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私が一番難しいと思っているコーヒーの飲み方

職業上、コーヒーについて考えることが多い。
特にコーヒーは一般的にどのように飲まれているのかは興味があるところだ。

私が想定しているのは以下の飲み方だ。

1   食事(パン、菓子類)をしながら飲んでいる
2   仕事をしながら飲んでいる
3    読書をしながら飲んでいる
4    会話をしながら飲んでいる
5    スマホやテレビを観ながら飲んでいる
6    何もせず、ただ飲んでいる

この中で私が唯一やっていないのは、6番の「何もせず、ただ飲んでいる」という行為だ。

「休憩して、コーヒーでも飲もうかな」と思って飲んでいるときも、何となくスマホはいじってしまう。
思うに、この中で最も能動的にやろうと思わないとできないのが、「何もせず、ただ飲んでいる」という行為ではないだろうか?

これは何も「丹精込めて作った私のコーヒーを集中してちゃんと味わえ!」と言いたいのではない。
むしろ、珈琲屋は「コーヒータイムの価値」も提案していかなければいけないと思っているのだ。

現代人は忙しすぎると、よく言われている。
あなたは1日の中で何もしない時間を持っているだろうか?

そこで提案したいのが、コーヒーを飲むときは何もせず、「ぼーっとする」という習慣だ。

これは座禅や瞑想に比べてもハードルが低いと思われる。
美味しいコーヒーを味わいながら、心もリラックスすることができる。
考えごとを整理したり、新しいアイデアが浮かんでくるといった副次的効果も期待できる。
1杯の熱いコーヒーを飲むだけの時間という尺度もできる。

私の子供時代は「ぼーっとする」は悪いイメージとして捉えられていた。
「あいつはいつもぼーっとしている」とか「ぼーっとしてないで集中しなさい!」など。
しかし、スマホを手にした今の時代は、何もせず「ぼーっとする」時間を失ってしまった。
そう考えると、悪いことどころか有益な時間とさえ思えてくるから不思議なものだ。

皆さんも試していただきたい。家で「ぼーっと」しようとすると、何か落ち着かない気持ちになってくる。結局は数分も経たないうちにスマホに手が伸びてしまう。
気づけば我々は、「ぼーっと」できない体になってしまったのだ。

一体どうすれば「ぼーっと」コーヒーを飲むことができるだろうか?

お客さんに「何もせずに、ぼーっとコーヒーを飲むことはありますか?」とアンケートしてみた。すると、ほとんどの人がしたことがないという。
しかし、一人のお客さんが「アウトドアでコーヒーを飲むときは、何もせずぼーっと飲んでます」と教えてくれた。

なるほど、確かに自然の中であればできそうである。
登山の山頂で飲むコーヒーや、キャンプで焚き火をしながら飲むコーヒーは他に道具や会話を必要としない。「ぼーっとする」こと自体が目的とさえ言える。

もっとヒントになるものはないかと、「ぼーっとする」で検索をかけたところ、「ぼーっとする大会」というものが現れた。「ぼーっとする」ことを競うらしい。

昔は当たり前にあったことが、現在では商品やイベントになるというのはよくあることだ。
水やお茶をペットボトルで購入するのが当たり前になったように、「ぼーっとする」のもイベントなどで意図的にやろうとしないとできない時代かもしれない。

「ぼーっとする」のに有効なのは、「屋外」と「適度な強制力」ではないだろうか?

登山やキャンプとなると尻込みしてしまうので、もっと手軽な場所で簡易にぼーっとしてもらいたい。
近場のぼーっとできる場所で、ぼーっとできるメニューを用意し、ぼーっとするという目的のためにきてもらう。

なんか、いいではないか!

妄想はどんどん膨らみ、まずは「ぼーっとコーヒーを飲むイベント」を企画したいと思い始めた。
場所は静かなお寺の境内や公園などの自然を感じられる場所がいい。スマホは待たずに一定時間過ごしてもらうなど強制的に「ぼーっとする」ルールを決めると効果的だ。

こういった「ぼーっとする」啓発イベントで、ぼーっとしてもらう習慣を広めていき、ぼーっとコーヒーをたくさん飲んでもらえれば、ぼーっとしていてもコーヒーが売れていくようになるかもしれない。

さて、いつやろうか?どこでやろうか?どうやって時間を作ろうか?
毎日パンパンのスケジュールを調整しないといけない。

ぼーっしてもらうために、私は一層忙しくなりそうだ・・・


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