ロバート・コルカー『統合失調症の一族 遺伝か、環境か』(早川書房)
大家族を夢見た若い男女まるでホラー小説のようだった。ロバート・コルカーの著書『統合失調症の一族』はノンフィクションであり、この本に登場する家族は実在しているのだが、読みながらずっと「これは現実なのだろうか」と信じられないような状態が続いていく。おもしろいとは形容できないし、スリリングとも違う、独特の内容だ。このできごとは実際に起こったのだと思うと、現実が歪んでいくような感覚にとらわれてしまう。とある家族の陰鬱な歴史がどこまでも続いていく本書を読んでいると、健康であること、幸福