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今年のふりかえり。大晦日に42歳の冴えない女の思う、来年のこと。

もはや睡眠導入薬代わりのインターネットラジオ。

スタンドFMではフォローした番組が時系列で流れてくれる。

ぼけっとした頭に流れ込んでくる優しい言葉たちに助けられて毎日を喉の奥に流し込んできた。

怒涛疾風の二児育児に家事に仕事。
まだまだ生活が優雅になることも楽になることもない気がする。

そんな年末の夜のお供のラジオで頻繁に話題に上がるのが、「夫の実家に行くのが憂鬱な妻の話」だ。

年末に義実家に行くのが憂鬱…
結婚したての女友達からもよく聞く話だったし、ラジオでも毎年聞くし、結婚して長い年数を重ねた私の母もそう言っていたし、もはやここまでくると風物詩とさえ思える。

ラジオには、こんな話もあった。
夫が仕事仲間と家族旅行の計画を勝手にしてきたが、奥様同士は面識がなく遠慮したい、と言うものだった。

この、「夫の世界において常にアウェイで下に見られる妻」という設定は今後薄らいでいくのではないだろうか?

もちろん「長男が後を継ぐ」とか「嫁に入る」と言った文化は今後も残っていくのだろう。

けれど「妻が夫に逆らえない」とか「嫁は序列が下」というような設定が作り出す上下関係が残る文化圏に人がいなくなっていく気がする。

そう思うのは、私だけだろうか?

理由は簡単。
ただでさえ子どもが減り、結婚する人さえ減っている。人の価値のあるなしをラベリングされる社会システムに入りたい人は減り、人として大切にされる世界にいたい人が増えると思う。

私が育ってきた環境は田舎で男尊女卑のまだ強く残る文化圏だった。父方の祖父はシベリア抑留を、母方の祖父はフィリピンでの戦闘を生き抜いて帰還した。

法事やら何やらで親戚の人々が集まると、男の人たちはコタツにあたり談笑し女の人たちは終始台所で立ち仕事だった。お風呂は男性が先。長年独身だった私は、貴重な休みに様々な人の身内の愚痴を聞きながらお節料理作りをするのが気が重かった。

誰だって、そんな身内から自由になれるのになぜならないのだろう?

きっと、そうして「嫁」という立ち位置がないと社会に存在しづらい文化圏だったのだと思う。近所の独身の年配の女性が「あの人のようになると困るよ」と言われていたのを覚えている。

両親は私と弟を差別することはなかったと思う。ただ、最終的には、私の国立大学進学は地元を離れることに反対されたのに関わらず、弟の進学先は地元から遠いそこまでレベルの高くない私立大学理系学部だった。弟に対して私は軽んじられていると思わざるを得なかった。

どんな人と結婚しても、かつて自分が苦痛に感じた文化圏より穏やかな場所に行けるだろう。そう楽観的に構えていた。

実際、チクチク文句を言われたりバカにされるようなことはあっても、嫁だから人権がないなどと旧態依然な扱いを受けずに呑気に過ごしている。何の特技も愛想もない嫁なのに有難い。

だから私にとって義実家への帰省は気が楽だ。

今年、私は、結婚10年目に突入し、来年の結婚記念日で丸10年が経つ。

嫁という立場では、2人男児がいるのもあり、のほほんと生き延びることができた。

とは言え、子育てはとんでもないハードな試練で、この一年私に求められることは多かったと思う。そして、それにかまけて、妻という立場での自分がほぼ皆無になっていたことに気付いた。子が巣立ったら残るのは年老いた夫と私だけ。その時のために何かしておかねばなるまい。

家業を継ぐとか、土地を守るとか、そういう課題を課せられてはいないけど、一応、夫は長男。すっかり忘れかけていた妻業とまだまだ続く嫁業に来年は焦点を当てようと思う。

結婚して10年経ってようやくそう考えるなんて、不出来な嫁だなあと思う。子どもが産まれさえすれば嫁として「あがり」だと思っていた勘違い甚だしい自分が恥ずかしすぎる。

この10年で世の中のいろんなことが変わってきた。令和の時代に入り、唯一存命のおばあちゃんは98歳にもなり、コロナ禍があり、物価は高騰し、土地も家も価格が爆上がりした。

結婚当時に戻れたらきっと、私たち夫婦はすぐさまマンションを買うだろう。10年後2倍の値が付くやつを!

今年をふりかえると、どうしても、この10年を振り返る羽目になる。それは、義実家で過ごす大晦日が結婚というものを振り返らせるからだ。 

もし今日という日を、居心地の悪い義実家で窮屈な思いをしながら過ごしている仲間たちがいたら共に叫びたい。

自分の居場所は、自分が一番いたい場所でいいんじゃない?

自分の価値を決めることができるのは、自分だけじゃない?

これらは、実の母に今でも伝えたい言葉でもある。

そして、来年の私へ。
誰かの安全で居心地の良い場所を作れる人になれますように。

良いお年をお迎えください💐

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