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晩秋の高野山

11月半ば、晩秋の高野山を友人と一緒に訪ねました。もう紅葉は盛りを過ぎているよ、と聞いてはいたのですが、友人は愛染明王さまのおられる金剛三昧院を、私はずっとご無沙汰している清高稲荷大明神を参拝したくて、人出の落ち着いた時期を選んで出かけました。

高野山大学構内にて
金剛峯寺の柵際の紅葉
道路脇の大木

駐車場に車を停めて歩きはじめると、あちらこちらに残り紅葉が。もうずいぶん散っているため、細かな枝々が透けて見えて、それもまた美しく感じました。

こちらは初めて見た高野槇の松ぼっくり。(槇ぼっくり?)
笠のかたちが見慣れている松ぼっくりとはちょっと違って、スタイリッシュに見えます。

清高稲荷大明神


高野山はお寺さんの山ですが、お稲荷さまもおられます。
清高稲荷大明神の主祭神は、お大師さまが京都の「伏見稲荷大社」から勧請したとされる正一位「清高稲荷大明神」。同じく京都の「吉田神社」から勧請された「白柏稲荷大明神」もおまつりされているとのことですが、その文献が見つかったのは近年のことらしく、詳しいことはまだわかっていないそうです。

現在、社務所は閉じられています

連なる鳥居をくぐってたどりつくお社は日当たりの良い場所ではなく、昼間でも木もれ日が差す程度です。
でも、私はここのお稲荷さまの静かな空気感が大好きで、ことにお社の後ろから見上げる木立の風景に惹かれています。

お社の後ろから見上げる木立

お稲荷さまには久々に般若湯をお供えして手を合わせ、これから動き出して始めたいことのお話をたくさん聞いていただきました。

金剛三昧院


金剛三昧院は私の友人イチ推しの愛染明王さまがおまつりされています。
源頼朝の等身大の念持仏だと伝わる、眼光鋭い仏様です。

「金剛三昧院」本堂
天狗さまが住むと伝わる、ご神木の「六本杉」
国内で二番目に古い、国宝の多宝塔


四年前の秋、友人と私は「自分自身に合うお香を調合する」という、金剛三昧院でのワークショップに参加したことがあります。その際、お堂での阿字観体験と共に愛染明王さまを間近で参拝させていただきました。
愛染明王さまは仏様なのですが……なんとも近寄りがたい雰囲気で、恐ろしさとありがたさがないまぜになったような、とても不思議な感じがしたことを覚えています。

源頼朝の念持仏だと伝わる愛染明王さま

この写真はその時のもの。愛染明王さまの迫力が伝わるでしょうか……。
通常の参拝ではガラス越しに距離をおいてお姿を覗き込むのがやっとなので、私にとってはとても貴重なお宝です。

ところで、友人はこの時、長女さんが良いご縁に恵まれるよう愛染明王さまの腕輪を購入しました。
そしてその後……珈琲をきっかけにして、まるで少女マンガのような展開で長女さんに素晴らしい出会いが。ありがたいことに四年後の今年、長女さんと「珈琲の君」は結婚式を挙げ、幸せな新生活を始めています。

今回の参拝はガラスを通してでしたが、友人はゆっくりと長い間、愛染明王さまに手を合わせていました。

奥之院

どのお参りも時間をかけて回った上、お昼ごはんを「梵恩舎」でのんびりといただいたため、最後に奥之院を訪ねたのはもう、午後4時を回った頃でした。

ありがたいことに、うっすらと斜光の差す奥之院の参道にも、ところどころに残り紅葉が。
水掛地蔵さまの後ろの黄葉は明るく輝いていて、ちょうど見ごろの時期だったようです。

夕刻のため参拝者は少なく、お大師様のおられるお堂の前では若い男性が一人、そして友人と私の三人だけ。ろうそくの灯る静寂の中、般若心経を唱えさせていただきました。

晩秋の日暮れは早く、帰り道は真っ暗な中での運転でしたが、不思議と不安はなく、新城を通り紀美野町を抜け、無事に友人と一緒に家まで帰ることができました。

灯籠に照らされた真紅の紅葉がいつまでも目の底に残る、今年最後の高野山への参拝でした。

(ライター部:大北美年)


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