敗者のやるせなさ~漫画『モンテ・クリスト伯爵』~
先日、2周年記念のバッジを頂いた。これを機に、過去の記事を見返してみると、固定記事の次にビュー数が多いのが、昨年同様、下記の記事。
昨年、1周年記念のバッジを頂いた際にも紹介させて頂いたが、初期の頃に書いたにも関わらず、ビュー数が2位の不思議な記事。
昨年は、主人公エドモンのかつての恋人メルセデスに焦点を当て、再度この作品を振り返ったが、今年はエドモンの恋敵でメルセデスの夫、フェルナンを取り上げてみる。
この人物は、主人公エドモンをディフの牢屋に送り込み、エドモンの婚約者、メルセデスを奪い、金儲けのために殺人まで犯した悪党。
作中に2度登場する彼のセリフ「お前には負けたよ。」が印象的。
このセリフは、エドモンとメルセデスの結婚式当日にエドモンが逮捕される直前と、フェルナンが自害する前の2度登場する。
フェルナンは、あらゆる点で、エドモンに敵わなかった。仕事での昇進も、町一番の美少女と結婚することも…エドモンがいる限り、自分は一生、日陰者。
そして、失望と嫉妬から、仲間とともにエドモンを罠にかけ、牢屋に追いやった。入ったら死ぬまで出られない牢屋へ。
そして、出世のために、自分の手を汚していく。
しかし、エドモンは脱獄し、またしてもフェルナンの前に現れ復讐する。
追い払ったはずのエドモンを見て、驚愕するフェルナン。
彼には、どうやっても勝てない。
フェルナンは、エドモンを排除することで欲しいものを手に入れた。
頂点を極めたかに見えたところで、最後は死に追いやられ「負けたよ。」と呟く。
誰でも感じるのかも知れない自分の能力の限界。
越えられない壁。
結局は、与えられた能力を最大限生かすより仕方ない。
他人に嫉妬し、奪ったところで、虚しいだけ…最後に何もかも失ったフェルナンのやるせなさが、どこか自分にも重なる。
※ 1周年記念の時の記事はコチラです。
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