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自分軸の作り方#39〜霊長類の反抗期・自立への兆し〜

 以前、次男の進学先の中学校を探していたときのこと。

 過去記事でも書いたように、次男はいろいろ過敏な面がある。そして、見通しを立てること、あらかじめ想像することは苦手としている。急な予定変更に不安を感じやすい面があるので、心の準備ができるよう、私も心がけている。

 長男が通う公立中学校に、次男も校舎や校風に慣れてもらおうと考えていて、長男の授業参観や行事には、できるだけ一緒に学校に行くようにしていた。

 でも、

・制服が詰襟である
・先生が厳しい
・怒鳴る先生がいる
・大人っぽく、しっかりした生徒が多く、「このくらいのことは出来て当たり前」という雰囲気が、先生たちの中に漂っている

など、なんとなく次男向きではない空気を感じて、違う学校を探した方が良さそうかなという予感があった。

 次男も、体育の授業(運動会の組体操練習)を見学した時に

 体育教師特有の、怒鳴り声と命令口調に耐えられず、体育館から走って逃げ出した。

探しにいくと、廊下の隅に隠れていた。
「俺、ここ無理だ。怖い」と言う。

聴覚過敏の次男にとって、この低く大きな怒鳴り声は恐怖を呼び起こすものとなるようだ。

私の予感が確信に変わった。

違う学校を探そう。


学区内の、少し遠い公立中や、
ゆったり目の校風の私立中学校の説明会に参加した。

 その中で、いろんなタイプの生徒の対応をしてくれそうな、多様性を受け入れてくれる校風の学校をいくつか絞り込み、保護者向けの相談会にも足を運んだ。

 その中の、ひとつの中学校での説明会で、質疑応答の時間があり、
「子供の反抗期が酷過ぎて困り果てている。
どう対応したらよいですか」
と質問した保護者がいた。

それに対して先生の返答がとても印象的で腑に落ちる内容だったので紹介したい。

「ゴリラなどの霊長類はね、

成長して群れから離れる時期になると、
わざと群れのメンバーに嫌われるようなことをし始めるんですよ。

それで、群れから独立していきます。

われわれは霊長類なのでね。
思春期の反抗は、自立するために通る道なんです。
なので、自立の時期だな、成長しているんだな、と喜んで受け入れましょう。」

参加していた保護者一同に、笑いと安心したような雰囲気が広がった。

多分、長男の通う公立中では、反抗期の生徒を厳しく注意して大人に従わせるんじゃないかな、と感じていたので、ここなら次男も馴染めそうだと思った。

 結果的には、他にも数校の説明会や学校祭に行ってみて、次男はこの学校を選ばなかったけれど。

 この学校に子供が通う保護者の方に、偶然別な場所で出会った時に、「すごく自由だし、素敵な先生の多い学校で、うちの子は楽しそうよ!おすすめ!」とおっしゃっていたので、選択肢として捨て難いものがあった。

 それから、ゴリラを見ると想像してしまうのだ。

 自立する前に、群れのメンバーに嫌われるようなことをやってしまって、そのゴリラが悲しみを乗り越えて、群れを離れ、大人の階段を登っていく後ろ姿を。

そして、それを木の影から見送る親ゴリラの涙を。

 この霊長類ならではの行動を知っていたら、豹変したように見える子供の反抗期を、「自立の時期がきたか」と、微笑ましく見守る心構えができそうだ。

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