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カフェバグダッド年代記⑧(了)-コロナ禍きっかけにZINE作り、文フリ出展

 2016年早春に帰国して、カフェバグダッド活動を再開したのは、帰国から2年後の2018年4月のことだった。トルコのお菓子「ターキッシュ・ディライト」(ロクム)を輸入販売していたトルコ人の方と知り合い、その方がトルコ家電メーカーに勤務していた人だったこともあり、トルコの2種類のコーヒーメーカーで、コーヒーを作り、飲み比べをしようということになった。

OKKAのコーヒーメーカー

「スペースマーケット」というネット上で民家などを時間借りできるサービスを利用し、世田谷区内の一軒家をレンタルして会場にした。
トルコ・コーヒーを作るマシンは、私がアマゾンで購入したものと、共催のトルコ人の方が持ってきたものの2つ。トルコ人の方がロクムを持ってきて、コーヒーと一緒に味わう、という企画だった。

この年は、これを含め4回のイベントを実施し、いずれもトルコ・コーヒーを提供するというものだった。このほか、コーヒーマシンは高校の同窓会の出し物にも活用するなどして、フル回転だった。今は休眠状態になっているが、またマシン活用の機会が来ると思っている。

2019年秋、岩手県の支局に異動する。岩手は私の出身地で、新聞記者になって初めて、自分の生まれ故郷で仕事をすることになった。高校を卒業後、離れていたふるさとを一から学びなおす機会になり、とても貴重だったと思う。

その岩手で、ZINE制作を始める。第一号の発行は2021年6月。その後、「カフェバグダッドZINE」として、これまでに共著を含め7冊を発行することになるのだが、コロナ禍がそれを後押ししたことは間違いない。人が集まっての活動が極端に制限されている中、リアルイベント開催は難しかったからだ。

マイクロソフトのワードを使って作り始めたのだが、周囲からは「えっ」と驚かれもした。これはだいぶ後になって知ったのだが、ZINE作りは、アドビの「In Design」という使っている人が多いのだそうだ。のちに、というかついこの間、このIn Designを導入したのだが、そのころは悪戦苦闘しながらワードを学んでいた。

ZINE作り開始のもうひとつの背景は、その前年、noteに記事を書き始めたこと。「カフェバグダッド・アンソロジー」三部作は、noteに書きためた中東についてのエッセイを再編集してZINEにまとめたものだ。こうしたプロセスが定着したことで、ZINE作りも軌道に乗ったといえる。

ZINEについては、まず、自前のオンラインストアを開設し、販売を開始。

当初、出展を予定していた「文学フリマ岩手」がコロナで中止になり、窮余の策でもあった。その後、2021年11月に文学フリマ東京に初出展、その後、京都、大阪、札幌、福岡と全国の文学フリマに出展することになる。

文フリへは、やはりZINE作りに取り組んでいた比呂啓さん

や、じょいっこさん

と共同出展することが多かった。単独出展よりも、さまざまな面でメリットがあった。そうした流れの中で、中東菓子バクラヴァについての本を一緒に出版することにもなった。

コラボレーションは、さまざまな刺激を受けることができる。何より、わいわいやりながら出展するのは楽しい。これからもそうしたスタイルを続けていきたいし、さらに発展させていきたいと思う。

このほか、パレスチナの伝統刺繍を着物帯に加工する事業をしている山本真希さんが主宰する「中東クラフト市」

埼玉県川口市周辺に暮らすクルド人を支援するNPO法人「在日クルドと共に」からも声をかけていただき、主催イベント会場で即売させてもらうこともある。

また、パレスチナ・ガザに対するイスラエル軍による攻撃が始まった昨年10月以降、東京・代々木上原の東京ジャーミィで開催された「パレスチナデー」

などのチャリティーイベントでも販売をするようになった。
一般の書店でも、本屋B&Bさんや

旅の本屋のまどさんなどで

ZINEの一部を扱っていただいている。20年前、カフェを借りたトークイベントから始まったカフェバグダッドの活動は、時期によってさまざまな手段を用いながら、等身大の中東を日本に伝えようと取り組んできた。今後の構想についてはもちろん、いろいろある。だが、実際にこの先どのような形になっていくのかは、自分でもよくわかっていない。とにかく、自分が楽しむことも大事にしながら、カフェバグダッドをより持続可能な形にもっていき、息長く続けていきたい。そのことが、日本で中東に対する関心がさらに高まっていく一助になれば、と思っている。(完)

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