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酪農王国・岩手のヨーグルトで中東のエキゾチックなチーズを作ってみた
中東を訪ね歩き、ホテルの朝食に必ずといっていいほど出てくるのがヨーグルト。特に、「ヨーグルトチーズ」と呼ばれる水気を切ったヨーグルトの味は今も忘れられない。アラブ圏では「ラバネ」(ラブネ)と呼ばれ、シリア、レバノンなど東地中海地域の朝食の定番になっている。酸味のきいた独特の味で、オリーブオイルをたらして、ホブズと呼ばれるナンにつけて食べることが多い。
中東でヨーグルトは、とてもポピュラーな食材。中でも独特なのは、強い酸味が特徴の「ラバネ」。水切りヨーグルトのことで「ヨーグルトチーズ」とも呼ばれる。シリア、レバノンなど東地中海地域などでの朝食の定番。ボール状のものもあり、丸ごと頬張ると口がまがるほどのすっぱみ。#ヨーグルトの日 pic.twitter.com/L2bxSNkKAL
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) May 15, 2019
最近、岩手県で暮らし始め、岩手の食の豊かさ、特に乳製品のすばらしさに感動している。岩手のヨーグルトで、ヨーグルトチーズを作ったら、どんなにおいしいものができるだろう。そう思って、トライしてみることにした。
材料は、最近全国にその名をとどろかせている「岩泉ヨーグルト」。岩手県内のスーパーで普通に売っているので、調達は容易だ。
作り方自体は、プレーンヨーグルトをざるなどで半日から1日ぐらいかけて水切りするという簡単さ。中東風に、ということで、ディルという香草をまぜ込んでみた。ディル入りは、トルコ・イスタンブールでよく泊まっていた旧市街のホテルの朝食で、そのうまさを知った。
ディルなどの香草をまぜこんだあっさり味のチーズ。トルコ食文化の粋を感じる。イスタンブール旧市街のホテルの朝食で pic.twitter.com/0I99BhoMc8
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) August 27, 2014
ざるにペーパータオルを敷いて2日間ほど置いておくと、乳清(ホエー)という液体が出て、水分がなくなってクリーム状になり、味が凝縮される。あの中東で食べた味にきわめて近い味が再現された。
岩手の岩泉ヨーグルトがとても美味しいので、中東のヨーグルトチーズ「ラバネ」を作ってみた。トルコっぽく、香草ディルを混ぜ込んでみた。水切りして濃縮された岩泉ヨーグルトのコクが一層強く感じられ、ディルのさわやかな風味とマッチしている。ディルは埼玉県産。オリーブオイルをかけてもいい。 pic.twitter.com/16Cr2uLB4T
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) November 11, 2019
岩泉ヨーグルト独特のコクが、水切りによって一層強く感じられる。ディルのさわやかな風味ともマッチしている。今のところディルは埼玉県産。岩手産ディルがあったら、そっちを使いたい。また、西和賀町の「湯田ヨーグルト」など、ほかの岩手県産ヨーグルトでも、このラバネを作って、味を比べてみたい。
ラバネ作りには、まだ続きがある。水切りの過程で出る液体、乳清は、栄養豊富で様々な用途がある。その一つがリコッタチーズの材料にする、というものだ。リコッタというのは、元々イタリア語で、リコッタチーズは、むしろヨーロッパのチーズとして有名なようだが、中東でもポピュラーだ。アラビア語式に「リグータ」などとも呼ばれる。以前、チュニジアのホテルの朝食によく出てきたのを覚えている。よく、豆腐のようなという例えが使われるようで、確かにあっさりした軽い「チーズ」だ。
リコッタチーズの作り方も、ラバネ同様、簡単だ。鍋にいれた乳清に牛乳を加えて熱し、優しくかきまぜる。分離してどろどろになったら、キッチンペーパーなどでこして、しばらくおいてぎゅっと絞って水切りすれば出来上がり。ここでまた乳清が出るので、またリコッタチーズの材料にすることもできる。
水切りヨーグルト(ラバネ)製造過程で出る乳清(ホエー )を使い、リコッタチーズ作りに挑戦。牛乳を加えて熱し、充分に分離したら、こして絞る。牛乳は岩手県の岩泉龍泉洞牛乳を使用。乳脂が比較的強く感じられ、中東で食べたものに比べ、コクとうまみのあるリコッタだった。ここでもまた乳清が出た。 pic.twitter.com/cFa0wt0mSd
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) November 11, 2019
岩泉町の岩泉竜泉洞牛乳を使ってみた。リコッタは本来、「あっさりした」味だが、ラバネに比べると、乳脂分がしっかり感じられる感じもした。もちろん、水切りヨーグルト同様、時間経過や、牛乳の「鮮度」によって味が変わってくるのかもしれない。
ラバネとリコッタチーズ。岩手の素晴らしい乳製品を中東風にアレンジし、一味違った形で楽しむ方法の一つとして紹介してみた。
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