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ムーミンママ
2024年10月27日 07:00
爽やかな、だけれど 爽やかではない話私は 爽、という字は 男が大地に立ち両手を広げ爽やかな風を受けていることかな(八村塁のビールのCMみたいな)とイメージしていた。しかしあの四つのバツ(××××)は風ではないのではと思い 漢字の成り立ちを調べてみた。調べてみるもんだ その晴れやかで清々しいイメージとは真逆のことが書かれていた。爽に含まれるバツ印は入れ墨死体に彫る入れ墨のことだった。大
2023年12月24日 06:03
母は子を子は母を思いあう究極の愛のかたち第一章 土竜の家 私は暗がりの中 人家の灯りを頼りに着物がはだけるのも構わず 死に物狂いで走った。そのまま玄関に倒れ込み 声を限りに叫んだ「お父様 お母様 高志とはぐれてしまいました どこを探しても暗くて見当もつきません どうか今すぐ探しに行って下さい」私は泣きながら 母の胸元へすがりついた。母は私の背中を撫でながら「落ち着きなされ 高志はす
2023年12月24日 22:41
母は子を子は母を思いあい究極の愛とは第二章 雪割草高志が亡くなって 早や七年がたった。相変わらず私と母は 土竜の巣穴にもぐったまま 暗く日の入らない奥座敷で 息を殺すように暮らしていた。母は全く店から離れ その代わりに 垢抜けなかった娘イネが 行儀見習いも終わり家の中を取り仕切るようになっていた。大らかな性格からか客に慕われてもいた。私は 数日後に女学校の卒業を控えていた。あえて
2023年12月25日 16:44
早春賦明け方 駅に着いた 街は既に動き出していた 朝日が目に痛い 私は伏し目がちに 家へと急いだ。店は開店準備に忙しくしていた。イネが私を目敏く見つけ 私を母の寝所に案内した。寝屋は昔のままで 薄暗く湿り気を帯びたままであった。襖を開け中をうかがうと 母は深とした部屋の中で 細い息をしていた。気配に気が付いたのか 私に目をやり一瞬目に光がさしたように見えた。蝋人形のような血の気を失った手