ストリートに適したカメラについて思いを巡らす 追記

ちょっと公私ともにいろいろあってしばらく書いてなかったけれど、以前こんな記事を書いた。

後編の中でリコーのGRIIIシリーズに少し触れている。この時に意識していたかどうか覚えていないのだけれど、最近改めて内蔵フラッシュ(ストロボ)がないことに気づいた。もちろん何を今更、といった類の話なのは承知の上なのだが、ある種の感慨を持ったのは、なんとなく森山大道との今生の別(大げさ笑)のように思えたからだ。

筆者の記憶が正しければ、フィルム時代のGR1シリーズはボディの小ささと広角単焦点の高画質でいざという時にも役立つ、職業フォトグラファーの懐刀として人気があった一方、森山大道のストリートフォトグラフィーの道具として有名になった側面もあると思う。氏はハイコントラストの粒子感あふれるモノクロ写真の印象が強く、トレードマークと言っていいと思うが、現像などの撮影後の技術だけでなく撮影時にも内蔵ストロボを使ってコントラストを出すのが好みのようだ。氏のドキュメンタリーなどではそんなストロボを使う場面が出てくる。

森山大道ももともと「カメラなんてなんだっていいんだよ」という人らしく、使用カメラは転々として、最近では高倍率ズームを載せたニコンのコンパクトデジタルカメラを使っているのが撮影されたりしている。しかしリコーのGRの印象も私としてはまだまだある中、現行のGRシリーズから内蔵フラッシュ(ストロボ)が消えたのは、氏に「さよなら」を言っているような象徴的な出来事に感じたわけだ。

内蔵フラッシュ(ストロボ)をなくすことで生じたスペースは設計の自由度を高めたことだろう。小さなボディにAPS-Cのセンサーを積んだGRIIIシリーズではなおさらのことと思う。で、なぜGRIIIが気になっていたいろいろ見ていたかといえば、カメラを分けることの必要性を感じつつあったからなのだけれど、これについてはまた稿を改めて書いてみたい。

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