ストリートに適したカメラについて思いを巡らす 後編
先日こんな記事を書いた。その続き。
何が必要か
まず自分が「必要」と思う要素を書き出してみたい。1)適度に軽いこと。あまり目立たないこと。2)適度に機敏に操作できること。3)RAWが撮れること。4)使いたい画角が使えること。5)できればAPS-C以上のセンサーサイズが欲しい。
1は当然だけれどもどこまで小さいものを求めるか。2−5までとの兼ね合いも考えなければいけない。ポケットに入る小ささはいいが、AFが遅くてピンとが合わないのにマニュアルも使いにくい、とかだと難しい。
候補を挙げるとしたら(レンズ固定式の場合)
まず小ささで選ぶなら固定レンズのカメラだろう。リコーのGRIIIシリーズ、それからライカQ3、富士フィルムのX100VIが思い浮かぶ。ソニーのサイバーショット RX1RM2は素晴らしいカメラのようだが、ちょっと古いので外す。
リコーのGRIIIシリーズは非常に人気があるらしい。APS-Cのセンサーに換算28ミリか40ミリのレンズ。GRは言ってみればリコーのフラッグシップ機として長年育ててきたブランドで、ある意味信頼性は高い。今回挙げる機種の中で一番軽い。なのでビューファインダーとかそういったことはないものねだりだろう。個人的には、小さいが故にレンズが繰り出す部分の耐久性や、GRデジタル時代に紛失しやすかった全面のリングは今は何か工夫されているのか、修理はどうなるのか、気になる点は残る。以前使った機種では修理は海外送りになっていたと記憶している。
ライカQシリーズは自分の周りで結構見かける。と言っても2人だけだが、自分の狭いネットワークでは多い方。一回電子ビューファインダーを覗かせてもらったが、違和感はなかった。Q3はその最新機種。フルサイズセンサーに大口径の28ミリレンズがつき、画素数の多さからクロップしてもかなり画質は残せるはず。修理の詳細はわからないが、ライカ専門店があるのも安心感がある。残念な点としては、結構重くて軽量なミラーレス一眼に軽い単焦点をつけたら、どっちが軽いかわからない。一番大きな問題はかなり高価で筆者が買うにはかなり無理しないといけないこと。知り合いの英人フォトグラファーはキヤノン使いだが、「どうせ1台しか使わない」とキヤノン1台とライカQで仕事も自分の撮影も乗り切っていると言っていたが、今もそうなのだろうか。パンデミック中にすっかり疎遠になってしまって今どうしているかは知らない。
今年、新モデルを出したのが富士フィルムのX100シリーズ。GRシリーズ同様、人気のシリーズでX100VIが今年の発売。APS-Cのセンサーに換算35ミリのレンズがついている。重量はGRIIIシリーズより重くQ3より軽い。光学・電子ビューファインダーも備えている。個人的には思い返す限り富士フィルムのフィルムは無限と言ってもいいほど感光させてきたが、カメラは使った覚えがない。ちょっと高いのも気になる。安価なミラーレス一眼に安価な単焦点をつければ、フルサイズでも買えそう。
候補を挙げるとしたら(レンズ交換式の場合)
ここでレンズ交換式でも使いたいかも、と思うものを上げていくと、もう少し機種はある。ライカMはもう手が届くレベルの価格ではないので除外する。個人的に気になるのは、ソニーのα7CIIとキヤノンのR8。ミラーレス一眼でもこのあたりのモデルだと軽量単焦点と組み合わせればライカQシリーズと重量で張り合える。α7IVとかとバッテリーを共用できることや、上部がフラットなデザインに仕上げたあたり、ソニーが一枚上手の印象だ。フルサイズでこのくらいに収まるのであれば、APS-Cセンサーの機種は手を出すのをためらってしまう。あとはシグマのfpシリーズも気になるが、情報があまりないので判断しにくい。レンズ交換式へ行くなら、やはりマウントを統一しておかないと、という思いもある。
王室はライカと富士フィルムがお好き?
話は逸れるが、先代の女王はライカを手にした姿が撮影されている。今の王朝はドイツからなのでさもありなん。
現国王が自分のカメラを手にしている写真は見た記憶がない。その代わり義理の娘にあたるキャサリン妃が富士フィルムのカメラを手にしている写真がある。
まとめ
ここで個人的なまとめをしておくと、値段をあまり考慮せずに考えればライカQ3が魅力的。固定単焦点とはいえ28ミリの大口径レンズにクロップしても画質を担保できる高画素モデルで、固定単焦点モデルの王様と言ってもいいだろう。ソニーのRX1シリーズも機能をアップデートしたモデルが出るならおそらく競合するのでは。
価格を考えれば、固定単焦点モデルならリコーのGRIIIシリーズかなと思う。富士フィルムのX100VIはちょうど良さそうなサイズといい、換算35ミリのレンズといい魅力的なのだが、ライカほどではないにしろ価格もそれなりで、それならミラーレス一眼のフルサイズの方に行ってしまおうか、という気にもなる。
フルサイズミラーレス一眼であれば、ソニーの方がストリートフォトグラファーが好きそうなカメラを出しているようにも思うが、筆者の個人的理由から複数マウントを使いこなす余裕はなく、キヤノンのR8が候補になる。
まとめのまとめをするならば、現時点では軽さや手軽さ優先で他の気になる点に目を瞑ればGRIIIシリーズ(画角から言えば換算40ミリのGRIIIxかな)。バックアップカメラと共用できるという点を重視して他のことをあまり考えないようにすればR8になる。いずれにしろ先立つものが必要なので、粛々と節約しますか。
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