【詩】夜の猫
大きなトラックが地面を揺らす
音は気にならなかったが、振動がダメだった
地面から家、そして2階の僕の部屋にまで響いた
ゆっくりと目を開ければ、光のない夜
スマートフォンを触れば、充電切れ
不思議と照明をつけるのが億劫になり、光を求めて外に飛び出した
光のない街
月のない空
都会とまでは言えないが、駅もコンビニも、若者もいる街なのに
今夜は、人も光もない
まるで無人の街
「ちょっと歩いてみよう」
そう思わせる夜だった
光のない街を歩く
人間の適応力とは素晴らしいもので、目は慣れた
目の前を通る黒猫にだって気づくことができる
黒猫は地面に転がりながら、欠伸をした
それがあまりにも人間らしいから、僕はしゃがんで、
「黒猫、よしよし」
指で顎を撫でると、黒猫はニャーと鳴く
満月のような目を三日月に変えて、ゴロゴロ
「よし、一緒に行こうか」
僕は黒猫を抱き寄せて立ち上がる
黒猫は嫌がることなく、くつろいでいる
夜の街にいるのは
僕と黒猫
夜の散歩は
一人と一匹
この猫が"白猫"であることを知るのは、朝になってからのお話
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?