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冬の古都より旅人へ

15年近く前の冬。石川県金沢市。

日本三名園の一つ、兼六園。

雪吊りを見に向かうタクシーの中、

「もしコチラに縁があるような事がありましたら、いつでも連絡下さい。以前、仙台の方がコチラの大学に決まった際、私がアパートを探すお手伝いをしたんです。今は卒業されましたが、年賀状のやり取りは続いてますよ。」

と言って、運転手さんが名刺をくれた。

そこまでするとは、親切なのか、世話好きなのか…

はたまた見知らぬ旅人への気遣いか?

それはきっと、街が寧静な証拠。

そこでは私は異邦人。

やがて到着した冬の兼六園。

知る人のいないその街で、見事な雪吊りの中、前を歩く派手なカップルを眺める。

平和が至る所に見られる寧静の街。

情緒漂う、エトランジェに優しい街。


寧静(ねいせい)・・・世の中が平穏なこと。心が安らかで落ち着いていること。


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