マガジンのカバー画像

(SF小説)荒野.jp

3
note創作大賞2023に応募した作品です。3話完結の短い作品です。
運営しているクリエイター

記事一覧

(SF小説)『荒野.jp』第1話 果てなき荒野

(SF小説)『荒野.jp』第1話 果てなき荒野

 あらすじ
 未来の日本。核戦争で荒野と化した東京を、若いカップルがホバー・タンクでさすらうのだが……。

 見渡す限り、ガレキの荒野だ。3.0大戦でミサイルの雨を浴びてから、東京はずっとこんな光景だった。
 俺はホバー・タンクの砲台の中にいる。タンクの下部で操縦しているのはレノだった。 
 レノはろくにとかしてないロングヘアをピンクに染めた俺の女だ。俺と同じで30歳を過ぎたばかりである。
「敵ら

もっとみる
(SF小説)『荒野.jp』第2話 襲撃

(SF小説)『荒野.jp』第2話 襲撃

 前と後ろから迫り来る合計10個の赤い点の正体が判明した。やはりドクロ組のホバー・カーだ。
 それぞれ2人ずつ乗っており、1人が運転を、もう1人がジャベリンを構えている。
 いくらなんでもこれだけの数のジャベリンを撃たれたら、さすがにこのホバー・タンクもエタりそうだ。
 俺は砲塔を前方から来る5台のホバー・カーに向けた。
「前から来る5台をしとめる」
 俺がそう宣言すると、レノがキャハッと笑った。

もっとみる
(SF小説)『荒野.jp』第3話 西を目指して

(SF小説)『荒野.jp』第3話 西を目指して

  レノがホバー・タンクを着陸させた。そして下から上がってくると、俺の体をだきしめた。
「大丈夫? 大丈夫なの?」
「わかってるだろ。大丈夫なわけねえだろう」
 俺はつっけんどんに返した。
「そんな事言わないでよ」
 レノが、泣いた。全身汗でびっしょりだ。
「ヒロポンを……ネオ・ヒロポンを打ってくれ。痛みがなくなる」
 レノはしばしためらったが結局は注射器を持ってきて、麻薬を俺の腕に注入した。砕け

もっとみる