見をすることができない環境
トラブル・面倒を避けたいので事なかれに徹する
自分の意見があまりないから人の意見に同調してしまう
プロジェクトの目的がいつしか製品の完成だけに向いている
小さなことかもしれませんが、これらのバイアスの積み重ねがいつしか組織を孤立化し、特定の思考の中で活動するようになってしまいます。
特に「同調」という部分がもっとも厄介です。
一度同調してしまうと「現状が良い」という思考になり、それに反することを「しないほうがいい」「しても結局変わらない」「そもそもする気にならない」という悪循環を生むことになります。
また、当然ながら上司や先輩に対しては従順であるべきだという権威的なものはもってのほかです。
組織のフィルターバブル化の影響
組織がフィルターバブル化することによって、以下のような影響が考えられます。
多様性の低下
組織内で同じような考えや価値観が支配的になり、異なるものが排除されることで、組織の多様性が低下します。多様性は、組織の創造性や革新性を高める要素であり、多様性の低下は組織の競争力や成長力を損なうことになります。
変革への抵抗感
組織内で外部の情報や意見に対して閉ざされてしまうことで、組織のメンバーは現状に満足してしまい、変化や改善に対する必要性や意欲を失います。また、変化や改善に対しては不安や恐怖を感じ、拒否や反発を示す傾向が強くなります。これは、組織の変革や進化を阻害する要因となります。
組織のフィルターバブル化からの脱却と防止
組織がバブルフィルター化から脱却するためには、組織のメンバーが、自分自身がどのようなバイアスや先入観を持っているかを客観的に認識し、それらが自分の情報収集やコミュニケーションにどのような影響を与えているかを検証する必要があります。また、自分自身がどのような情報源や交流相手に依存しているかを把握し、それらが十分に多様であるかどうかを検証する必要があります。
また、コミュニケーションにおいて、質と量を向上させることが重要です。質とは、コミュニケーションの目的や内容、方法などを適切に設定し、相手の立場や感情に配慮しながら行うことです。量とは、コミュニケーションの頻度や時間、範囲などを十分に確保し、多方面から多角的に行うことです。
これらを実現するためには、組織は以下のような方法を取ることが重要です。
対話の促進
単にコミュニケーションといってもやはり質を意識する必要があります。
相手の反応やフィードバックを受け取り、理解し合うことです。対話を促進することで、組織はコミュニケーションの質を高めることができます。
そのためには、自分の意見や判断に対する質問や反論を恐れずに行うことができる環境である必要があります。
質問や反論は、自分の思考や行動に対する検証や改善の機会であり、相手の考え方や感じ方に対する理解を醸成する機会になります。質問や反論を行う際には、相手を攻撃したり、自分を正当化したりするのではなく、建設的かつ尊敬的な態度で行う必要があります。
フィードバックは、自分や相手の強みや弱みに気づき、改善策や成長策を見つけるための有効なツールです。フィードバックを提供したり受容したりする際には、相手の感情や自尊心を傷つけたりしないような配慮をしつつ、具体的かつ客観的な内容で行う必要があります。
交流の多様化
共同作業や学習活動なども含む人々との関わり合いの場、つまり交流を多様化することで、組織はコミュニケーションの量を増やすことができます。
チーム内での交流を活発化し、異なる役割や能力を持つ人々とも協働することにより組織内でも多様性や異質性を認め合う文化が醸成されます。
ただし、チーム内や特定の組織内での交流だけではまたフィルターバブルが発生する可能性がありますので、社外の交流の場を設けることで、自社へのフィードバックを行い、フィルターバブルを防止することができます。時には競合となる事業会社との接点を設けるのも必要になってきます。似た目的を持つ競合との活発な意見交換ができれば、新しいビジネスチャンスを生む機会にもなってきます。
まとめ
フィルターバブルについて述べてきましたが、発生する要因は外的要因ではなく、内的要因であることがわかるかと思います。
つまり、フィルターバブルをどうかするのも自分たち次第であるということです。
フィルターバブル化していることに気づけないほどにバブル化してしまうことが最悪のパターンです。
本記事をお読みいただいて少しでフィルターバブル化している要素があるとお感じになった場合は、組織の成長のためにもすぐにでも対策に着手していただければ幸いです。
さいごに、当社でもフィルターバブル化しないために何をすべきかを常に考え、アイデア出し、実行を細かく行っていますので、そのあたりも今後投稿していきます。
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