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【読書レポ】千葉雅也『デッドライン』を読んで
初めて千葉雅也さんの本に触れた。千葉さんがどんな方なのか知ることもせず、ただタイトルとツイートに惹かれるままに買ってみた。やっぱり読書は衝動的な方が気持ちいいなぁと思う。
大学生活とハッテン場がぶつ切りに入れ替わる。それが表と裏という印象でもなく一体となって進んでいくような感覚と、展開の上り降りが激しくない、哲学と日常と性に淡々と動いている描写の、坂のなく分岐の多い坑道のようなひんやりと冷たい心地よさ。
僕にとって初めて知った千葉さんの小説、尚且つ断片的な連続にページめくりが止まらないのはなぜだろう。著名性を度外視した(大変失礼)、見知らぬ人の小説、エッセイとどう違うのだろう。
例えばドゥルーズや荘子と言った専門性やハッテン場の描写が目を引くからというのは間違いない。そのシーンではどっぷりと思案や新鮮味に引き込まれる。
Twitterで千葉さんが「テーマを決めない」と言っていたが、『デッドライン』もLGBTの問題意識や哲学的な命題を問うているわけではない。
テーマの焦点を絞らず、かつ深みに踏み込んでいく低温の凄みだと思った。
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