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日本でヒヨコ豆料理がますます存在感を増しているわけ
最近、ヒヨコ豆をやたらと目にすることが多い。英語でCHICKPEAS、アラビア語ではホンモスと言い、主に中東地域で食べられる食材だと思っていた。それが、日本で、ヒヨコ豆を茹でてペーストにした、その名も「ホンモス」(日本ではフムスということも多い)や、ペーストの素揚げ「ファラーフェル」、あるいは「ヒヨコ豆カレー」などというのを提供するレストランにも出くわすようになった。
日本の居酒屋のお通しで、ヒヨコ豆が鰹節と一緒に出てくるとは。京王線千歳烏山の横丁の居酒屋で。 pic.twitter.com/WZ03OYIcgX
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) March 21, 2017
果ては、和風居酒屋のお通しにも出てきたりする。これは、一種のブームといっていいのではないか。まず、本場の中東でどのように食べられているかをみてみよう。
ドライトマトで飾りつけ。中東料理に欠かせない名脇役、ホンモス。ひよこ豆のペースト。東エルサレムのホテルの朝食 pic.twitter.com/yJkOzeriOE
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) March 8, 2015
ホンモスは中東でとてもポピュラーな前菜だ。「ホブス」とか、「アエーシュ」とか、「ピタ」と呼ばれる薄く丸いパンですくって食べる。朝食の定番でもある。
ひよこ豆のコロッケ「ファラーフェル」。ヨルダンのものはボール状で小型だった。首都アンマンのホテルの朝食で pic.twitter.com/6uCkORLwqB
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) July 5, 2016
ファラーフェルは、アラブ圏のファストフードの代表格ともいえる。これも薄く丸いパンの中に野菜などと一緒に詰めてサンドイッチにして食べる。
中東のファストフードの代表、ファラーフェルを揚げる様子。ひよこ豆のコロッケ。みごとに粒ぞろいで等間隔に並ぶ。一個試食、カラッとしていた。ヨルダン川西岸ベツレヘムの聖誕教会へ向かう道のサンドイッチ店 pic.twitter.com/Dfyxepw9CA
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) March 9, 2015
店の前に揚げ機を出して、ファラーフェルを店頭売りしているところもよくある。
アラブ式豆コロッケ「ファラーフェル」やパセリのサラダ「タッブーレ」。カイロのナイル川の中洲の突端にあるカフェレストラン「セコイア」。悠久のナイルの流れを見ながらアラブ料理が楽しめる pic.twitter.com/onJvci1CsE
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) March 30, 2015
エジプトでは、平たい形にして揚げるのが一般的。ただし、エジプトでは、ヒヨコ豆よりも、緑色のソラ豆を使うことのほうが多い。これは「ターメイヤ」と呼ばれる。
中東で広く食されている豆コロッケ。エジプトではターメイヤと呼ばれ、そら豆を使う。中身は鮮やかな緑色。シリアなど東地中海地方では、ファラーフェル(ファラフェル)と呼ばれる。ひよこ豆を使うので中身は黄色。ベジタリアンが浸透する中、この二大中東コロッケ、日本に浸透していきそうな予感。 pic.twitter.com/OhRoIIDJrF
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) December 6, 2018
パンにはさむと例えばこんな感じになる。エジプト・カイロで食べたもので、アエーシュ・バラディ(地元のパンの意味)にターメイヤ(ソラ豆)をはさんだサンドウィッチ。野菜をたっぷり加えたり、「タヒーナ」(日本では「タヒーニ」と呼ばれているようだ)というゴマを使ったソースをつけたりもする。
エジプトのファストフード決定版、ターメイヤサンド。豆コロッケのサンドイッチ。これで2ポンド、約30円 pic.twitter.com/XbtplD7Gxs
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) October 28, 2013
ついでに、エジプトでは、B級グルメの王(ファラオ)と呼ばれるコシャリというなんとも形容しにくい食べ物にもヒヨコ豆が乗っていることもある。
エジプトが誇るB級グルメ「コシャリ」。ヒヨコ豆、レンズ豆、揚げタマネギ、マカロニ、ライス。トマトソースをかけてかき混ぜる。カイロのダウンタウンのチェーン店「サイード・ハナフィー」にて pic.twitter.com/xuvn5MLUEq
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) November 13, 2015
中東で、これだけポピュラーなヒヨコ豆。日本でも、ホンモス(フムス)、あるいはファラーフェルの材料として使われることが多い。日本での特徴としては、「絶対菜食主義者」(ヴィーガン)向けの食べ物として推奨されていることが多いことだ。これは、恐らく、欧米の食の潮流が日本にも入り込んできているためだろう。
中東ファストフードのファラーフェル(ひよこ豆コロッケ)が、日本でヴィーガン(絶対菜食主義者)向け料理として人気がある模様。タヒーナ(ごまペースト)をかけたりしてピタパンにはさむのは本場と同じ。確かにケバブサンドと違い肉なしだから、こんな売り出し方もある。東京・中目黒のBallonという店で。 pic.twitter.com/ljogZXAZEG
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) September 22, 2018
東京・中目黒の「Ballon」という店の看板には、「100% Vegan」と書かれていた。
東京・神泉にある「クンバドゥファラフェルで、ひよこ豆ペースト「ホンモス」付きのサラダプレート。あえて、ひよこ豆コロッケ「ファラーフェル」は入っていないものを。「クンバ」とは、東アフリカの言語のスワヒリ語で「創造」の意味。9年前に開業した日本のヴィーガン食堂の草分けだけに妙に納得。 pic.twitter.com/SCHwgie0T8
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) December 3, 2018
東京・渋谷に近い神泉にある「クンバドゥファラフェル」は、開業から約10年と、ファラーフェル・ホンモスの店としては老舗の部類に入る。Vegan向けと明確に銘打ってはいなかったと思うが、メニューに肉や魚を使ったものは、なかったと記憶している。
無農薬や各地の在来種の野菜を素材にした、トルコやアラブ料理の前菜「メッゼ」(メゼ)盛り合わせ。ヒヨコ豆ペーストのフムスは、普通とアボカド入りの2種が添えられる。豆コロッケのファラーフェルはフィンガーサイズ。大阪の「フィルクトゥミエール」。ヴィーガン対応。東京にもこんな店があったら。 pic.twitter.com/Xok55vFYnH
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) November 11, 2018
大阪の「フィルクトゥミエール」は、無農薬や在来種の野菜の使用を売りにしている。土が生み出した自然の味を堪能するというところに主眼を置いているようだ。上記の3つの店は、ベジタリアン向け料理の「核」としてファラーフェルとホンモスが使われていることは明らかだろう。
中東の定番ファストフードといえば、ヒヨコ豆コロッケ「ファラーフェル」。クリスピーな食感は、ゆでた豆の一部を完全につぶさず使うから。世界の料理を日本で再現する「セカイキッチン」さんが調理。花のお茶「ズフラート」、中東風にいれたイエメン産コーヒー」も。東京・銀座「ミシュミシュ」にて。 pic.twitter.com/xNRcPCXdwd
— カフェバグダッド (@cafebaghdad) April 21, 2019
東京・銀座の中東料理店「ミシュミシュ」では、ファラーフェルを、中東式でいれたコーヒーや中東風ハーブティーと一緒に食べる、というイベントも行われていた。この料理店では、普段もファラーフェルやホンモスも提供しているようだ。
ホンモスやファラーフェルは、日本でまだまだなじみの薄い食べ物だが、急速に多国籍化している社会の中で、これからさらに日本の食生活に入り込んでいくことなるだろう。東京新大久保の「イスラム横丁」と呼ばれる通りにある食材店などでは袋入りの乾燥ヒヨコ豆が売られたりもしている。日本でも、中東料理の枠を突き抜けて当たり前の食べ物になる日も近いかも知れない。
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