訪問介護の中の人。【介護職のすべらない話〜前置き〜】

みなさまこんにちは。

1回書ききったことに気を良くして2回めの投稿、神奈川県は平塚市を中心に福祉ネイリスト・カインズヘルパー(自費ヘルパー)を営んでいるCalaColoの橋本です。


介護をやっているといろんな事件に遭遇したり、愉快な人や不思議な人に遭遇することがたくさんあります。
長いことやっていると"すべらない話"が溜まっていくので、いろいろと思い出しがてら、ここで放出していこうと思います。


そんなこんなでいろいろと書いてみたわけですが、介護のことをよく知らない方にも背景を説明しだすと本題からどんどんと離れて説明ばかりになってしまったため、その説明部分だけ切り離して文章にしてみました。

(切り離し元の本題の方は、鋭意執筆中ですがいつ仕上がることやらといった風情です。)
出来上がったらここにリンクつける予定。

書き上がったのでよかったらぜひ↓


このnoteだけでも完結した文章にするつもりで書いていますが、もし興味がわいた方がいたら他のnoteも読んでみていただけると喜びます。


一応注意喚起といたしまして、私の書いているnoteはすべてに口が悪い部分や、まれに下品な表現が含まれます。
ご理解の上お読みくださいませ。


すごく丁寧に話すこともできるけど、元々の口が悪すぎる。




訪問介護についてちょっと前置き。


割と長い介護職歴のなかで、私がはじめて介護の世界へ入ったのは「訪問介護」でした。

いわゆる、「ホームヘルパー」ってやつですね。

要介護や要支援の介護認定を受けた高齢者の方のご自宅へ行き、そこで事前に決められた身体介護や家事援助のサービスを提供する、というのが基本です。



訪問介護の職員アレコレ

さて、実際に利用者さんのお宅へ伺うヘルパーというと、実のところ登録ヘルパーさん(直行直帰・時給制で働くパートさん)が多いんですね。
地域や会社によって違いがありますが、少なくとも私のいた会社では現場を任されているのは大半が登録ヘルパーさんでした。

社員として会社に出勤しているのは、多くが「サービス提供責任者」といって、1人の利用者さんに対して1人就いて、その利用者さんのサービスを統括する立場の人間です。
サービス提供責任者になると、大体は10人以上の利用者さんを同時に統括しているため、基本的には登録ヘルパーさんをはじめとしたスタッフに現場を任せ、責任者自身がヘルパーを担当するということはあまりありません。

月1回くらいは様子見がてらヘルパーとして入ることもありますが、それ以外に責任者がヘルパーを担当しなければならないのは、"人がいない"ときです。

こちら↓でも少し解説していますが、とくに登録ヘルパーさん(パートさん)は家庭の都合などで当日欠勤することが他業種と比べると多くあります。

一応、その時間に空いているヘルパーさんに声をかけて代わりに入ってもらうこともできますが、少なくとも1回は責任者やすでにその利用者さんを担当しているヘルパーと一緒に訪問して研修を行ったあとでないと1人で入ることができないため、どうしても人数が限られます。
そうすると、代わりのヘルパーさんが見つからないので責任者が出張る、ということがあります。


欠勤や休暇などで人がいない、というのはよくあることで、そこまで大したことではないのですが、もうひとつ”人がいない”が発生するときは、「難易度が高い」から誰も仕事を受けてくれないときです。




「この中に介護の資格をお持ちの方いらっしゃいませんか〜」




「難易度が高い」とは


大変だと言われるタイプのお仕事を、一言でまとめて難易度が高い、と表現しましたが、個人のお宅におじゃまして、個人に対して仕事をするということは、想像以上にさまざまな要因が絡んでくるものです。

ひとつは、シンプルに「高い技術を要する場合」で、寝たきりの方に身体介護を行うようなときです。
おむつ交換や入浴介助は、きちっと始末しないと病気や褥瘡(じょくそう:床ずれ)の発生につながり、嚥下(えんげ:飲み込む力)状態の悪い方への食事介助など、ひとつのミスが重大な事故に通じかねない仕事は、知識だけでできるわけではありません。

また、自分の力で体を動かせない方はすごく重たいんです。
泥酔した人を思い出してみてほしいのですが、意識がない人は自分で踏ん張ってくれないから同じ体重でも運ぶことが大変だったと思います。
介護においてはやり方がもちろんあるんですが、どうしても力の弱い方には難しいのです。



次点では、

「人間関係の構築が難しい」

ときかもしれません。

とくに精神的な疾患のある方にとっては、新しい人に慣れることが難しかったり、不信感が拭えなかったりと、特定のヘルパーさんしか受け入れられないことがあります。
認知症のある方だと、拒絶感が強く敷居もまたがせてもらえない、なんてこともあります。そりゃあ、いきなり知らない人が家に上がってこようとしたら怖いですもんね。
そういうタイプの方へは、慣れや関わり方にコツが必要で、ヘルパーによって難易度が上がったり下がったりさまざまです。
※詐欺師だと思われて追っ払われた愉快な事件はいつか書くと思います。


ほかには、同性じゃなきゃ嫌、異性じゃなきゃ嫌、若くなきゃ嫌、同年代じゃなきゃ嫌、ベテランじゃなきゃ嫌、◯◯さんじゃなきゃ嫌、あれやだこれやだ、…うるせえな。

…半分は冗談です。できれば利用者さんに安心してサービスを受けてもらいたいですし、トラブルにもつながるため、極力希望に沿って派遣するヘルパーを決定することがほとんどです。

なお、身体介護には同性介護の原則というものがあり、基本的には同性が伺います。
ただ、訪問介護職員の男女比は男性1:女性9(下手したらもっと女性が多い)なので、男性の身体介護を女性ヘルパーが行う、ということは多々あります。

ベテランやいつものヘルパーさんがいいというのも、それはそう。
危なっかしい新人や知らないヘルパーよりも、おまかせできる安心感のあるヘルパーさんの方がいいでしょう。

ただ、女性の身体介護を男性ヘルパーが行う、ということはよほどのことがない限りはありませんが、家事援助を男性ヘルパーが行うことくらいは許してほしいですし、ベテランのヘルパーさんも昔は新人だったわけですし、はじめて会ったときがあるわけですから、できれば新人にも経験を積ませるご協力をいただきたいものです。
ただし、下心丸出しで若いヘルパーを指定してくるのは許さん。



次によくあるな、と感じるのは、

「家がめっちゃ汚い」

です。

ちょっと汚れているくらいは、ヘルパーたるもの慣れっこです。
むしろそれを掃除するために伺っているわけですから、どうぞお任せくださいの精神です。

ただ、ごくまれに、すんっごい!お宅もあります。

基本的には、環境整備といってヘルパーさんがお仕事できるように事前に最低限お宅の中を整えさせてもらうのですが、ご本人がその状況を変えたくないと強く希望するときは無理強いできませんし、素人の手に負えないレベルまで物に溢れているようなお宅だと、もうどうにもならん、間に合わん、なんてこともあります。
間に合わん、というと、急ぎの依頼で入ってきたようなときは、のんびり環境整備してる場合じゃない、なんてときも。

まあ、いくら頑張って環境整備しても、その次の訪問時には元の木阿弥にされていることもありますが。

ただ物が溢れているだけなら嫌がるヘルパーさんはほとんどいませんが、ニオイや、端的に不潔極まりない状態だと嫌がられることがあります。
そもそも、そういうお宅はある程度キレイにするまではヘルパーさんを入れないようにすることが多いかもしれません。



ほかには

「場所が悪い」「必要な物品がない」

なども。

場所が悪い、というのは、公共交通機関のアクセスが悪く、心臓破りの坂の上にあって、なおかつ車やバイクなどで入れない、などの利用者さんのお宅まで行くことが大変なときですね。
また、エリアの端っこで他の訪問先とのつながりが悪い、つまり移動に時間や手間がかかるときも、ヘルパーさんに負担がかかるため避ける傾向があります。

必要な物品がない、というのは、掃除道具や調理道具、家具家電が利用者さんのお宅に揃っていないため満足に家事援助が行えないときや、身体介護に必要な消耗品や介護用品が足りないときを指します。
家事援助の道具不足はまだしも、身体介護を行うのに物品が不足しているのはかなりの負担です。
消耗品は買い足したり、ヘルパーが使う手袋などは会社から持っていくことができますが、福祉用具の不足は訪問介護側からどうにもすることができず、たとえば寝たきりなのに床に布団をしいて過ごされていると、その方に対しての介助はベッドで過ごされている方と比べると、格段にヘルパーの体に負担がかかります。


これらのほかにも難しい、といわれるケースはありますが、細かくなってしまうためこのあたりにしておきます。
ちなみに、当てはまるところがあったからと言って必ずしも難易度の高い仕事と言われるわけでもありませんから、利用される予定のある方はあまり気になさらないでくださいね。


ヘルパー的にはこのくらい余裕よ。




常勤ヘルパーという生き物。


これまで職種に「サービス提供責任者」と「登録ヘルパー」というものが登場しましたが、じつはもうひとつ存在しています。

それが、私もやっていた「常勤ヘルパー」です。
常勤ヘルパーは社員で、サービス提供責任者のように特定の利用者さんを担当するわけではなく、その事業所と契約しているあらゆる利用者さんのもとへ訪問します。

で、そのあらゆる利用者さんという中に、前述の「難易度が高い」お宅の比率が格段にアップします。

もともと入っていた登録ヘルパーさんがお休みになったとき、その代わりにはなるべく他の登録ヘルパーさんを入れるようにすることが多く、その理由は、登録ヘルパーさんは利用者さんのお宅に行ってお仕事をしてはじめてお給料が発生するからです。
いくら出勤日にしているからといって、移動時間や待機時間は給料が発生しないんですね。
なので、その日が出勤できる登録ヘルパーさんにはなるべく稼いでほしいという事情もあり、振れる仕事は極力振るようにしているのです。

すると、常勤ヘルパーに振られる仕事は、"誰も行ってくれない仕事"となるのです。


もちろん、それに文句があるわけではなく、そこからキャリアアップを目指して夢を持って突き進む人もいるし、第一、サービス提供責任者になるには現場での実務経験が必須ですから、下積みとして日々頑張って過ごしていることがほとんどです。
ちなみに、大変なお宅でも私のように面白がって、すすんで大変なところに飛び込んでいくおかしな人も中にはいます。

まあ、内心、責任者に向かって(自分の担当なんだからこっちに押し付けんなよ)(たまには自分でいけよ…)と思ったことは一度や二度ではないですれどね。


当時の愛車は赤いチャリ。
(コレジャナイ)




まとめ


訪問介護の中で働いている人について、ちょっぴり説明をしました。

知らない方でも読めるよう、なるべく専門用語を使わずに書いてみましたが、少しは伝えられたでしょうか。

当初に執筆していた別のものから引っこ抜いて改めた文章なので、訪問介護全体というよりも、主にはたらく人のことについてをまとめてみました。

またなにか思い出して、書き足したいことがあったら直そうかななんて思いつつ、今回はこのあたりで。

元になった文章も仕上がり次第リンク上げますので、もしリンクがついていたら読んでみてくださいね。



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