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読書の記録

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読んだ本の感想をまとめたものです
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記事一覧

水木しげる『総員玉砕せよ!』(講談社文庫)

水木の戦争体験映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(2023)で水木しげるに興味を持った私だが、こ…

伊藤聡
4か月前
27

小川たまか『たまたま生まれてフィメール』(平凡社)

百貨店と商店街私は長らく、フェミニストの女性に対して百貨店のようなイメージを抱いていた。…

伊藤聡
9か月前
31

こりゃ売れるって! MEGUMI著『キレイはこれでつくれます』のとてつもない破壊力を解…

10万部超えで大爆走中いま売れに売れまくっている美容本、発売後1ヶ月も経たずに10万部超えで…

伊藤聡
11か月前
95

石山蓮華『電線の恋人』(平凡社)

電線について語る本電線愛好家の石山蓮華が、電線の魅力について語った本が『電線の恋人』であ…

伊藤聡
1年前
18

酒寄希望『酒寄さんのぼる塾日記』(ヨシモトブックス)

4人組のお笑いグループ「ぼる塾」のリーダー、酒寄希望によるエッセイ本。これが実におもしろ…

伊藤聡
1年前
45

清水晶子『フェミニズムってなんですか?』(文春新書)

新書で気軽に読めるフェミニズムの入門書、という位置づけの本。読みやすく、とてもいい内容だ…

伊藤聡
1年前
25

ロバート・コルカー『統合失調症の一族 遺伝か、環境か』(早川書房)

大家族を夢見た若い男女まるでホラー小説のようだった。ロバート・コルカーの著書『統合失調症の一族』はノンフィクションであり、この本に登場する家族は実在しているのだが、読みながらずっと「これは現実なのだろうか」と信じられないような状態が続いていく。おもしろいとは形容できないし、スリリングとも違う、独特の内容だ。このできごとは実際に起こったのだと思うと、現実が歪んでいくような感覚にとらわれてしまう。とある家族の陰鬱な歴史がどこまでも続いていく本書を読んでいると、健康であること、幸福

村中直人『〈叱る依存〉が止まらない』(紀伊國屋書店)

「叱る」とはなにか朝日新聞9月16日13面で気になる記事を見つけた。「オピニオン&フォーラム …

伊藤聡
1年前
92

山田宏一『フランソワ・トリュフォーの映画誌』(平凡社)

山田宏一のトリュフォー本は多数あり、どれも好きなのだが、やはりトリュフォー本人と直接に交…

伊藤聡
1年前
13

蓮實重彥『ジョン・フォード論』(文藝春秋)

とてつもない記憶力精力的な刊行が続く蓮實重彥である。今年4月に出た『ショットとは何か』(…

伊藤聡
1年前
12

ケヴィン・ウィルソン『リリアンと燃える双子の終わらない夏』(集英社)

フィジカル的に燃えるタイトルにある「燃える双子」とはメタファーではない。この小説では、本…

伊藤聡
1年前
11

エルヴェ・ル・テリエ『異常【アノマリー】』(早川書房)

だいたい小説にはジャンルがあって、純文学、SF、ミステリ、ホラーなど、手に取る前に一応の予…

伊藤聡
1年前
31

蓮實重彥『ショットとは何か』(講談社)

言語化しにくい「ショット」とはいいタイトルの本だと思った。ずっと知りたかった映画の謎がこ…

伊藤聡
1年前
35

アンディ・ウィアー『プロジェクト・ヘイル・メアリー(上・下)』(早川書房)

あらすじは言わない!!!多くの人が絶賛する小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読了し、いてもたってもいられないような気持ちでこの文章を書いている。本当にすばらしい。小説の持つ、途方もない興奮に打ちのめされてしまった。このおもしろさは何なのだろうか。思うに小説にはさまざまな評価軸があり、たとえば「美しさ」や「ドラマ性」、あるいは「人間描写」「アイロニー」などの基準で測ることができるのだが、端的に「おもしろさ」というベクトルで考えたとき、ここまで「おもしろさ」が突き抜けた小説