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現在適齢期の生徒たちのこと

子どもたちの変化を考える その1|Kosuke Inudo (note.com)

子どもたちの変化を考える その2|Kosuke Inudo (note.com)

子どもたちの変化を考える その3|Kosuke Inudo (note.com)


ここまで指導してきた生徒たちのことについて3回書いてきた。登場した生徒たちは現在26~31歳である。彼らの学生時代はゆとり教育真っただ中で難解な内容の授業を行ったことが少ない。それでも「格差社会」であるとか「二極化」という言葉がメディアによく登場していた。

今と大きく異なるのはスマホがなかったことだろう。ガラケーは持っている生徒がそれなりにいた。携帯ゲーム機も過渡期であまりハマっている印象はない。i-podを持っている生徒は多く、小さな機器の中に音楽をたくさん入れていた。たった5世代くらいだが29~31歳の子たちは青春ロック系をよく聞いていて、26~28歳世代はAKBに熱狂していた印象が強い。ただ90年代から00年代前半にかけてのヒットよりは散発的な印象が強く「皆が共通して知っている流行りもの」の規模は小さくなっているのが感じられた。

日本の若者が結婚しなく(できなく?)なっている。そして子を成さなくなっている。ここで挙げている26~31歳は正に結婚適齢期であるし「若者枠」の最も上の年齢層と捉えて良いだろう。ただここまでで示したように、彼らの中高時代は相当に男女関係にまだ奔放だった。加えて「ワル」のようなものに一種の憧憬が残っており、それを排除する雰囲気は薄かった。ただ1回目の中で書いたように、生徒の多くが擦れていない中学が散見されるようになっていたそんな時代だった。

今後のnoteで2012年以降の生徒についてもいくつか書いていくが、現在43歳である筆者の世代と今日取り上げている世代の気質の差よりも、彼らと現在の高校生・大学生の差の方が大きいと感じている。分かりやすく表すと以下になる。
氷河期世代とゆとり世代の気質の違い⇒小
ゆとり世代とZ世代の気質の違い⇒大

これには異論が多いだろう。「氷河期世代とゆとり世代では全く違うだろう。何かと前時代的なの氷河期世代とおっとりしながらも自己実現に励むゆとり世代だぞ」と突っ込みを受けそうだ。
私はこの差は中高時代の経験ではなく、大学や専門学校以降の経験が生んでいると考えている。リーマンショックが2008年。ちょうどこの世代を指導していた頃と合致する。その後紆余曲折があってアベノミクス政策が始まるのが2013年。ここまで取り上げてきた生徒たちが16~22歳の頃のことだ。2014年以降若者の就職状況は格段に改善した。教え子たちも例には漏れず、就職で苦労した(就けなかった)という話をほとんど聞かない。6年前に2010年11年に中3だった世代と大規模な飲み会を行ったが、職が無くて困っているという卒塾生がほぼいなかったのが強烈だった。学力層からするともっと苦労すると思っていた。私の同級生の多くに見られた派遣労働で食いつないでいるような事例が無かった。

つまり小中で似たような気質だった氷河期とゆとりは「就職」というステージでの経験があまりに違っていて、それが現在の印象にもつながっているというのが私の論である。

このゆとり世代で生涯未婚率が3分の1に達して、出生率が1.25程度に低落してしまうなら、現在の10代が適齢期と呼ばれる時代にはどんな数値になってしまうのか全く想像できない。色々な将来の統計は当然連続的に予測されているものだが、今後信じられないような断層がやってくると思われてならないのだ。

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