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仕事とクッキーはサクサクに限る

タイトルは私の脳内に流れ込んできた言葉だ。
これをきっかけに、その日の仕事中の脳内会議の議題が決まった。

経緯を話すと。
いつもより順調に仕事が進んでいた日だった。
今日はサクサク進んでいるなぁと皆で話していた直後、私の頭の中では瞬時にそれがクッキーと繋がっていた。
多分FF14のせい。とある戦闘中の演出で、コーヒークッキーがサクサクでおいしいというような台詞が出てくるのだ。
こういった勝手な連想は私の脳内では頻繁に起こる事であり、おかげで会話があちらこちらに飛ぶこととなる。
今回は『サクサク』がキーワードであったというだけの話。
そして脳内会議をしながら仕事をするのはいつものことだ。


タイトルの言葉の次に浮かんだのが、この例えは本当に正しいのだろうか……という疑問。
牛乳に浸してふやかしたクッキーはおいしい。
これではサクサクに限るということにならないのではないだろうか。

ならば他のもので例えられないか。
サクサクだとおいしいものをいくつか挙げてみた。
ビスケット、天ぷら、おせんべい。

ビスケットもまた、牛乳に浸すととてもおいしい。
しかしそれ以前にビスケットは、アメリカではやわらかいものだという認識らしいのだった。
単体で既にサクサクではないビスケットは除外することにした。

天ぷらはどうだろうか。
これについては天ぷらうどんを思いついてしまった。
おつゆでひたひたになった天ぷらもまた、おいしいものだ。

それではおせんべいはどうだと思ったのだけれど、濡れせんべいがあるじゃないか。
なかなか食べられないけれど、出来立ての濡れせんべいをまた食べたい。


……なかなか良い例えが見つからない。
もう一度クッキーに戻ろう。
そもそも何故牛乳でふやかしたクッキーはおいしいのか。
ミルク感とほろほろした食感。
クッキーだけでもおいしいけれど、牛乳を足すことで更においしさを増す。
もしかすると、ここでいう牛乳とは付加価値なのではないか?

そうなのだとすれば、天ぷらうどんもまた同じなのではないか。
この場合、おつゆが付加価値。
濡れせんべいならば醤油などのタレが付加価値となる。


では仕事はどうだろうか。
サクサクでない状況に付加価値となるものはあるだろうか。
私の考える限りは思いつかなかった。

となると、付加価値のない状態を考えねばならない。
それは単純に、しけたクッキー・天ぷら・おせんべい、となるだろう。
この中で一番例えに適しているものはどれになるのか。


そして考えたのが、それぞれの可逆性。
仕事は熱となるものが加われば、再びサクサクと進められることも多い。
同じように、熱を加えてしけた状態から元に戻るものはどれか。

……全部戻るのでは?
多分全部戻るよな。戻し方あるよな。
強いて言うなら「熱」を加えるということを重視して天ぷらになるか。
では、一番適しているのは天ぷらという事にしよう。


ここまで考えたところで定時が近付いてきたので、少し余った時間で思考の結果を職場の仲間たちに披露した。
おあとがよろしいようで、と笑われた。
漫談か何かだと思われたらしい。
「しけた天ぷら」という言葉の語感は何故かとても気に入られた。


今回の脳内会議の結論。
『仕事と天ぷらはサクサクに限る』。


ただ、その「しけた天ぷら」が好きな人はいるらしい。
なので異論は認める。




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