きゅうかんばぁ ~片耳の作業療法士~

ある日突然、左耳の聴力を失った作業療法士です。 それぞれの事情を乗り越えて、活きる意味…

きゅうかんばぁ ~片耳の作業療法士~

ある日突然、左耳の聴力を失った作業療法士です。 それぞれの事情を乗り越えて、活きる意味を探せたらいいな。 そう、人生は楽しくなくちゃね。

記事一覧

片耳の作業療法士 ~カルテNO,6~

#創作大賞2024 #お仕事小説部門 カルテNo,6  救いの言葉  私の場合、病気をしてから約一ヶ月半で職場復帰したのですが、かなりの重症だったので、その時点での職場復…

片耳の作業療法士 ~カルテNo,5~

#創作大賞2024 #お仕事小説部門 カルテNO.5 おっぱいリハビリ 作業療法士の華子先輩が休暇を取る事になり、担当している入院患者さんのリハビリをお願いされました。脳…

片耳の作業療法士 ~カルテNO,4~

#創作大賞2024 #お仕事小説部門 カルテNo,4  やる気って何だろう…  掃除は、趣味の少ない私にとって最も有効な気分転換です。特に、模様替えが大好きで、気持を切り…

片耳の作業療法士 ~カルテNo,3~

#創作大賞2024 #お仕事小説部門 カルテNo,3  大和さんと左手  お昼休み、リハビリ室の電話が鳴っています。スタッフの一部は治療台で昼寝をしていたり、食堂でランチ…

片耳の作業療法士 ~カルテNo,2~

#創作大賞2024 #お仕事小説部門 カルテNo,2  マー君とトランポリンと 突発性難聴になってから一か月半で職場復帰した私ですが、左耳の聴覚のほとんどを失っただけでは…

片耳の作業療法士 ~カルテNO,1~

#創作大賞2024   #お仕事小説部門 (あらすじ) 急性期の病院で働く作業療法士の永野美智瑠は、突然の病に倒れ、片方の耳の聴力を失ってしまう。それでも『今年は楽しく生…

片耳の作業療法士 ~カルテNO,6~

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

カルテNo,6  救いの言葉

 私の場合、病気をしてから約一ヶ月半で職場復帰したのですが、かなりの重症だったので、その時点での職場復帰は、本当に辛いものでした。やっとステロイドの副作用が抜けたかな、という感じで、まだくらくらしていたし、すぐ疲れちゃうし。でも、患者さんの前で泣いたり、弱音を吐いたり、当然だけど倒れたりできないから、とにかく必死です。たとえ私

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片耳の作業療法士 ~カルテNo,5~

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

カルテNO.5 おっぱいリハビリ

作業療法士の華子先輩が休暇を取る事になり、担当している入院患者さんのリハビリをお願いされました。脳梗塞を発症して脳神経外科に入院された小沢正利さんは、発症早期に治療が出来た事もあり、状態はとても良くて、三日後には退院の予定です。ギリギリまで、しっかりと、リハビリをして貰いたいという華子先輩の配慮から、私がピンチヒッターに指

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片耳の作業療法士 ~カルテNO,4~

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

カルテNo,4  やる気って何だろう…

 掃除は、趣味の少ない私にとって最も有効な気分転換です。特に、模様替えが大好きで、気持を切り替えたい時は、三日位かけて大掛かりな模様替えをします。でもね、突然の聴力消失と三半規管の異常を感じた時、私は掃除機をかけていたの。その日は、三か月ぶりのお休みでした。

 新年度から、私の担当が呼吸器内科病棟に変わりました。内

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片耳の作業療法士 ~カルテNo,3~

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

カルテNo,3  大和さんと左手

 お昼休み、リハビリ室の電話が鳴っています。スタッフの一部は治療台で昼寝をしていたり、食堂でランチ休憩中だったり。電話の一番傍にいた私は、OL時代に叩き込まれた癖で、ベルが鳴ると同時に受話器を取りました。

「はい、もしもし・・・」

「・・・」

「はい、もしもし・・・」

「・・・」

「もしもし?」

「・・・」

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片耳の作業療法士 ~カルテNo,2~

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

カルテNo,2  マー君とトランポリンと

突発性難聴になってから一か月半で職場復帰した私ですが、左耳の聴覚のほとんどを失っただけではなく、平衡感覚も障害されたため、まっすぐ歩くことはおろか、幻暈の度に自分自身もぐるぐると回って倒れてしまう有り様で、その時点での職場復帰はとても辛いものでした。でも、患者さんの前では、泣いたり弱音を吐いたり、当然だけど、倒れた

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片耳の作業療法士 ~カルテNO,1~

#創作大賞2024   #お仕事小説部門

(あらすじ)
急性期の病院で働く作業療法士の永野美智瑠は、突然の病に倒れ、片方の耳の聴力を失ってしまう。それでも『今年は楽しく生きる』と目標を立て、患者の待つ職場へ復帰を果たす。働き盛りの夫が車椅子生活になった夫婦、ダウン症の3歳の男の子、右片麻痺と失語症で思うように気持ちを伝えられなくなった80代の男性や、生きる事を諦めた女性。病気や障害がある事で、各々

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