「お母さんの顔」を描くということ
5月に「母の日」というものがある。
子どもが幼稚園や保育園で「おかあさんの顔」を描いたものが、貼り出される。
末っ子が幼稚園に入園した年の母の日参観、
大きな顔に一応目鼻口らしきものが添えられた、3歳児の可愛らしい絵が並んでいた。
ところが我が子の絵には顔は描かれていなかった。
黒いクレヨンで丸が塗りつぶされていた。
私は固まった。
どうしてこんな絵なのだろう。
私はもしかして彼にとって怖い母親なのか⁉︎
いや、そんなはずはない。
考えに、考えて、たどり着いた結論。
おそらく彼は、目の前に私がいないのに、「おかあさんの顔を描きましょう」と言われて、戸惑ったのだ。
そりゃあ、目が2つ鼻が1つ口が1つくらいはわかる。でも、それではどんな顔かわからない。
こだわりが強くて、きっちりしたことを大事にする気質の彼には、「こんな感じ」と適当に描くことができなかったのだろうと。
彼なりに頑張って描いた絵なのだと。
だから、彼には「ありがとう」と言った。
そう言われてうれしそうでもなかったが。
ちゃんと描きなさい、などと言わなくて本当に良かった。
それから彼は、絵を描くことが好きな子になっていったから。
2018年 05月 05日
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