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縁がある見知らぬ人

コロナ前の話。

ある日、1日に2回、同じ人を助けた。

その日の昼間、日本に到着したばかりらしい
東南アジア人4人組に道を聞かれた。
自分たちが泊まるホテルの場所が分からないとのことだった。

一緒に地図を見ながら道を教えてあげると、「Thank you!」と礼を言われたので、
僕も「See you(またね)!」と返し、
彼女たちは去っていった。

そして夜、僕が焼鳥屋で飲んでいると、
ガヤガヤとカウンターに座り出した外国人が
いたので目をやると、なんと、昼間ぼくが
道を教えた4人組ではないか。

焼鳥屋のおやじも店員の女の子も
英語がお手上げらしく、おやじが
「誰か英語が分かる方いませんかー?」と
言うので力になることにした。

実は僕も、英語が話せる訳ではない。
ただ自分も旅行者のはしくれとして、
日本に遊びに来てくれた人の助けになりたいと
思っただけだ。

その4人組はシンガポールから来たらしく、
日本では「ヤキトリ」と「ジャパニーズサケ」
そして「ヌードル」を試してみたいと言った。

そこで僕はおやじにとりあえず、「かしわ」と「熱燗」、「めかぶうどん」を注文し、また飲み出したが、4人組も堪能したようで、「この店は明日もやってるの?」なんて聞いてきた。

それにしても、昼間に「See you(またね)!」と言った人に同じ日に本当に会うのが実現するなんて、なかなか珍しいこともあるもんだな。

彼女たちはあれから、日本を楽しんで帰ったのだろうか。

コロナがあけたら、またシンガポールから日本に遊びに来てくれると嬉しいな。

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