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父きたる

一切の善男子(ぜんなんし)・善女人(ぜんにょにん)よ、父に慈恩(じおん)あり、母に悲恩(ひおん)あり。その故は、人のこの世に生まるるは、宿業を因とし、父母を縁とせり。父にあらされば生まれず、母にあらざれば育たず。

『仏説父母恩重経』

「お父さん・お母さんがいなければ、人として生まれ、育つことはなかったのだから、父母には大変な恩がある」と、仏さまは教えられています。

そんな慈恩ある父が1週間、シリコンバレーに遊びに来てくれました。

日本からのお土産をスーツケースパンパンに詰め込んで、たくさんのブツを運んで来てくれました。

『仏説父母恩重経』では、父母から受けし代表的な恩を10個、お釈迦さま説かれていますが、11個目の恩として「ケースパンパンの恩」を追加したいと思います。

日本代表たちが米国入りしました。

1週間全部を書くと長くなるので、雰囲気だけ感じられるよう、1日目・2日目に焦点を当てて書きたいと思います。こちらに遊びに来たくなってくれたら嬉しいです!


1日目は、朝から一緒にジムでトレーニングをした後、近くの川でSUP。

男は父親の背中を見て育つと言われますが、久しぶりに見た背中は、着色料とクラゲ満載の川に落ちまいとする、頼りなげなそれでした。

後ろ姿のフォルムが自分とほぼ同じ

SUPの後は、シリコンバレーらしく、Meta社の提供する最新のVRゴーグルをつけて話題のメタバースを体験。

映像を見る体験から、映像の中に入る体験へ。海パンにビーサンの出で立ちで、KIZUNA AI(キズナアイ)の360°ライブ映像を見ながらニヤつく親子は、傍から見たら完全にヤバいやつらです。

横から見たフォルムもほぼ自分と同じでした

こちらに来てからはリアル店舗でのCafe&Bar-ジブンができていませんが、メタバース上にお店を作ることなども検討していますので、VRゴーグルを購入した人は近い将来、一緒にメタバースでお会いしましょう!

さて、ひとりしきりVRを楽しんだ後は、自宅の共用スペースでBBQ。

カリフォルニアらしい最高の天気で、冷えたビールとお肉が最高でした。ゾウが食べるんじゃないかという量を何とか二人で完食。

途中、近所のおばさまたちに、「え!本当にお父さんなんですか?おいくつなんですか」と絡まれて、父の鼻の下もゾウみたいに伸びていました。

アメリカらしい歯応えのあるお肉

夜は、第三作目の本の内容にも関連する、仏教の基礎について一緒に勉強。何歳になっても、自分の価値観の殻を脱ぎ捨てて学び続けられるっていうことは凄いなと思いました。


2日目は、サンフランシスコの中心地にある現代アート美術館へ。日頃ビジネスで凝り固まった頭の体操と心の健康のためにも、芸術は大切です。

早速中に入ってパンフレットをもらうと、表紙を飾るのがこの不思議な絵。

タイトル不詳

大量の花を背負い疲れて、崩れるようにして座り込む姿にも見えますし、今から花を背負って立ちあがろうとする直前の様子にも見えます。

いずれにせよ、この固定の仕方だと首も締まるし、花も落としそうなので、両端に取っ手をつけて二人で持った方がいいのではないかと思いつつ、どんなメッセージなのか、誰が書いたのか、大きさはどのくらいなのかとか、色々と気になります。

4階にあるらしいとの記載を見つけて、向かってみる。

が、無い。

見落としたのかと思ってフロアをもう一周するが、やっぱり無い。

どこだろうねと話しながら、4階にあった絵の販売スペースに行くと…

まさかのここかよ!

あった(笑)

あったけど、これどう見ても完全に売り物だ。しかも大量のコピー品が絵の下に雑に並べられ、安売りされている。

どういうことだ?

こんな感じで置かれているものを、パンフレットの表紙にしてはダメでしょう。

もっとこう、展示コーナーの中心に、厳重な柵とか作って、その絵一枚だけのために一つの部屋があるくらいのものでなきゃ、ダメでしょう!!!

…いや、でも待てよ。

もしかするとこの在り方が、現代アートなのか?

「安売りされているコピー品」を敢えてパンフレットの表紙に飾るという、そういう類の現代アートなのではないか。

そうだ。僕たちはいつだって、「本物」とか「世界に一つだけ」とかそんなくだらないことにこだわってしまうんだ。物事の本当の価値に目を向けようとするのではなく、権威ある誰かが「これは価値がある」といったことにすぐに迎合する。

パンフレットの表紙になっている絵なのだから、何か深い意味があるのだろう。

美術館に飾られて、厳重に守られているから価値があるのだろう。

そんな本質とは無関係のところに価値を見出して、本当の価値なんて一つも分かっていないのに「すごいなぁ」とか言って写真を撮って満足する僕たちの在り方に、一石を投じるための作品なのではないか。

現代アート、なかなかに深いぞ!!

変に納得しながら店員に聞いてみると、

「あぁ。本物の絵は常設の展示にはなくて、特別な日に、特設コーナーを設けて展示しているんだよ。何しろ特別な絵だからねぇ」

全然違った。

めちゃめちゃ権威に寄せてきてた。権威に一石を投じるどころか、権威の権化みたいな絵だったらしい。

なんだよそれ!

この他にも、展示品の中には、見る人を困惑させる作品がたくさんあり、考えさせられて、父親とやいのやいの勝手に考察しながらみると、結構楽しめました。

中には作者たちが締め切りギリギリで「時間ないし、とりあえずこれで出したろ!」みたいなノリで作ったとした思えない作品もありました。
#芸術に詳しい方、ぜひ解説してください。

審査員の顔も真っ青になったであろうアート作品
こんな感じのお菓子ありませんでしたっけ?アスパラガスみたいなやつ
こ、これはっ!!…いったいなんですか?

芸術を嗜んだ後は、サンフランシスコの有名なチョコレート店、ギラデリに足を運びました。

「ここでしか買えないから」という僕の言葉を信じて、お土産用にしこたま買い込んだ父。

翌日、アウトレットで「3つ買うとプラス3つついてくる」みたいなバーゲンがされているのを見て、ショックを受けていました。ちなみに、空港でも普通に売っていました。割とどこでも買えるものだったようです。
#Sorry Dad!

夜は、サンフランシスコにある魚介の名店、Sotto Mareに。

チョッピーノという海鮮シチューが最高に美味しかったです。たっぷりのカニと貝をトマトでじっくり煮込んだスープは、魚介出汁の旨味が半端なくて、食べ終わった後の残り香だけでご飯が3杯いけるくらい。

カリフォルニアに来た人は、絶対に行った方がいいおすすめのお店です。

カニやら貝やら魚やら…ほぼ海を飲んでいる感じです。

3日目は、二人でアウトレットでショッピングをした後、500以上のワイナリーが立ち並ぶワインの聖地・ナパバレーへ行きました。4日目から6日目はラスベガス、7日目はロサンゼルスに行ったのですが、こちらはまたの機会に書いてみたいと思います。

とにかく素敵で濃密な一週間で、楽しかったです。

止まらない物価上昇と歴史的な円安のダブルパンチの中、途中で財布をすられる洗礼を受けつつ、ついでにスマホもちょっと壊れつつ、歩きすぎによる靴ずれで出血しながら、満身創痍で日本へ帰ってゆく父親を見送りながら、少し寂しい気持ちになりました。
#無事の帰国を念ずる

あらためて家族っていいもんですね。いろいろな家族の形があって一概には言えませんが、やっぱりお釈迦さまも説かれる通り、自分にとって大恩あるひとだから、大切にしたいと思いました。

母や兄たちも、近い将来に来れることを願いつつ、その日に備えて自分でもあちこち巡って、いろいろと経験しておきたいと思います!

ちなみに最近は、入国時のPCR検査が無くなったり、JALの運営するLCC・ZIPAIRの登場で往復の航空券が安くなったりと、こっちに来るハードルはだいぶ下がっています。
#12月には成田からサンノゼの直行便ができて更に安く来れるようになるようです

ではでは。

#Thanks, Dad!

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