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映画の記録

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見た映画に関する記録です
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記事一覧

『ナミビアの砂漠』と、でたらめだが正しい怒り

映画のフォーマットでしかできない表現映画らしい映画を見た、という気がした。映画のフォーマ…

伊藤聡
5日前
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『ヒットマン』と、「男らしさ」を持て余した主人公

グレン・パウエルの勢いリチャード・リンクレイター監督、グレン・パウエル主演のクライムコメ…

伊藤聡
2週間前
23

『ラストマイル』と、令和の一億総プロレタリア時代

※こちらの記事は映画の内容に触れています。 当初の予想を裏切る強いテーマ性大ヒット中の話…

伊藤聡
3週間前
61

『ACIDE/アシッド』と、なんか揉めちゃうお父さん

予告編にあった「酸性雨で人が溶けてしまう」というモチーフが気になって、見に行きました。ど…

伊藤聡
1か月前
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『インサイド・ヘッド2』と、自我の解体工事

https://www.disney.co.jp/movie/insidehead2 子ども向け精神分析映画2015年公開『インサイド…

伊藤聡
1か月前
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『フォールガイ』と、虚構としての映画

映画業界を支えてきたスタントマン「フォールガイ」(落ちる人)とは、映画業界におけるスタン…

伊藤聡
1か月前
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『ツイスターズ』と、竜巻と共に舞い上がる恋の行方

竜巻を追いかけます(28年ぶり2度目)『ツイスターズ』は、ヤン・デ・ボン監督『ツイスター』(1996)の続編として製作されたディザスター映画です。「竜巻の出てくる映画である」という以外、前作を引き継いでいるわけではありませんので、予習は特に必要ないかと思われます。豪勢な竜巻の描写がスペクタクルを感じさせ、展開も心地よい快作と呼べるのではないでしょうか。竜巻が発生するには、平らで広く障害物のない土地が条件だそうで、アメリカのように広大な場所でないと起こらないらしく、そのアメリカ

『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』と、真実を伝える方法

陰謀論はなぜか陳腐化しない「アポロ11号の月面着陸映像はフェイクではないか?」というのは、…

伊藤聡
2か月前
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『チャレンジャーズ』『フェラーリ』

『チャレンジャーズ』とても見応えのある、おもしろい映画であると同時に、私にはこの作品のよ…

伊藤聡
2か月前
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『関心領域』と、想像の難しいものごとについて、それでも想像すること

絶滅収容所のとなりで幸福に暮らす家族アウシュビッツにあった絶滅収容所の所長一家が、施設の…

伊藤聡
4か月前
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『虎に翼』 花岡と轟、そして「ロッカールーム・トーク」について

ふたりの男性像の対比今回、『虎に翼』に登場するふたりの男性、花岡(岩田剛典)と轟(戸塚純…

伊藤聡
5か月前
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『ゴジラxコング 新たなる帝国』と、「カワイイ」の記録更新

コングがかわいいの2014年の『GODZILLA ゴジラ』から始まる、映画制作会社レジェンダリー・エ…

伊藤聡
5か月前
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私も『虎に翼』について語りたいのだけれど

NHKの連続テレビ小説『虎に翼』がすばらしい、という話をしたいのだが、いざ文章を書く段にな…

伊藤聡
5か月前
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『落下の解剖学』『ネクスト・ゴール・ウィンズ』

『落下の解剖学』物語の中心となるのは、人里離れた山奥で暮らす夫婦とその小さな息子。ある日、夫が高所から転落して死亡するのですが、その死には不審な部分があり、妻が犯人として疑われるというあらすじの裁判映画です。内容が本当に重苦しく、人間関係の複雑さが静かなタッチで描写されていきます。そのヘヴィーな展開に思わず、映画を見ながら「なぜ私は、お金を払ってこんな苦しさや不安を感じなくてはならないのか」と悶絶してしまいました。私は歳を取るごとに、人が言い争う場面を見るのが本当にしんどくな