伊藤聡

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伊藤聡

会社員兼ライター。書評、映画評を中心に、いろいろ書いております。| Twitter : https://twitter.com/campintheair | メール so.ito.so@gmail.com

マガジン

  • 雑記

    特にこれといったテーマもなく書いた雑文です

  • 映画の記録

    見た映画に関する記録です

  • スキンケア本『電父』(平凡社)のすべて

    2023年2月24日発売の書籍『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました』(平凡社)について知ってもらうための記事です

  • 読書の記録

    読んだ本の感想をまとめたものです

  • 音楽の記録

    好きな音楽について書いたものです

最近の記事

住む人の心のなかを具現化した場所としての部屋

ようやく部屋の掃除ができた。ずっと部屋が散らかっていて、こんなに汚い部屋に住むのは嫌だと思いつつ、なかなか掃除に踏み切れない状態がしばらく続いていたのだ。手をつけるまでにかなり時間がかかってしまった気がする。というのも「まずは掃除の前に○○をしなくては」という焦りがあり、どうしても掃除が後回しになってしまう。こんな状態の部屋に住みたくないと思いつつ、なかなか始められない。この週末に一念発起し、部屋をまともな人間が住む状態にしてみて痛感した。きれいな部屋は本当に気分がいい。掃除

    • 『落下の解剖学』『ネクスト・ゴール・ウィンズ』

      『落下の解剖学』物語の中心となるのは、人里離れた山奥で暮らす夫婦とその小さな息子。ある日、夫が高所から転落して死亡するのですが、その死には不審な部分があり、妻が犯人として疑われるというあらすじの裁判映画です。内容が本当に重苦しく、人間関係の複雑さが静かなタッチで描写されていきます。そのヘヴィーな展開に思わず、映画を見ながら「なぜ私は、お金を払ってこんな苦しさや不安を感じなくてはならないのか」と悶絶してしまいました。私は歳を取るごとに、人が言い争う場面を見るのが本当にしんどくな

      • 最強保湿クリーム「IHADA 薬用ナイトパック」について

        「IHADA 薬用ナイトパック」とは今日も私の肌は好調である。なぜなら「IHADA 薬用ナイトパック」を使っているから〜〜! 2023年の各美容雑誌ベスコス(今年よかった美容製品を挙げてランキング形式で発表する企画)でも多くの得票があったこの製品、私もハマっており、昨晩3つめを開封したところ。発売当初は人気すぎて入手が難しかったが(どのドラッグストアにも置いていない)、ここ最近ようやく買えるようになってきたので、「もうすぐなくなる……」という補充の心配がなくなった。店頭に製品

        • 映画『PERFECT DAYS』の平山(役所広司)は、フェイクかガチか?

          『PERFECT DAYS』への批判映画『PERFECT DAYS』は、見る人によって評価が分かれる作品である。トイレ清掃員として働く男、平山(役所広司)の生活を描くこの映画だが、肯定する意見と同等に批判も多い。例をあげれば、映画そのものが広告的だとの指摘がある。曰く、劇中で平山が清掃するのは「世界的に活躍する16人の建築家やクリエイターがそれぞれの個性を発揮して、区内17カ所の公共トイレを新たなデザインで改修する、渋谷で20年から行われているプロジェクト『THE TOKYO

        住む人の心のなかを具現化した場所としての部屋

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          12本
        • ハイラル王国、旅のしおり
          3本

        記事

          デジタルごみ掃除の憂鬱

          録画機能つきドアホン私の住んでいるアパートが、カメラつきのドアホンを設置すると連絡してきた。2ヶ月くらい前のことだ。いままでは、呼び鈴を鳴らしている来訪者の姿が見えなかったのだが、これからは誰が来たのか確認できるようになるという。別に嬉しくない。ただし、この機器の設置はアパート側の判断で、特に私がお金を負担するわけでもなく、また断る権利もなさそうだったので、私の部屋にもカメラつきドアホンがやってくることになった。この機器の特徴は、録画機能である。外出中で受け取れなかった宅配便

          デジタルごみ掃除の憂鬱

          『ダム・マネー ウォール街を狙え!』と、アメリカの民主主義

          This is Americaこれぞアメリカ映画だ、とねじ伏せられたフィルムです。コロナ禍の株価乱高下を題材にした『ダム・マネー ウォール街を狙え!』には、アメリカ映画に必要なエッセンスがすべて詰め込まれています。「インターネット掲示板に集うネット民が一致団結し、暴利をむさぼる大手金融ファンドを打倒する」という、いかにも現代的な筋立ての本作ですが、その展開は伝統的なアメリカ映画の王道であるように感じました。ユーモアとスリルに満ちた構成も楽しく、ぜひ推薦したいみごとな作品だとい

          『ダム・マネー ウォール街を狙え!』と、アメリカの民主主義

          「M-1グランプリ アナザーストーリー」と、人を愛でる文化としてのお笑い

          M-1に挑戦するドキュメンタリー毎年楽しみにしている「M-1グランプリ アナザーストーリー」が、今年も放送された。ウエストランド井口さんが「ウザい! 泣きながらお母さんに電話するな!」とネタ中に怒っていたでおなじみ、お笑い芸人がM-1に挑戦する姿を記録したドキュメンタリーだ。井口さんには叱られそうだが、感動的な内容だった。誰が優勝するかわからない状態で撮っているとは思えない、膨大なアーカイブ映像に驚かされる。2018年、令和ロマン(当時は魔人無骨というコンビ名だった)が初出場

          「M-1グランプリ アナザーストーリー」と、人を愛でる文化としてのお笑い

          水木しげる『総員玉砕せよ!』(講談社文庫)

          水木の戦争体験映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(2023)で水木しげるに興味を持った私だが、これまで彼の作品を1冊も読んだことがなかった。どのような漫画家なのかもよくわかっていない。手始めになにを読むか迷ったが、映画内で描かれていた主人公の従軍経験が印象に残っていたため、『総員玉砕せよ!』を選んだ。この作品は、水木しげる本人が兵士として赴いた戦地パプア・ニューギニアでの体験が元になった作品で、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』にもその影響があるのだという(宇多丸さんがラジオでおっしゃっ

          水木しげる『総員玉砕せよ!』(講談社文庫)

          物語の「犯人は誰か?」に興味が持てなくて困っています

          犯人は別に知りたくない映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(2023)に興奮した私は、ストーリーの参照元である『犬神家の一族』(1976)をひさしぶりに見てみることにした。以前、テレビで放映したのを見たような気がするが、記憶が定かではない。再見した『犬神家の一族』は実におもしろかった。監督市川崑のスタイリッシュなショットが冴えている。犬神佐兵衛が亡くなり、金田一耕助が那須湖畔を訪れる……という冒頭から一気に引き込まれた。ところが、謎の殺人事件が連続し、犬神家が混乱に陥るところまでは

          物語の「犯人は誰か?」に興味が持てなくて困っています

          大野君(仮名)のこと

          高校1年の9月ごろだったと思うが、大野君(仮名)から家に電話がかかってきた。用件は、ファミコンソフトを貸してほしいというようなことだったと思う。大野君(仮名)は中学の同級生で、勉強がよくできる生徒だった。スポーツも得意で、サッカー部で活躍していたし、性格も明るくて人気があった。県外の進学校を受験するといって周囲を驚かせ(そんな選択をする生徒は他に誰もいなかった)、合格すると福島から離れていった。だから、連絡を受けたとき「何かの用事で地元に戻ってきているのだろう」と私は思った。

          大野君(仮名)のこと

          櫻井は桜井より強い

          櫻井さんは、桜井さんのことをどう思っているんだろうか。普段、どんな気持ちでいるのだろうか。たぶん、ちょっと見下している。自分より弱いと思っている。口では「いや、なんとも思ってないですよ」「同じに決まってるじゃないですか」と言いながら、心の底で少しだけ見下しているのだ。私にはわかる。櫻井さんは、「櫻」の貝が2個並んでいる右上の部分を書きながら、自分が強者の側であることを確認しているような気がする。これは言いがかりではない。例を挙げれば、横浜にある飲食店や商業施設が、あえて「横濱

          櫻井は桜井より強い

          『マーベルズ』と、公式に接近しすぎた同人

          がんばれマーベルズ『マーベルズ』、私はすごくいいと思ったんですけど、興行成績はあまりよくないみたいで、応援したい気持ちでこの文章を書いています。『マーベルズ』はいい。なにがいいって、ミズ・マーベル役のイマン・ヴェラーニがすばらしいです。キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)のことが大好きな高校生役で、普段はキャプテン・マーベルの同人誌を作っているファン・ガール。コミケで同人誌を売ったりしているのかな。さらには自分もヒーローになりたくて、ミズ・マーベルを名乗っているという、長

          『マーベルズ』と、公式に接近しすぎた同人

          コレ、イイんじゃない? 2023年おすすめスキンケア5選

          2023年おすすめスキンケアアイテムをご紹介中年男性のみなさん、スキンケアされてますか。伊藤です。お肌を大事にいたわっていらっしゃいますか。そして私の本、『電車の窓に映った自分が死んだ父に見えた日、スキンケアはじめました。』(平凡社)は読んでいただいているでしょうか。まだの方は、なにしろメチャいい本なので、ぜひ手に取っていただきたいです。本日は、2023年に使って好きになったスキンケア製品を3点ご紹介したいと思います。今年発売になった新製品しばりで選んでみました。本を出してか

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          悶絶するほどオシャレな、都内のサウナ施設5選

          オシャレなサウナが大好き!いきなりで申し訳ないが、私はものすごいオシャレ人間である。オシャレな街・下北沢に住み、好きな音楽はキングス・オブ・コンビニエンスとトム・ミッシュ。映画を見るならウェス・アンダーソン。地元シモキタで買った古着をクールに着こなし、人気のオーガニックカフェでコーヒーを飲みつつ、雑誌「KINFORK 日本版」をめくる。ベリークール。ことほどさように、頭のてっぺんからつま先までオシャレに染まった人間であるため、サウナ施設を選ぶ際にもっとも重要視するのも、当然「

          悶絶するほどオシャレな、都内のサウナ施設5選

          飲み会に男性が集まらない問題を考える

          呼んでも来てくれない私はたまに、5~10人くらいの参加者を募って、おしゃべりをする会を主催しているのだが、その会に男性が集まらなくて困っている。どうすれば来てもらえるのか方法がわからず、今日はそのことについて書きたい。「おしゃべり会」は、コロナ禍ではレンタルルーム(アルコールなし)で開かれていたが、いまは居酒屋(アルコールあり)に場所を移した。自分でいうのもなんだけれど、なごやかで楽しい会だと思っている。その際、私としてはできるだけ参加者の男女比を半々にしようと考えていて、い

          飲み会に男性が集まらない問題を考える

          『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』と、世界中のティーンエイジャーが抱える鬱屈の総量について

          ニューヨークの下水道に住むカメのミュータントこの文章を書いている私は、カメのミュータントではなく人間として育ったのだが、それでも、本作に登場する4人のミュータントの抱える鬱屈が痛いほどに伝わってくる。劇中、ニューヨークの下水道に住む彼らが、闇にまぎれて街へ飛びだし、生活物資を調達したついでに寄った野外上映会。そこでは『フェリスはある朝突然に』(1986)がかかっており、4人のミュータントは、スクリーンに映し出される高校生活、無邪気なティーンエイジャーの輝かしい姿を見る。そして

          『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』と、世界中のティーンエイジャーが抱える鬱屈の総量について