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目が見えない うちのわんこから教わったこと ~与えられた環境の中でどう進むか~

「見えない見えないって、おばあちゃん扱いしないで!」

うちには、12歳のメスのトイプードル、PONO(ポノ)がいます。ポノは白内障と網膜変性症のため、約1年前から全く目が見えていません。光も感じられていないとのことです。そんなポノが何を思っているのか、困っていることはないかなどを知りたくて、以前にもお世話になったことのある、動物の気持ちを感じ取れるカウンセラーさんのところへ行きました。すると、開口一番(と言うのかしら)、ポノに叱られてしまいました。そして、その姿勢に感動し、学んだ話です…よかったらお付き合いください。

1年ぶりのカウンセリング。「言いたいことある?って聞いてください」とお願いしたところ、カウンセラーさんは間髪入れず、「おばあちゃん扱いしないで!って言ってます。あぶないあぶないって、うるさい!と(笑)」。目が点でした。

家の中をそれなりに上手に歩くものの、たまにぶつかったりするのでその度に「あぶない!」と拠点(?)となるクッションの上に抱きかかえて戻している私。そんなことはカウンセラーさんは知るはずもないのですが、ポノは「自分のうちだから、前みたいに自由に歩けるようになりたい。だから今、頭の中に地図を作るためにあちこち歩いて確かめているのに、危ないって連れ去られる(という表現!)。できるんだからやめて!ぶつかっても気にしてないし平気だし!」と言っていると。

確かに最近、トイレに行くとか水を飲むとかの目的がないであろう方向に、てくてく行ってしまうので、「何でだろう、方向がわからないのかしら」と思い拠点クッションにすぐ戻していました。がそれは、わかるところを広げているらしく、「その途中に連れ去られる!そうしたら地図がつくれない!」と。

「自分で歩けるようになるのが楽しい!」とかなり前向きで、冒険者のように楽しんでいるようだということがわかりました。カウンセラーさんにも「この子、本当に前向きですごいですよね。ふさぎこんでもいないし、歩けるようになるのを楽しんでる…」とお褒め(?)いただきました。

カウンセリングをしていた部屋も「確かめたい」と言っているとのことで、床におろしてみると、何度も行ったりきたりあちこち歩き回って、嬉しそうにしっぽを振っていました。確かに、おっかなびっくりではなく、そこにあるものやもの同士の距離などを積極的に確かめに行っているように見えました。

さて、家に帰り、ポノの言葉を胸にじっと観察。すると、以前は無駄な動きをしているように見えていた彼女の行動が違って見えてきました。空中の匂いを嗅いだり何度も行ったり来たりして、位置関係を確かめている!そのまま放っておいてみると、満足げに自分の拠点クッションに帰っていくのです。

いつも彼女がいるリビングから一部屋超え、廊下を突き進むと私の仕事部屋があるのですが、そこまで来た時には、「私を探しにきたのだろう」と抱きかかえて拠点クッションに戻していました。今回それをやめてみたところ、私がいることを確認するだけではなく、仕事部屋の中を歩いて確かめ、そのまま満足げに一度もぶつからず遠くのリビングまで一人で帰っていきました。翌日も同じようにそっとしておきましたが、手を出さなければ、自分で気になるところを確かめて帰っていくのです。とても満足そうに。その姿を見て「(自分で自由に)歩けるようになるのが楽しい♬」と言っていたのは、本当なのだろうと確信しました。

PONOとはハワイ語で、「すべてのもの、すべてのことが本来あるべき状態」といった意味をもっており、私が開設している相談室や事業の屋号にもなっています。もともと好奇心旺盛、物音や大きな犬等にも全くものおじしない、むしろ自分から確かめに行くような子です。そして以前から、何だか勝ち気な女子高生のような雰囲気を感じるワンコです。

小さい頃からアトピー性皮膚炎に悩まされ、以前は私が薬漬けにしてしまったので(現在は東洋医学の獣医さんのおかげで、全く薬を飲まず、しかも毛がフサフサ生えています!)、目にもきてしまったのかも知れません。可哀想な思いをさせてしまったのだけれど、いつでも彼女は元気で楽しそうです。

以前、目が見えなくなり始めた頃に、カウンセラーさんを通して彼女は「この前まで(断薬中でかなり皮膚の状態が悪かった)すごく大変だったけど、今よくなった。何とかなった!だからこれも(見えにくくなってるのも)何とかできると思うの!」と言っていました。

「何とかできないんだよ、ごめんね…」とその時は思っていましたが、あれから1年。彼女の「何とかできる」は、以前のように物理的に見えるようになることではなく、以前と同じように歩き回れるくらい頭の中に地図を作って楽しむことだったようです。

ポノの前向きな姿勢に、与えられた環境を嘆いてばかりでは前に進まない、と教えられました。私は今、開設している相談室に「一歩」と「ポノ」をかけた「いっぽの相談室」という名前をつけ、前向きな一歩を探すお手伝いをしています。が、さすがポノ、本人(本犬)はそれを地でいっています。彼女の生き方を見習って、私も前向きに行こう!

おまけ。もう1つ、ポノが訴えたこと。「大好きなおやつ(ココビッツというビスケット)はもちろん変えないでほしいけど、最近、おやつの開拓をしてくれない!」…あまりにココビッツを気に入っているようだったので、確かにここのところずっと、他のおやつの開拓、さぼっていました(笑)

「犬のことばなんてわかるわけないじゃん」「犬の本能でしょ」と思われるかもしれません。そうかもしれませんが、人が何かに気づき前に進むきっかけは、私は何でもいいと思っています。カウンセラーさんとの対話がきっかけで、私が今回、ポノを今まで以上に愛おしく思い、大切なことに気付けたということは事実なので^_^
お読みいただき、ありがとうございました。



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