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小1の壁っていう、すごいやつがいるらしい!2度の目の入学準備の真っ只中で。

もはや、小1の壁には魔物が棲んでいる。

なぜなら、私は今、2度目の入学準備をしている。

4月に2度、入学するって、何が起こった!?

小1の壁とは、学童に入れないとか、長期休業に学童の弁当作りが大変とか、仕事中時間を取られるPTAのことだと思っていたら、全く違う。

まず、学童付きの私立小だったし、給食なしの学校だけど注文弁当システムもあったし、PTAの委員はクラスでだった2人。世に聞く小1の壁をどことなく遠くに感じていた。

でも、とんでもない壁に打ちのめされた。

まず、入学前の息子の入院。
入学式も行けず、その後も体調はいまいちで、1日おきに休むような状態で様子を見ること1週間。

体力の低下や、具合が悪くなることへの恐怖で息子のメンタルは限界に。

心配になり、入院した病院に駆け込んだ。

小学校に1日でも早く馴染めるよう、先生は退院後のフォローアップ検診をなしにしてくれていたのだが、その小学校にろくに行けてないのだ。測ってもらうと、幸いモニタリング数値は良好。しかし、いつまた入院するのではないかと気が気でない。

夫婦で夜な夜な議論を重ね、電車で通学に1時間ほどかかる私立小から徒歩10分の公立校への転校を決めた。

決めたら、その日に制服と学用品の一部がうちにあり、その次の日には現在の学校と新しい学校に話が通り、明日からの1週間で全ての手続きを終えて準備出来次第、転校する運びに。すでに通っているお友達のお母さんと知り合いなので、学級便りや、マニアックな準備物のお裾分けまである。ご近所ネットワークのありがたさよ。

ここまでの流れをまとめると。

4月1週目、入院
4月2週目、うちから1時間の私立小、休み休み
4月3週目、休みつつ転校準備
4月4週目、徒歩10分の公立小へ

これが小1の壁?!

ちなみに、仕事は周囲の人たちの素晴らしい気遣いに助けられて首の皮一枚で繋がっている。

まだまだ、壁を登っている。

何せ、転校の目的は、ただひとつ。
息子の健康状態を立て直すこと。

つまり、笑顔で行ってらっしゃいとお帰りなさいが言えることが目標だ。
それができて初めて小1の壁を越えたことになる。

今日は行かせるの心配だな。
そう思った時、着くまで1時間かかる学校へ送り出すことはできない。
10分のところに学校があれば、ちょっとお昼まで行ってみようか?と言ってあげられる。
仮に、学校で具合が悪くなっても、10分で駆けつけてすぐ病院に担ぎ込める。
遠くの学校ならそうはいかない。

今日は休ませよう。
そう思った時、学習進度が速く周囲の子も熱心な学校ではあとで追いつけるか心配になる。
普通の公立校なら、レベル感がさまざまな子が集まっているから気後れもし過ぎず済むかなと思う。

食事がしっかりとれることが死活問題の息子。
仮に昼ごはんを食べられなかった時。
遠くの私立だと、朝ごはんから帰宅まで9時間。
近くと公立だと、朝ごはんから帰宅まで7時間。
空腹状態が長引く不安はとても大きい。
もし昼ごはんが食べられないようなことがあれば帰宅後、おやつや食事で調整したいので学童は申し込まないことに決めた。

あくまで想像と仮定の話だけど。
私立でお弁当で、ちゃんと食べているか把握できることや栄養を親がコントロールできるのは良かったと思っていた。

けれど、案外、給食の方が、食べが進むのではないだろうか?

それに栄養に関しては私の弁当より給食が優れていることは明白だ。

あたたかなごはん、お弁当にはしにくい汁ものやうどんやラーメン、それに何より、お友達も同じものを食べていること、などが追い風になって息子の食が進む気がする。そもそも、家であまり食べない時も保育園の給食は食べていたではないか。

現段階で、息子の元気を取り戻すには、近所の公立に頼るのが最適に思えた。

受験には時間もお金もかかった。
そのために育休も延長したし、塾や説明会で下の子を預かってもらうことも多かった。
息子のがんばりで、ありがたくいただけたご縁。

それをたった1週間で捨てることになる。
中学受験を回避する選択肢も放棄することになる。
たった3日ほどしか登校できていないけれど、いかに素晴らしい学校に通わせてもらっているかわかる。規律、礼儀、熱意、勤勉、思いやり、全てがそこにある。

けれど、息子の健康には代えられない。
どんなに素晴らしい学校も通えなければ意味がない。
元気があれば、やる気が出る。
やる気が出れば、勇気が出せる。

元気がないのに、やる気も勇気もうんと必要なことをやるなんて、そんなことしたら壊れてしまう。

まずは、元気を取り戻そう。

そう決めたら、これから始まる日々があたたかく息子を包んでくれる気がしてきた。

もう、新しい学校が待ってるから、おうちでお休みしよう。今の学校は最後の挨拶だけしにママと一緒に行こうね。

そう言ったら息子の表情が穏やかになり笑顔も増えた。

夫もまた違う切り口で息子と話していた。
近くの学校に行くと、朝と夕方1時間浮くし、土曜の学校もなくなるから代わりに何をしようか?勉強をがんばりたければ、塾に行って他の小学校の子達と一緒に学校より難しいお勉強をすることもできるよ。

息子の目が輝きを取り戻すのがわかる。
寝る前に選んでくれた本は、「1年1組の1日」。体調の不安やプレッシャーで学校に行きたくないと泣いていた先週と、いまで息子はだいぶ違う。前を向き始めたのだなと思う。

小1の壁って、ワーママが仕事を辞めるかの問題かと思っていたけどそうじゃない。

小1の壁は今、我が家にとっては山のようだ。

家族みんなで越えていく。

その山の上から見える景色はどんなだろうか。

学校を休んでいる息子を夫が散歩に連れ出してくれた。
出がけに「桜は散ったね。どんな花が咲いてたかあとで教えてね。」
私は息子に言った。
息子は「ユリかな?」と言った。

受験塾では季節の花の問題をよくやった。
春は桜、梅、チューリップ、菜の花、水仙、ユリ。
花と対応する枝や根っこを線で結ぶ問題もよく出る。球根の花はどれか、というのも鉄板だ。

ユリは外に咲いているのをあまり見かけないので覚えさせづらかった。

けれど息子はまだ覚えていたことに驚いた。
私の頭に息子と取り組んだ数々の問題が浮かんでは消えて涙がこぼれて大声で泣いてしまった。

「どうしたのママ?」

「一緒に勉強した時のこと思い出して、あのとか楽しかったなあって胸がいっぱいになっちゃった」

そう答えた。
けど違う。
入院させたのは私のせいだと思う気持ち。
思うように学校生活を始められずイライラする息子を見るやるせなさ。
せっかく受かった学校をやめたことが息子の枷になるのではないかという不安。

涙は罪悪感の味がした。

散歩から戻った息子は無邪気に言う。
「ママいつまで泣いてたの?」

私はまた泣いてしまった。

この子の未来に笑顔が一つでも増えるように、どんなつらい出来事も笑顔に変えることができると私が教えてあげたいと思ったけど、きっとそうではない。

子どもはいつだって、きっと自分で壁を越えていく。

どうか、一緒にがんばらせてね。

小1の壁って何者なのか?
闘いはまだ始まったばかり。

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