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"自費ヘルパー"ってなんだ?【Calacolo的カイセツ】

今日も元気にこんにちは、神奈川県平塚市を中心に福祉ネイルとカインズヘルパー(自費ヘルパー)サービスを提供しているCalaColoの橋本です。

前回、事業の2本柱になっている"福祉ネイル"について暑苦しく解説してみたので、今回はもう片方の事業である、"自費ヘルパー"について語ってみようかなと思います。

自費ヘルパーの特徴や、介護保険等をはじめとする公費のヘルパーさんとの違いや、一般の家事代行業者さんとの比較も併せて書いていこうと思います。

現在なんらかの手助けが必要でお困りの方や、そのご家族や代理人の方、これから必要になる可能性のある方など、どなたかの参考になれば幸いです。


(※毎回の注釈とはなりますが、このnoteに記載されていることは私個人の見解を大いに含んでおり、他の自費サービスを提供している方と内容やサービス内容が異なる場合があります。)




そもそも、"ヘルパー"ってなあに?


いわゆる訪問介護などの、社会保障の制度に基づき利用者の自宅に訪問し介護サービスを提供する者を一般的に「ヘルパー(ないしホームヘルパー)」と呼びます。
この制度に基づいた訪問介護は、介護と障がい福祉の分野で分かれており、多少内容に差異はありますが基本的には概ね同様です。

介護保険は社会保険、障がい福祉は社会福祉で一応制度上別枠として扱われていますが、話がややこしくなるのでここでは「社会保障」でひとまとめにし、話を進めさせていただきます。


社会保障制度において、すべての国民が生活に手助けが必要になったときや、その個人単体や家族のみでの生活が困難となったときに、その状況や年齢等の条件などに応じて様々な介護保険サービスや障がい福祉サービスを受けることができます。
このサービスの中のひとつに「訪問介護」が含まれており、訪問介護を利用すると自宅にヘルパーが派遣されてくる、といった流れです。

この「社会保障制度における訪問介護ヘルパー」は呼ぶにはちょっと長く、このあとの話の中で何度も登場するため便宜的に"公費ヘルパー"と呼称させていただきますね。



"公費ヘルパー"と"自費ヘルパー"

公費ヘルパーはさまざまな制約がある反面、かならず介護の資格を有している「介護のプロ」です。訪問介護のサービス提供をするためには介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)以上を必ず取得しなければなりません。
また、社会保障の仕組みの中で運用されている制度なので、利用する側がかならず認定を受けなければならないというハードルがあるものの、逆にそれさえあれば1割〜3割の自己負担、もしくは自己負担なしで金銭的負担を少なく利用することが可能です。
対して、自費ヘルパーは利用できる内容にほとんど制約がなく利用したい方が希望する内容をほぼ100%叶えられるものの、介護の資格をかならず有しているとは限りません。このため、自費ヘルパーによっては介護技術が不足している、できないこともあることを視野に入れておく必要があります。
また、費用についてはそれぞれの業者の自由裁量であるため一概に言うことはできませんが、少なくとも公費ヘルパーよりは高額となることがほとんどでしょう。

いずれも、生活に手助けが必要な方に必要なサービスであり、その一助となるべく自宅などへ訪問してサービス提供を行う者は総じてヘルパーであると考えます。


祖父に俳句の添削をしてもらった図。


"公費ヘルパー"について 


"公費ヘルパー"を利用するには、まず第一に、お住まいの市区町村の担当課へ介護認定や障がい認定の申請を行います。その後、認定が下りればそれぞれの等級に応じて、サービス利用できる単位数や時間数が付与されます。
介護であればケアマネージャーが、障がい福祉であれば相談支援専門員が担当について、どういったサービスを利用し、何が必要でどんな内容の支援を受けるべきか検討し、それぞれの事情に応じたケアプランや計画書を作成します。(障がい福祉の場合はセルフプラン=自分で事業所を選択して利用することも可能です)
この作成されたプランの中に訪問介護が含まれていれば、今度は訪問介護事業所と契約を交わし、担当となったサービス提供責任者が訪問介護計画書を作成し、この計画書に基づいて公費ヘルパーが派遣されます。

この訪問介護計画書はケアプランなどに基づいた実務的な内容で、公費ヘルパーはこれに従ってサービス提供を行います。

そして公費ヘルパーはこの訪問介護計画書を遵守しなければなりません。

その理由については後述しますが、要約すると、公費ヘルパーは事前に決められたこと以外の仕事ができない、ということが前提です。



"公費ヘルパー"がやってくれること

基本的な内容を大別すると「身体介護」と「生活(家事)援助」で、障がい福祉には「外出支援」もあります。

身体介護は、食事の介助や居宅内の移動介助、排せつ介助に入浴介助、ベッドから車椅子などの乗り移りの介助、歯みがきなどの口腔ケア、一部の服薬介助、着替えや身だしなみを整える整容などがあります。
このほか、通院の介助や自立支援という名目での買い物等の同行などもできます。

生活(家事)援助は、居室内の清掃、洗濯、炊事、買い物の代行、ボタンつけなどの簡単な繕い物などがありますが、これらにはすべて「利用者さん自身の」と注釈がついており、ご家族への食事作りやご本人以外の部屋や共有スペースの掃除、洗濯等をすることはできません。

外出支援は、障がい福祉サービスで利用でき、この用途に関しては特定の政治活動や宗教活動、日常的な通勤以外であれば基本的にどこにでも行くことが可能です。

およそこのような内容で、この中から単一の場合もあれば、一連の流れの中で組み合わせたり、一日の中で何回かに分けたりして、各々の要望に応じたサービスが提供されます。
また、これらの説明は一般的に「滞在型」と呼ばれるもので、そのほかにも「定期巡回・随時対応型」というサービス形態もあります。



なぜ決められたこと以外ができないのか

「訪問介護計画書」が絶対的な存在であるということは少し触れましたが、これについては、介護などのサービスを提供する際に事業者はかならずこの計画書を作成し、利用者さんにその内容を確認してもらい同意していただく必要があります。

さまざまな理由で訪問介護計画書を変更する必要が出てくることもありますが、変更するときもかならず確認と同意をいただかなければなりません。
つまり、利用者さんに同意をいただかないまま勝手に計画書の内容を変更したり逸脱することはできません。


次に、提供できるサービス内容にも縛りがあり、大きく分けると2つです。
1つは、「日常生活を送るために必要なことしかできない」です。
庭の掃除や草むしり、ペットのお世話に大掃除やおせち作りはもちろんだめ、果ては浴室のカビ取りや電気の傘を掃除することもだめです。
端的に「それをやらなければ日常生活が送れない」と言い切れないものに関しては原則すべてNGです。

買い物事情でできないことの例を挙げると、公費ヘルパー訪問前についでに買い物をしてきてもらうといったこともできませんし、普段使いの小売店以外の遠方への依頼もできませんし、買い物代行で嗜好品(たばこやお酒など)をはじめとする生活に必須になるもの以外を購入してきてもらうこともできません。
また、私が働いていた訪問介護事業所では徒歩以外での買い物代行もできませんでした。これに関してはサービスの均一化を図るためのものであり、「徒歩」の部分についてはその地域の交通事情によるかもしれません。

2つめは、生活援助の部分で少し触れましたが、「利用者さん本人」以外に対するサービス提供をしてはいけないと法令に明示されています。
同居しているご家族がいる場合は、いくら洗濯物がたまっていても利用者さんのもの以外の洗濯はできませんし、流し台にお鍋やお皿があっても利用者さんが使ったお皿以外を洗うことができません。

このほかには、一部例外をのぞいた医療行為や理美容行為ができませんが、これは専門の国家資格が必要という理由です。


次いで、毎月使えるサービスには限度がある=単位数や時間数の問題が挙げられます。



単位とは

"単位数"の問題を挙げましたが、この問題に入る前に単位とはなんぞや、という点を軽くご説明します。

あらゆる介護・障がい福祉サービスには、その内容に応じて所定の単位が定められており、この単位に応じて事業者は報酬を得ることができます。

そもそもなぜ「〇〇のサービス=〇〇円」ではなく、「〇〇のサービス=〇〇単位」なのかというのは、最低賃金が地域によって違うように、その地域によって生活費や収入に高低があるため、全国一律の金額にすることが実情として困難だからです。
このため、一律いくら、ではなくサービスそのものの基準値を決めて、この基準値に地域ごとの単価をかけて報酬を計算します。この基準値を「単位」と呼びます。

地域の区分は◯級地と呼ばれ、1級地が一番高く、8級地まであります。
私が拠点にしている神奈川県平塚市で介護保険をベースに換算すると、5級地・訪問介護の地域単価は10.7円で身体介護を20分以上30分未満(身体1)利用した場合は250単位となるので、10.7円×250単位で金額としては2675円となります。
※このほかに加算される場合もあるため、あくまで基本の金額です

以上、単位についての説明はこのあたりにして、本題に戻ります。



使えるサービスには限りがある

介護保険の場合は、要支援1〜要介護5までの7段階に分かれており、このいずれかに認定されると1ヶ月あたりに定められた単位数が付与されます。
要支援1が一番少ない5032単位、要介護5が一番多い24533単位です。

障がい福祉の場合は、単位ではなくサービスを利用できる月当たりの時間数を付与されます。障害支援区分(なし、1〜6)によって支給時間の目安はありますが、障がいやそれによって起こる生活の困難さは個人差がかなり大きいこともあるため、必ずしも何時間までという定めはありません。

いずれも、単位数と時間数の違いはあれど、基本的には1ヶ月あたりに利用できるサービスの上限が認定の時点で決まっているという点がなんとなくわかっていただければOKです。

そして、この1ヶ月あたりの上限があるせいで、訪問介護計画書と違うことをすることができない、という話に戻ってきます。


単位数の場合でいうと、身体介護20分以上30分未満が250単位と先述しましたが、これがおよそ倍の30分以上1時間未満になったからといって倍の500単位になるわけではなく、身体介護と生活援助は同じ分数でも同じ単位数ではない、というように、決められた仕事以外のことをしてしまうと当初所持している単位数から逆算して計画していたプランが狂ってしまいます。
余るならまだいいですが、超過してしまうと足が出た分は100%利用者さんの負担になり、いくら1単位十数円程度とはいえ、一番安い生活援助30分でも183単位、2時間弱の身体介護ともなると663単位なので塵も積もれば大変な金額となってしまいます。

また、要介護の利用者さんは訪問介護以外にも通所などのさまざまな介護サービスを利用されていることが多いため、ケアマネージャーや関連事業所を無視して訪問介護単独で単位使いたい放題というわけにはいきません。

障がい福祉の時間数においても同じような理由です。
少し違う点は、この時間数に関しては身体介護・家事援助・通所などとそれぞれのサービス種別でそれぞれに時間数が付与されており、他サービスと時間数を取り合うことにはなりません。
ただし、各サービス種別によって1回あたり何時間までと指定されており、事業所ごとに月何時間までというように契約時に設定しているためこれを超過することは原則できません。

こういった内情があるため、単位数や時間数を上限いっぱいまで使用している方であればあるほど、それぞれの事業所が訪問介護計画書に沿ってサービス提供を行わないと月末にケアマネージャーや時間数の上限管理をしている事業所が大変な思いをしたり、利用者さんが費用面で大きい負担をせざるを得ない事態が起こるのです。


公費ヘルパー時代に利用者さんと。




"自費ヘルパー"について


公費ヘルパーに関しては法律が厳密に定められていますが、自費ヘルパーにはとくに厳密な法律の定めはありません。

ゆえに、自由な利用ができますが、その反面利用したい方の希望や判断による部分が大変大きくなります。
価格にせよ、派遣されてくるヘルパーにせよ、自由競争の中で生まれた業種であるため、良くも悪くも大きく差があると感じています。

あまり同業他社を悪く言うようなことはいたしませんが、これから利用する業者をお探しの方に向け、以下のポイントをチェック項目として挙げておきますね。

・どんなサービスを提供しているのか(自分の希望通りのことをしてくれるのか)
・金額(基本料金以外にもかかる交通費や謎のオプション料金などの不明瞭な部分がないか)
・どんなヘルパーが来るのか
・介護や配慮が必要な方の場合は、有資格者・経験者であるか

このあたりを押さえておくと、あからさまに変な業者は除けるのではないのかと思います。
せっかく自由に使えるヘルパーを呼ぶのですから、しっかり納得したうえで良いサービスをぜひ受けてください。



ちなみに・・・

CalaColoは明瞭会計、基本料金以外は交通費と駐車場代のみ(場所により無料)、誰が来るかという点は、かならず有資格&介護+障がい福祉経験者である私がお伺いします。身体介護でも畑仕事でもお出かけ同行でもなんでもござれ!で、損害賠償保険にももちろん加入しており、安全安心をモットーに営業しております。

と、宣伝してみたはいいものの、人と人ですからどうしても合わない方もいると思います。なので、絶対にCalaColoにご依頼ください!とまでは申し上げません。
とはいえ、できれば選択肢のひとつとして見ていただければ嬉しいですし、もしその機会が来たら思い出していただけたらいいな〜と、画面端から顔をのぞかせておきます。

※詳細はこちらから→https://calacolo.jimdosite.com/


また、↓からLINE公式アカウントと友だちに追加していただいて、「note見たよ!」と話しかけていただくと、ご利用初回時に500円割引させていただきます。
ご相談だけでもOKですので気軽な気持ちで友だち追加していただけると嬉しいです。




それぞれの違いと強み


利用する方にとって、いま何が必要で、また何を重視するのかによって、最善となるサービスはそのときどきで変わります。

似たようなサービスとして扱われる、公費ヘルパー・家事代行・自費ヘルパーについて以下の表にまとめました。

日常的な介護や支援が必要な方は、費用面・安全面も考慮して基本的に公費ヘルパーの利用を優先されたほうが良いと思います。
ただ、その方に支援が必要なのにもかかわらず、介護・障がい認定が下りないときや、下りていても単位数・時間数が足りないといったときには、新しく認定が下りるまでのつなぎ利用として、家事代行や自費ヘルパーの検討をおすすめします。

ご自宅の中を一気にきれいにしたい!頑固な汚れを徹底的にきれいにしてほしい!といったときには家事代行サービスが専門的でよろしいかと思います。
ほかにも、食事を1週間分作り置きしてくれる家政婦さんのサービスもあるため、忙しいご家庭でもバランスの良い食事がしたい方にはこちらもおすすめです。

ご家庭の細々としたことを総合的に頼みたい場合や、お手伝いが必要な方への中〜長時間の見守り、入退院などの平日の急な付き添いや冠婚葬祭などの特別な外出は自費ヘルパーが向いています。



個人的な考えとしては、すでに介護・障がい認定の下りている方は基本的に公費サービスの利用を主軸にして、足りない部分やご家族の手が回らない部分を補助するかたちで家事代行や自費ヘルパーを利用されると良いと思います。

また、障がいや病気をお持ちの方で、中でもお若い方の場合は公費ヘルパーのスタイルが合わない場合があります。
(例えば、食事を作ってもらったら薄味の和食しか作ってくれない、服を用意してもらったらセンスがいまいちなど。)
こういった場合には、食事は家事代行や家政婦さんにお好みのものをお願いしてみたり、自分と年齢の近い自費ヘルパーを選んで買い物代行・同行をして、お好きなものを購入すると日常のご不満も少しは晴れるかと思います。


このように、あらゆるサービスには強みも弱みもあるため単純な甲乙はつけられません。
ご自身やご家族が必要なことを可不足なく選んでいただいて、少しでも皆さまの理想のくらしに近づいていただくことを切に願っています。
これからサービスを受ける方、それはまだ先の方、今まさに受けている方、またそのご家族の方、たくさんの選択肢がある中から選び取ることはなかなか難しいかと思いますが、ぜひいろいろなものを調べて比較検討していただければと思います。


こちら実は祖父との最後のツーショット。
祖父は私の訪問介護の原点です。


まとめ

「いま」何が必要で、どんな課題があるのか、それに優先順位をつけて考えてみると、その困りごとに向いているサービスを見つけることができるかと思います。

どんな事柄でもそうですが、すべからく一長一短です。完全無欠のものはありません。私自身、なるべく完全無欠のヘルパーに近づきたいとは日々思ってはいますがなかなか難しい道のりです。

さらに、利用する側の方には、「選ぶ特権」があります。だからこそ、いいとこ取りでオイシイところをつまみ食いするような選択の仕方をしても、それは当然の権利であって、まったくもって正解だと私は思います。




それにしても、自費ヘルパーを宣伝するつもりで書き始めたはずなのに公費ヘルパーのことばかりを語り、挙げ句公費ヘルパーをおすすめしているのはどういうことでしょうか。
やっぱり公費ヘルパー上がりだから、そのプライドが残っているのかもしれません。

なかなか商売っ気が出せないのも困りものですが、皆さんが笑って暮らしていけるのであればそれはそれで嬉しく感じる体質なので、まあいっか。

といったところで今回のお話はここまで。
えらい長い文章になってしまいましたが、ここまでお読みいただいてありがとうございました。

読んだ方にとって少しでもなにかのお役に立てれば嬉しいですし、とくにお役立ち情報でない方でもここまで読んでいただいたことに感謝感謝です。


今度はこんな真面目な話ではなく(もう頭が痛い)、もう少しくだけたお話でもしたいな〜と思いつつ、文末とさせていただきます。

よかったらほかのnoteも読んでいただけたら嬉しいです。
ではでは。





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