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アメリカのドライビングスクールが深かった

ども!
世界と人間のすべてに興味があるひと@シリコンバレーです。

アメリカは中国、カナダに次いで世界で3番目に大きな国です。日本の国土面積のおよそ26倍で、アメリカで4番目に大きいモンタナ州がほぼ日本と同じサイズだから、かなり大きいですね。

そうなると当然ながら日々の移動には車の運転が欠かせませんが、日本とは車の作りから交通ルールから色々と違います。

そこで、アメリカ(カリフォルニア州)での運転を身につけるべく、現地のドライビング・スクールに行ってきたので、その時のことを書きたいと思います。

初Uberに乗ってみた

赴任からオフィスへの出社を命じられた僕は、現地までの足としてUberを利用することにした。アプリで現在地をオンにして、目的地にオフィス住所を設定すると、すぐに周りを走るUberの車が見つけてくれて、ピックアップしてくれる。

初Uberで乗せてくれた人は、気さくなインド人だった。

下道から高速道路に入ると、突如としてグンと背中が後部座席に押し付けられる感覚がした。車はそのままものすごい勢いで加速していく。

ふとメーターを見ると、針は85〜90の間を揺れ動いていた。
あれ?体感とは違って、意外にも高速道路では標準的な速度だった。

しかしその直後、「XXXX Road  5 mile」の文字を見て、ハッとした。

マイル。

それは米国での、距離の長さを表す単位だ。

僕はスマホを取り出すと、Google先生に「マイル 何キロ」と質問した。
先生は答えてくれた。約1.6キロだと。
すぐに続けて、「アメリカ 車 速度メーター 単位」と調べた。
先生は答えてくれた。マイルだと。

マイルだと?

90マイル = 144キロ
それは紛うことなき、完全なるスピード違反だった。

その後、彼は訛りの強すぎる英語で、何かをしきりに勧めてきた。何度か聞き返したあと、運転中の彼は痺れを切らしたように後ろを向いて、後部座席に手を伸ばし、隣に置いてあった水を差し出してくれた。

シンプルに、めちゃめちゃ危険だ。
誰が想像できるだろう?
にっこり微笑む真っ白な歯と優しい気遣いが、こんなにも人を不安にさせるなんて!

写真はイメージです

そんなこんなあり、無事にオフィスに着いた僕は、すぐに社有車を使わせてもらうよう申請を出した。

そして、現地で日本人がやっているというドライビングスクールで、2時間の運転講習を受けたら社有車がゲットできるということになった。

事前にドライビングスクールのサイトと思しきものを見ていると、「漫画で解説アメリカの交通ルール」というページがあってアクセスしてみた。

すると、まず目を射抜いてくるのは、蛍光色ビンビンの緑地に、青と赤の字が躍るキャッチーなサムネイルだ。
信号機の色を見過ぎた、ドライビングスクールならではのデザインということだろうか。
この、日本とアメリカの対比も、何を言いたいのか、あまりにもピンとこない。プレゼンで一番やってはいけないタイプの、パワポスライドだ。

ピンとこない絵と右下のピストルを持った謎の狐が不安を煽る

次に現れるのが、この4コマ漫画だ。
これもすごい。残念ながら、一つも意味が分からない。
黄色い封筒を持ったおじさんに青年が必死で何かを訴えているようにも見えるが、肝心のメッセージは何も浮かび上がってこない。

「この漫画にセリフをつけなさい」麻布中学校の入試問題だろうか?

結果、米国の交通ルールは何一つ学べず、不安だけを募らせながら床につくことになった。

運転講習当日

当日の朝、ケントさんという方がホテルまで迎えにきてくれた。

バンダナを巻いて浅黒く日焼けをした面長な顔と、パッチリとした二重まぶたは、あの伝説的なサッカー選手・ロナウジーニョに少し似ていた。サイトを見た時の不安を吹き飛ばすに十分な、爽やかさと安心感だ。

写真はイメージです

ケントさんは僕を運転席に乗せて簡単に解説をすると、早速、運転するように指示を出した。

右側通行・左ハンドルに慣れず、恐る恐るといった感じでアクセルを踏む僕に、ケントさんは言った。

「自分の前に何も妨げるものがないなら、思い切り加速したらいい」

その言葉に背中を押されて、僕はアクセルを踏んだ。車は、鼻をならした馬みたいに一度だけブゥンというと、気持ちよく公道を滑り出した。

するとすぐに次の難所がやってきた。
交差点である。
車通りも多く、スピードも速い。
用心深く辺りを見渡してなかなか前に踏み出せない僕を見ると、ケントさんはこう言った。

「確認すべきことが確認できたら、自信を持って前に進もう。周りの人が走っている時に一番危険なのは、自分が止まること」

その言葉通り、3点の確認が済むと僕は一気に加速した。大縄跳びで、えいや!と飛び込む要領だ。隣でGood!とケントさんが褒めてくれる。

住宅街を走っていると、目の前を一匹のリスが横切った。慌ててスピードを落とす。すると、ケントさんはいった。

「急に止まらないで。リスは轢いてもいい。自分の命が一番大事、優先順位をいつも見失わないで」

続けて、「ちなみに僕は20年間で、うさぎ一匹しか轢いたことがない」
ケントさんは自慢げに言ったが、それは正直、いや、一匹も轢かないでくれと思った。今、一人の人間に完全に引かれてしまったことに、彼は気づいていない。

そんなケントさんとの楽しいドライブ講習も終盤に差し掛かった時、ケントさんは突然、「アクセルから足を離して」といった。
それから、助手席の足元にあるもう一つのアクセルを踏む。ドライビングスクール用の車だから、何かあった時のために運転席と助手席の両方に、アクセルとブレーキがついていたのだ。楽しげに車を加減速させながらケントさんは、笑顔で言った。

「しっかりハンドルを握って。僕はブレーキとアクセルは踏めるけど、その方向を変えられるのはShoだけだから」

・・・。

なんだろう。
これは何か、僕に運転の仕方以上のことを教えようとしてくれているのではないだろうか?

そう、これはもはや、生き方そのものの教えなのではないだろうか。

彼のくれた数々の助言を、書籍からの引用風にしてもう一度、振り返ってみたい。

自分の前に何も妨げるものがないなら、思い切り加速したらいい

ケント『人生は運転のように』

確認すべきことが確認できたら、自信を持って前に進もう。周りの人が走っている時に一番危険なのは、自分が止まること

ケント『人生は運転のように』

自分の命が一番大事、優先順位をいつも見失わないで

ケント『人生は運転のように』

しっかりハンドルを握って。僕はブレーキとアクセルは踏めるけど、その方向を変えられるのはShoだけだから

ケント『人生は運転のように』

そうだ。
僕たちはいつだって、自分の人生の運転席に座っているのだ。自分がどんな景色を見たいのか、どんな場所に行きたいのか。どんな道を走っていたいのか。

すべての決定権は、自分にあり、自分しか、そのハンドルを操作することはできない。誰かがアクセルを踏んでくれることもある、誰かがブレーキをかけてくれることもある。だけど、進む方向、すなわち人生における目的だけは、己が見つけ、己がハンドルを切っていかなければならないのだ。

シリコンバレーという場所は、こんな風に僕にいろいろなことを教えてくれる。
その場所に来たのも、自分の意志だ。
ケントさんが教えてくれたように、これからも強く、自分自身の人生のハンドルを握って生きていこうと思った。

人生のドライビング方法を教えてくれる、素敵なスクールはこちらだ。

時代を感じるレイアウトだが、講習の中身はしっかりしていた

そしてその一番大切な、人生で向かうべき方向は何なのか。
そんなことを語り合う場所が、Cafe & Bar -ジブンです。

ご来店、お待ちしています!


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