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【詩】バカ

あのね
地面がものすごく揺れて
ぱっくり割れちゃったんだ

家の中がぐちゃぐちゃになって
傾いちゃったから
たくさんの知らない人と
過ごさないといけないんだ

今日は、お水をもらうのに
すごい並んだよ

でも
クリスマスにもらった
ゲーム
結局、見つからないし

遊びに行く約束も
落ち着いてから、だって

おしゃべりを聞いてくれる
おばさんのお店も焼けちゃったって
聞いたんだ
おばさん
足にケガしたらしいって
心配だな

充電が切れちゃったから
オプ(※)もできないし

何か悪いことしたのかな

おせち食べたくないって
自分だけハンバーグにしてもらったのが
いけなかったのかな

もう
こんなだから
宿題できてなくたって
先生、怒らないよね?

なんかむしゃくしゃするから

揺れた地面を
棒で思いっきりたたいたんだ

ちょっと曲がった
変な形の棒なら
けっこう転がってるから

このやろう
このやろう
って
心の中で
言いながら
たたいたんだ

なんでか涙が出てくるし
ぽたぽた落ちるけど

そして
大きな字で

バカ

って書いたんだ


※オープンチャットのこと


(作者から)
子どもは
理不尽なことを
理不尽なまま
受け止めることは難しいように思います。

心の中のどこかで
自分がなにかしてしまったのでは?
こんなに悪いことが起こるのは
自分が良くないからじゃないか?とか
抱えてしまうことがあると
聞いたことがあります。

有り余るエネルギーを持ちながら
置いてけぼりになったような気持ちで
この事態と向き合っている
子どもたちがいっぱいいるのではないか、
と思いました。

阪神・淡路や三陸沖地震、
数々の災害時には
被災した子どもたちのエネルギーを解放する
様々な活動が行われました。

きっと、今回も
そんな活動がとりくまれるでしょう。

でも、それは、まだ、
おそらくもうちょっと先のこと。

今、どのような状態なのかは
想像でしかないのですが

子どもたちに、

どうにもできない
この理不尽な事態に
「バカ!」
と言っていいんだ、と

なんの解決にもならないけど
「バカ!」
と言っていいんだ、
と伝えたいと思いました。

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