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日本外食新聞掲載原稿 第66話

第67話が掲載されたので第66話をアップします。
今後どうなるかわからないドキュメンタリー(実話)連載です。


実録!飲食業界のパラダイムシフトに田舎の喫茶店マスターが巻き込まれたとき、現場をこなしながらどのように活路を見出すか。651日目。



今でこそ「秘密工房」という名前がブランド化しつつあるが、本当の店舗名は「コーヴォ」だということを何人の人が覚えているだろうか。元々はカフェパルランテの姉妹店として、近所の倉庫に作ったセントラルキッチンを「秘密基地みたいにしたい」という思いからイタリア語で秘密基地を意味する「コーヴォ」にしたのだが、そこから紆余曲折あり、中国輸出を考えて日本っぽいデザインと商品名にしようとなったので、「コーヴォ」が「工房」に聞こえることと秘密基地の「秘密」を組み合わせて「秘密工房」という名前にしたのだが、これはあくまでコーヴォというお店が作った一つの商品ラインナップ、グリコ(コーヴォ)のポッキー(秘密工房)みたいなニュアンスで捉えて欲しかった。
だが三越の催事に出るときに「コーヴォの名前で出店すると缶に書いてある『秘密工房』の文字との整合性に疑問が生じてお客様を迷わせることになるので、秘密工房の名前で出店した方が違和感なく受け入れてもらえるだろう」と判断し、店舗名を「秘密工房」として出店したことがキッカケで多くの方に「秘密工房」という名前が認知されたわけだが、そうなると今度は「コーヴォ」って何?となってしまったのだ。それはそうだろう。秘密工房が店舗名だと思って購入しているご新規さんからしたら、成分表に書いてある【製造者/コーヴォ】がなんなのか全く分からないはずだ。うわぁ、これはややこしくしてしまったなぁ…と催事が終わってから半年ほど悩んでいた。
5月16日、弁理士の先生から一通の封書が届き、中には商標登録証が入っていた。そうだ、そうなんだよ、秘密工房で商標登録までしてしまったんだよ。もうここまで来たら「コーヴォ」という店舗名を「秘密工房」に変えてしまったほうが分かり易いよな、そうだな、うん。思い立ったが吉日、すぐさま保健所に赴き店舗名を「秘密工房」に変更した。これで名実共に「秘密工房」になったわけだ。コーヴォという名前とデザインを気に入っていただけにちょっと残念な気もするが、またいつかコーヴォの名前でお店をやれる日が来ることを夢見て、今は前進あるのみだ。

メディアでコロナというワードをめっきり聞かなくなった5月中旬、今度はいかにコロナ前の日常に戻そうかと政府も色々考えているようだ。まず厄介なのがこの2年で刷り込まれたマスクに対する国民の意識だろう。これを上手く変えていかないと経済を元に戻す足枷になってしまう。あくまで肌感覚だがこの頃からネットニュースで「マスクは本当に必要なのか」的な記事が散見されるようになってきた。そして次に新聞だ。5月17日の中日新聞の朝刊一面に「外でマスク外しちゃう?」という記事が掲載された。これは単なる偶然なのか、意図的に政府が裏で操っているのかは分からない。そして19日専門家との協議を経て、20日政府はマスク着用に関して「屋外で距離がある程度確保できている、もしくは会話をほとんど行わないならマスクは不要」という基本方針を示した。
そしたら今度は畳み掛けるように地上波のワイドショーで【今までの感染対策は見直すべき】という特集が組まれていた。内容的には①コロナはエアロゾル(飛沫感染)が主流だが、エアロゾル粒子は大気や風で簡単に薄められるのでマスクはさほど意味がない②飲食店店内のビニールカーテンやアクリル板は、エアロゾル粒子をその場にとどめてしまう可能性があるのでかえって危険③大声やくしゃみ、咳には注意が必要だが、普通の会話ではエアロゾル粒子はほとんど出ないので飲食店での黙食は無意味④サラダバーやビュッフェで手袋着用を義務付けているお店もあるが、ウイルスがトングに付着していても感染を引き起こすだけの量は残らないのでそこまで気にすることはない云々……という内容を仙台医療センターのウイルスセンター長が話していたのだ。この放送をこのタイミングで流すことを番組制作者が元々予定していたのか、政府関係者に促されて作ったのかは知る由もないが、見えない力が働いているように感じるのは私だけではないだろう。
これぞ日本政府の十八番「秘技手のひら返し」。
こうやっておとなしい家畜はメディアという道具を使って操られるんだなと日本政府の一挙手一投足が勉強になる。テレビをほとんど見ない都会人と違って、テレビしか見ない、テレビで言っていることが全ての田舎民の目にはこのような放送がどのように映るかが気になるところだ。保守的で変化を嫌う日本人にとって、直近の2年のようなグルグル外部環境が変化する世情は正直苦痛だろう。
「せっかくマスク生活に慣れてきたのにまた変える(外す)の?」という心境ではないだろうか。こうなると今度は外すことが億劫になるので「マスクを付けていると健康被害が出ますよ」ぐらい言わないと外さないのではないだろうか。ホント厄介な国民性だ。とにかく田舎では誰かが「マスク外します運動」をやらないと始まらない。ただし誰も「最初に始める人」にはなりたくないのだ。最初にやって目立つと叩かれる危険性が高いので、誰かがやって、その様子をこっそり覗いていて周りの反応が概ね好意的なら後追いする…ぐらいが丁度いいと考えているのだろう。では誰が最初にやるのか。ウチがやるしかないだろう。叩かれても平気で言い返せるぐらいの強さと実績がないと、誰も振り向かないし共感してくれない。ということで、おそらく春日井市では初めてであろう「マスクの自由化」に踏み切った。グダグダ書かれた注意書きも、テーブルのアクリル板も、レジ前のビニールカーテンも全て取っ払って、入口に「マスクの着用を自由化します つけるのも自由 つけないのも自由」と紙を一枚だけ貼って営業することにしたのだ。さぁ、テレビに洗脳された超保守的ド田舎民はどんな反応を示すのだろう。

5月25日、平日にも関わらずシャッターを開けにいったら3組待っていた。待っていた人達と目があったが、私がマスクをしていないことに驚く様子もなく、入り口の張り紙を見ても「へ〜マスクの自由化だって〜マスクに気を使わなくていいんだ〜ふ〜ん」とこちらが拍子抜けするぐらいの薄い反応だった。おっ、思ったより抵抗なさそうだな。店内にアクリル板を置いていないことにも気付いてないようだ。うんうん、これなら普通にいけるぞと思い、久しぶりにパンパンの満席まで詰め込んでみた。賑やかな店内とお客さまの笑顔。これだよこれ!飲食店はこうじゃなきゃね!!とそこにふらっと入ってきた新規2名様が店内の様子と張り紙を見て「うわ、なにこれカオスじゃん。マスクもしてないし…こわっ!」っと言い残して帰っていった。これでいいのだ。需要と供給、利害関係が一致しなかっただけだ。この状況を見て帰る客とは縁が無かっただけのこと、気に病む必要はないと思っている。結局その日は昼夜とも満席で有り難い1日となった。小さな田舎だから「あそこマスク無しで入れるよ」とか「マスクせずに営業してたよ」とか色々な意見と情報がすぐさま飛び交うだろう。全員が全員好意的に受け取ってくれるとはさらさら思っていないが、どちらの意見にせよ爪痕を残して相手に考えさせることが目的なので、お店のイメージが悪くなるとか来るとか来ないとかなんてことは関係ない。今の状況に一石を投じて波紋を広げることが重要だと思っている。田舎には田舎の戦い方がある。この行動が吉と出るか凶と出るか、2ヶ月後にははっきりするのではないだろうか。

世間がマスクだ何だかんだとグダグダ言っている頃、先日完成した秘密工房ECサイトとしては初のティラミス販売日が近づいていた。今回も限定30個で日曜日の12時から販売を開始する。ただ前回の販売から2ヶ月以上空いているので、忘れられてしまったかもしれないし、売り切れないこともあるだろうと思っていたのだが、ひょんなことから強い味方が今回の販売を後押ししてくれることになった。東京・奥渋谷にある拘りの詰まったカフェ『THE LATTE TOKYO』の店主が以前ティラミスを購入して非常に美味しかったということで、自身のブログで秘密工房のティラミスを紹介してくれていたのだ。しかも販売日の前日に、まるで販売を手伝ってくれるかのように。いやぁーこのサプライズは本当に嬉しかった。『勝手なPRで、勝手な応援。何よりも食べてほしい。これに尽きます。他人事だからと、めちゃくちゃハードル上げまくって三井さんには怒られるかもしれませんが、大丈夫。パルランテさんのティラミスより美味しいものを食べた事がないので。皆さんにも食べてほしくて書きました。常連さんは特に。褒めてほしいもん。「紹介してくれてありがとう」って。』(ブログより抜粋)
プレッシャー半端ないな(笑)まぁなんとか期待に応えられるよう、全身全霊魂込めて作ることを決意したのであった。




カフェパルランテ/秘密工房  三井隆義

〒487-0026 愛知県春日井市不二町2-6-7  0568-53-2477

営業時間 12:00~22:00 (ランチ12:00~14:30LO・ディナー17:30~21:00LO)
不定休(noteで告知します)
P7台(乗り合わせて来てください)

http://www.caffeparlante.com/ ←カフェパルランテの歴史(2009年7月~)
https://www.facebook.com/ciccio.don.925 ←マスターのFacebook
https://www.Instagram.com/caffeparlante2009 ←マスターのInstagram


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