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【名盤伝説】”Seawind / S.T.” (1980) ハワイの海風を感じるホーンセクションが心地よいフュージョン・バンド。

お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。ハワイ出身のフュージョン・バンド、シーウィンドの4作目で実質ラストアルバムの『Seawind (邦題: 海鳥)』(1980)です。

70年代初めに“OX”というバンド名で活動をしていたボブ・ウィルソン(Drs)とラリー・ウィリアムス(Key, Sax)が、1976年に活動拠点を地元ホノルルからLAに移しシーウィンドとして本格的にバンド活動を始めます。メンバーはボブとラリーの他、ポーリン・ウィルソン(Vo)、ジェリー・ヘイ(Tp)、キム・ハッチクロフト(Sax)、バド・ヌアニス(G)、ケン・ワイルド(Bs)。ボーカリストに4リズム、+ホーン隊という特徴的な編成となっています。

ハーヴィー・メイソンに認められ、1977年にデビューアルバム『シーウィンド』をCTIよりリリース。翌78年に同じくCTIより第2作『Wind of a Child (邦題: 太陽の伝説)』をリリースします。

その後A&Mに移籍し、1979年にはトミー・リピューマのプロデュースで『ライト・ザ・ライト』を発表。翌1980年にはジョージ・デュークをプロデュースに迎えて今回紹介する『Seawind (邦題: 海鳥)』をリリースします。

当初メンバーだったジェリー・ヘイはこのアルバムではゲスト扱いとなっています。デビュー当初から「シーウィンド・ホーンズ」として注目を集め、LA周辺の様々なアルバムにゲストとして参加しています。後に「ジェリー・ヘイ・ホーンズ」と呼ばれるように、このホーンセクションの中心人物として活動していたので、この時期は実質、シーウィンドとしての活動はしていなかったようですね。

収録曲
M1 What Cha Doin'
M2 The Two of Us
M3 Love Him, Love Her
M4 Everything Needs Love
M5 Shout
M6 Still In Love
M7 Pra Vosé
M8 I Need Your Love
M9 Long, Long Time

M1 スラップペースがキメ手のファンキーなナンバー。バンドの代表曲といえるでしょう。

M2 一転、ポーリンのキュートなボイスが素敵です。ソウル・シンガーのカール・コールウィルとのデュエット。2009年に発売された『Reunion』でも取り上げられ、アル・ジャロウとデュエットしている人気曲です。

M4 ラリーの幻想的なシンセから始まる割とハードなロック・チューン。バンドの多様な音楽性が垣間見れる楽曲です。

M6 ゆったりとしたラブ・バラード。ポーリンの表現力豊かなボイスが心に響きます。

M7 リターン・トゥ・フォーエバーを思わせるようなインスト・チューン。ギタリストのバドの作品。アコギによるテーマとラリーのピアノ・ソロなど、フュージョン・インスト作品として聞きごたえ十分な楽曲です。

バンドのメジャー契約以外に認められている、クリスチャン・ミュージックの活動として、ボブとポーリン夫婦名義でMyrrhレーベルから1981年に『Somebody Loves You』というアルバムがリリースされています。参加メンバーはほとんどシーウィンドということで、実質バンドの5作目とも言われています。ファンの方は要チェックです。

収録されている「Joyful Melody」はポーリンの特徴的なキュートなボーカルが魅力のミディアムテンポのラブ・バラード。愛は全てを救う・・・クリスチャン以外にも通じるメッセージですね。


角松敏生プロデュースによるボーカリスト発掘プロジェクトVocalnd。アルバム『VOCALAND』(1996年)では、日本人アーティストに交じってポーリンも参加して、シーウィンドの名曲「What Cha Doin’」と「The Two of Us」が収録されています。「Two …」はポーリンとフィリップ・イングラムとのデュエットで、アレンジが秀逸!。ポップでファンキーで私は好きです。角松のアレンジャーとしての才能全開の作品です。

このアルバムのリニューアル盤がリリースされます。もちろんポーリンが歌う「The Two of Us」も収録されています。SEAWINDというよりも角松ワールドですけど、こんな楽しみ方もあるかなと。機会があればご一聴ください。

「VOCALAND REBIRTH Extended Mix by TOSHIKI KADOMATSU」 2024年6月26日リリース ‘90年代にリリースされた「VOCALAND (’96年)」「VOCALAND2...

Posted by 角松敏生 on Monday, April 22, 2024


フュージョン全盛期のバンドですが、今もその魅力は失われていません。エアコンの冷房が恋しくなる季節に、海風を感じられるシーウィンド・サウンドも冷たい飲み物と一緒にぜひどうぞ。


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