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「きのう、何読んだ?」2024/6/1〜2024/6/7

週末の読書会でぶわっと花開いた気持ちを引きずり、本を読み続けた一週間。参加メンバーは博識&本読みで、何を話していてもぽんぽん書名が出てくるのでチェックするのが大変😚

『葬られた本の守り人』2024/6/1読んだ本


いつものカレー屋さん。今日はチーズナン🧀

「きのう、何読んだ?」

土曜日は読書会。一年前から始まったこの女性6人の会は、いつも満足と渇望を同時に感じさせてくれる貴重な集まりになっています。

今回の課題図書は石牟礼道子さんの『苦海浄土 わが水俣病』。土地に根ざした書き手、資料としての本の価値、不条理な苦境に置かれたときの人間性…。そんなことを考えながら読書と思考の時間にどっぷり浸かり、打上げの後帰宅してからも原稿仕事はほっぽり出して本を読んでしまった。

今ぴったりだと思って開いたのは最近発売されたばかりの新刊、『葬られた本の守り人』(ブリアンナ・ラバスキス著、高橋尚子訳/小学館)。

ホロコースト×本×シスターフッドという、タイトルと概要を読んだだけで『読まずにはいられない(※これは北村薫さんのエッセイ)』一冊。読み始めてみると思ったよりロマンチックな要素も強い物語で、美しい大河ロマン。

物語の舞台は3つ。そして主役の女性も3人。

1933年ベルリンにて、ナチスに招かれたアメリカ人の気鋭作家アルシアは、ナチズムを支持する若者たちの焚書の現場に立ち会うこととなった。1936年パリにて、ナチスから逃れるためにパリに来たユダヤ人ハンナは、「焚書された本の図書館」で働く。1943年ニューヨークでは、戦争に行った兵士に本を送る活動をする兵隊文庫の図書審議会員のヴィブが、検閲を推し進めようとする議員に対抗する策を練っている。「本への迫害」と闘う3人の女性が、時を超えて繋がる物語。

昨年ベストブックに選んだ『あの図書館の彼女たち』を思い出しました。戦争という極限状態で本や言葉はどんな力を持つのか、戦時と平時それぞれにおける本の意味とは。私が参加している読書会だって、情勢が大きく変われば違う意味を持つようになるんだろうな。

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『幸田文 きもの帖』2024/6/2読んだ本


つかれてるのにねむれない

「きのう、何読んだ?」

遅くまで働いてしまうと、頭がカッカしてなかなか眠れなくなる。眠れないことに焦っているうちに時間はどんどん経っていく…。どこかのタイミングで諦めて起き上がってしまうのが、結局一番いい策だったりしますよね。

幸田文 きもの帖』(幸田文著、青木玉編/平凡社)

そんな風に諦めた夜、もう思いっきり頭を飛ばしてしまう本を読もうと思って手に取りました。

先日の読書会で、「自分は“父の娘”か“母の娘”か」という話題が出ましたが、私は圧倒的に“父の娘”。向田邦子とか幸田文とか好きですねぇと話していたところでした。そして幸田文といえば、着物です。

もう世間では洋装が主流になっていく中、着物を着て通した幸田文。未完の名作『きもの』をはじめとして、本人のエッセイ・娘である青木玉さんによる回顧エッセイなど、着物関連の著書が多数残っています。本書は青木さんが編んだ、幸田さんの「着物語り」。各エッセイの最後に、それを書いたときの幸田さんの年齢が書いてあるのが興味深いです。

着物はどんな心構えで着るものなのか。幸田さん自身が試行錯誤してきた経験と、周囲の着物びとたちの観察から生まれ出づる名語録。帯のしめ心地のこと、羽織姿が美しい商家の奥さんの話、夏の着物の心得…。私は、年齢不詳の百合子さんが無礼な態度をとったお手伝いさんを一喝する話が好き。 

着物を着るようになって、自分に対する探究心が湧いてきました。そして2週連続で着物を着られなかったので、今週末こそはという気持ち🔥

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『曇る眼鏡を拭きながら』2024/6/5読んだ本


小洞天の冷やししぐれ辣麺🍜

「きのう、何読んだ?」

恐るべきことに眠れない夜ニ夜目(一息で言う感じ)。

一人で覚醒しているのが孤独すぎて、でも騒がしい文章は読めなそうで……。選んだのは翻訳家お二人による往復書簡でした。

曇る眼鏡を拭きながら』(くぼたのぞみ・斎藤真理子/集英社)

読書会で参加メンバーから教えてもらった本。ノーベル文学賞受賞作家、J・M・クッツェーの訳者であるくぼたのぞみさんと、韓国文学を多数翻訳されている齋藤真理子さん。共に雪国出身、子育てしながら仕事をしてきた二人が、翻訳への向き合い方、思い出の仕事、コロナ禍での暮らしについて…落ち着いたテンポと静かな声で交わす、ことばのキャッチボールです。

異文化のもとで書かれた物語を、透明に見えるが度が入っている眼鏡を通して日本語に移す仕事。単純にdogを犬に変えればいいというわけではない、非常に微妙で困難な動作が込められているんだろうなぁ。その繊細さが間接的に伝わってくるような一冊でした。

翻訳家さんのエッセイは面白いという定説(ですよね?)はやはり間違っていないみたい。

今日の仕事と明日の仕事の間には、区切りが必要。この本が栞のように、その役目を果たしてくれました。でも今夜は寝よう。

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