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認知症の母と無くなった財産

 母が認知症だと気づいてから、私が最初に対処しなければならなかったのは、母のお金の管理でした。

 認知症だとわかったら、銀行からお金が引き出せなくなるので、まだ本人が判断できるうちにお金の相談をするように、とサイトやパンフレットに書かれていました。子どもが私一人であっても、預金を引き出せなくなるとのことでしたので、「今後病気になった時に、お金をどうするか相談したい」と母に伝え、実家を訪れました。
 月にどれくらい年金をもらい、公共料金等の支出は月いくらくらいか聞くと、母は全く答えることができず、「私はお金の管理はできている」と言い張るばかり。状況が全くわからないので、預金通帳を見せてもらうと、貯金が無い…。
 20年前に父が遺してくれた退職金、株券、収集してた金貨等、資産は持ち家以外はすべて無くなってました。さらに東京ガス、カード会社等からの督促のハガキを見つけ、私は蒼くなりました。

 それまで母にどれくらいの収入があるか、全く知らなかったのですが、通帳を見ると大卒初任給の手取り程度の年金が支給されており、持ち家なので家賃の支払いも無く、贅沢をしなければ貯金もできる金額を定期的に得ていました。
 資産が無くなった原因は、過度の家のリフォームと毎月万単位で購入する服の代金でした。2つの大型洋服ダンスからは服が溢れ、高島屋の紙袋に入ったまま、棚に無造作に突っ込まれている服を多数見つけました。浪費は認知症になるずっと前から、始まっていました。父の退職金をこんな物に費やすとは…、情けない。
 発覚した時はカード会社への支払い額は月7万超に。督促のハガキを見て、その都度母はカード会社に電話し、年金が出たら払うと、支払いを待ってもらっていたようでした。自転車操業です。口座にお金が無いのに服を買い続けるのはおかしいと指摘しても、カード会社の人が電話でいいと言ったからいいんだ、と無茶苦茶なことを言い、2枚あるカードは絶対にやめないと言い張ります。
 母とふたりで話していても、らちが明かないので、地域ケアプラザのケアマネージャーに入ってもらい話をしましたが、“カードで支払うことは、借金をすること”ということは渋々認めたものの、お金の管理は自分でする、2枚あるカードはやめない、に変わりはありませんでした。挙句の果てに、ケアプラザの職員に自分に督促が届いている話やお金の管理ができていないという話をしたことに立腹する始末…。母が自力でお金の使い方を変えるのは無理、と悟りました。

「認知症の母の浪費をやめさせるために」に続く)


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