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認知症の母の浪費をやめさせるために

(「認知症の母と無くなった財産」の続き)

 2019年6月に、母が貯金を使い果たし、公共料金の引き落しができず、カード会社から督促が何度も続いていることが発覚しました。私は再三注意しましたが、母はカードを使った買い物をやめず、カードの解約には一切応じませんでした。
カード2枚を使った、月々の支払額はこんな感じ、ほとんどは洋服です。
  2019年8月 7万6,846円
              9月 9万4,699円
       10月   7万   596円
このような浪費を続ければ、いずれ自己破産してしまいます。2019年10月にはカード会社1社からは、1ヶ月間はカードを使用しないよう、警告の電話がありました。さすがにこの時は、母は言われたとおり1ヶ月間は使用を控えてました。私の言うことは全くきかないのに、カード会社からの警告には応じるんかい!

 母が持つカード2社には、母が認知症でお金の管理ができない事を伝え、カードの利用を停止させてほしいとお願いしましたが、私が家庭裁判所が認めた後見人にならないと、やめさせることはできない、とのことでした。

 後見人になるためには認知症の診断書が必要なので、主治医と相談し、専門病院で検査を受けることにしました。平行して母の財産管理を私がするために法的にどうしたらよいか調べ、手配することにしました。
 
 当時調べてみると、後見人制度の利用者が“こんなことになるなら後見人制度を利用しなかった”とサイトに苦情を掲載していました。特に注目したのは下記です。

① 家族が後見人になれると思って申請したら、司法書士や弁護士が後見人になり、報酬を支払わなければならなくなった
② 後見人(家族)に、家庭裁判所から司法書士等の監督人をつけると突然に連絡があり、報酬を支払わなければならなくなった
③ ①・②になると本人が了承したちょっとした出費さえ細かくチェックされ、本人のために使ったとみなされない等、超面倒に
④ 後見人制度を利用すると、取り消すことができない

 自分が後見人になれるとは限らない、成年後見人が専門家になると安くはない報酬を継続的に支払うことになる、自分が後見人になっても専門家の監督人がつくと拒否できず報酬を支払うことになる、ことが分かりました。(※その後、最高裁が「成年後見人は身近な親族を選任することが望ましい」という考えを示しました。現在は状況が異なるかもしれません。)

 結局、私は任意後見制度を利用できるように準備することにしました。これは母が判断能力が不十分になった時に、私が後見人になる契約を母が元気なうちにしておく、というものです。私が確実に後見人になり、契約で母の意向を残すことができるので、これを選択しました。
 母は既に認知症だから契約できないんじゃないの?と疑問を持たれる方がいると思います。契約の2カ月前、専門病院での検査結果は「軽度認知機能の低下。認知症と普通の境目の状態。アルツハイマー型とはっきり診断できないが近い。」というものでした。公式には認知症ではない、判断能力がある、ということになったのです。
 母は将来病気で判断能力が低下した時、動けなくなった時に備えて契約を結ぶことには同意しました。契約を行う公証役場の担当者は、年齢確認等で簡単な判断能力の確認をしましたが、母の認知症には気づかず、契約は成立しました。
 
 ちなみに相談していた知人の精神科医に検査結果を見せたところ、自分なら認知症とし、投薬治療を開始する、とのことでした。医師によって判断が分かれるものなんですね。

 後見人制度はいろいろ面倒なので、利用しないことにしましたが、母の浪費に歯止めがかからず、悪徳商法等に引っかかるおそれ等出てきたら、専門家でなく私が確実に後見人となるために、任意後見人の契約をしました。
 実家を処分しないとならない事態になった時に、私が判断したいということもありました。結局、現在まで後見人にはならずにすんでいます。

 母の浪費対策は私が自力で行うことになりましたが、私の言う事は聞かないので、母の友人も動員し、浪費対策を繰り広げることになりました。カードを解約するのは、ここから3年もかかりました。とほほ。

私は専門家ではないので、制度の名称等が正式なものではなかったり、制度の仕組み等で理解が足りない部分があります。ご容赦ください。詳しくは下記HPをご参照ください。

法務省 成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A

認知症の母の浪費対策 守られない“約束“1」に続く


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