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自分軸の作り方#20 ~【不登校】父と子の関係、雪解けの季節~

 長男が中1、次男が小5の夏休みは、はじめから最後まで、地元の自宅ですごしていた。

 コンプリメントトレーニングでは、日々親子でアナログゲームをすることになっているので、毎晩のようにトランプやボードゲームをしてすごしていた。お盆期間は、会社の夏休みで帰省してきた夫も加わり、子供2人と姑と私、5人で遊んだ。
おばあちゃんの脳トレのために買った「ブロックス」というゲームは面白かったが、次男は負けそうになると、泣いて悔しがる。それを見て、次におばあちゃんが負けそうになると、おばあちゃんが次男の泣きまねをして見せて、笑いを誘う。人狼ゲームにもチャレンジしたが、次男は嘘がつけず、人狼カードが来ると顔が真っ赤になってしまい、勝負にならなかった。

 夫はこうしたゲーム全般に強い。子供にも手加減なしで本気で勝負するので、他の4人は夫を倒そうと躍起になった。

 少し話は逸れるが、

そんなふうに、顔を見合わせてコミュニケーションができることが、アナログゲームのすごく良いところだと思っている。

 「ポリヴェーガル理論入門」の中には自閉症の治療としての「あそび」の重要性が書いてある。
 哺乳類は、遊びの中で、おいかけっこしたり、嚙みついたり、たまに痛い思いもしながら、顔を見合わせてそれが攻撃ではないことを確かめ、社会交流システムを身に着けていく。それを「神経エクササイズ」と呼んでいる。

※ポリヴェーガル理論入門については、この記事をご参照ください↑ 


アナログゲームをしていると、みんな負けず嫌いなところがあり、悔しい!とか、腹立つ!と感情を表現する。それは仲違いしているわけではなく、ゲームの中の話だ。もし怖い顔をしていても、それは本気の戦いを挑んでいるわけではない。

 登校するのが怖い子供達は、人の表情に敏感だ。アナログゲームをして、お互いのいろんな表情・感情を味わうことも、神経エクササイズになると思っている。自閉症に限らず、小さいお子さんを子育て中の親御さんには、子供さんの心を育てるために、本当にたくさん子供さんとじゃれあって遊んで、親子の信頼関係を結んでほしいと願っている。

 さて。夫に自信の水を入れる取り組みに話を戻そう。

 夫は夏休みや冬休みの帰省時にはいつも、庭の片付けや植木の手入れをする。
夫の父親が、一人でものづくりをするのが好きだったので、庭は舅の趣味で埋め尽くされている。舅は、数年前に脳梗塞で入院してからというもの、外で作業することはなくなった。
庭や玄関に植えた木が伸び放題なので、枝を切ることが主な作業だ。

 一人で黙々と作業する夫に、
「枝を切って、スッキリしてきたね、仕事早いね。」と、声をかける。
あからさまに「力があるね」と言うと、コンプリメントだとわかってしまうので、わからないように、じわじわ伝えていった。
一緒にニュースを見ていて夫が何か意見を言ったら、
「へぇーよく気づいたね!私、全然気づかなかったよ」とか
「知らなかった!さすが物知りだね」みたいな感じで、夫の言動に、言葉を添えて行く。

 夫は投資情報をよく調べているので、よく調べてるねぇーと興味を示したり、夫を観察して何か良いところを見つけては、言葉にして伝えた。そうすると、「不動産屋に一緒に行かない?」と誘ってくるようになった。

 夫の良いところを言葉にして伝え始めてから、気づいたことがある。
それは、子供にコンプリメントをかけはじめた時と同じ気づきだった。
私はそれまで夫に、きつい言葉をたくさん夫に言い放っていたのだ。

 夫が子供に「いい学校に行かないと、将来は貧乏で苦労する。買いたいものも買えない生活になるぞ」とか、テレビに出てくる、経済的に困窮した人が出てきた時「ちゃんと勉強しないと、あんなふうになるぞ」と言っていちいち子供にプレッシャーをかける様子を見ては
「いろんな職業あるじゃん。会社員になるだけがすべてじゃないし!」「お金持ちだって、幸せじゃない人もいるよ💢」と反論したり

子供が登校できなくなった時、夫に「このままでは将来ニートになるな」と言われると
「なんでそんな言い方するの?
言霊って知ってるでしょ?そんなこと口にしていたら、本当にそうなっちゃうからやめて💢」と言ったり、(これに対しては夫が「勉強していい学校に入るんだぞっていう言霊は効かなかったな」と反論してたけど、それは無視。)

 不機嫌な顔で、夫の言葉をいちいち遮っている、過干渉極まりない妻であった。「言霊」を振りかざして、夫を攻撃していた。

 夫がそう言うのは、将来を心配しているからに他ならない。
 どうやったら、子供が学校にいけるようになるか、将来安定した生活が送れるのか、夫なりに考えて、助言しようとしていた。
それを、ことごとく遮り否定していたから、夫は子供に話しかける自信を無くしてしまったのではないか。何より、私は「いちいち余計なことを言うのやめてほしい!」と思っていて、夫が何か言う度に心の中で、大きくため息をつき、チッと舌打ちをしていた。私の放つオーラで、何も言わなくても、気持ちが夫にダダ漏れだったのだと思う。

夫の自信の水を奪っていたのは私だった。

 気づくと夫が庭で作業するときに、子供たちに「ちょっと手伝って」と声をかけるようになっていた。そうすると、夫と子供たちの会話も増え、私は子供たちにも夫にも、言葉がけできることが増えた。「子供たちが一緒にやってくれると、片付くのがすごく早いね!」と笑顔で伝えると、みんな少し嬉しそう。

そうして少しずつ、私たちの冷え切った家族関係に、雪解けの季節がやってきた。(夏だけど・・・笑)


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