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「きのう、何読んだ?」(2024/5/26~30)

出張に行ったり低気圧に苦しめられたり部屋がぐちゃぐちゃだったりした一週間。記録は途絶えがちでしたが、読書は絶好調。

『カササギ殺人事件』2024/5/26(日)読んだ本


神代植物公園でのんびり🌹

「きのう、何読んだ?」

「学びがあるとか深いとかじゃなくて、とにかく面白い本教えて」
「今度旅行するんだけど、けっこう長時間新幹線に乗るから読む本探してるんだ」

そんな人が身近にいたら、迷わずこれをおすすめします!

カササギ殺人事件(上下巻)』(アンソニー・ホロヴィッツ著、山田蘭訳/東京創元社)

「…今更?」と思った人、いますよね。すみませんすみません、なぜか読んでなかったんです…。ミステリはあまりガツガツ読んでなくて…。(言い訳)

2019年本屋大賞翻訳部門第1位
『このミステリーがすごい! 2019年版』第1位

これらの称号は伊達じゃない。寝る前に読み始めたら止まらなくなって、気づけば朝7時でした。上巻で一回区切ろうと思ったんですが、無理でした。下巻の1ページ目で、思わず声が出ましたもん。試してみてください、絶対「は?!」ってなりますから。

ミステリって、読者を驚かせるために「いや、それはずるいでしょ〜」って言いたくなるような仕掛けがあることもままあると思うんです。なんかもう謎やトリックはこの世に出尽くしてる感があって、新作のミステリは「作者と読者のチキンレース」的な偏見が私にはありまして…。でも本作はそれがない。ちゃんと物語の初めから、設定や材料は正々堂々提示してくれています。それでも、下巻で「はい?!」ってなるんです。読者をページから離脱させない、素晴らしいページターナーっぷりです。

ミステリの女王、アガサ・クリスティへの敬意とオマージュがたっぷり盛り込まれた、古典ミステリ好きも大満足の一冊。

とにかく面白いものを読みたい人、久しぶりに読書に没入したい人、騙されたと思って読んでみて👍

一つ忠告、「ぜったいネタバレを先に読んじゃダメ!」

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『本の花』2024/5/28(火)読んだ本


コーヒー持って新幹線駆け込み🚄

「きのう、何読んだ?」

今週のミモレブログにも書きましたが、『カササギ殺人事件』を読んでアンソニー・ホロヴィッツにはまり、立て続けに三冊読みました。

久しぶりに海外ミステリに浸り、本の世界の豊かさを実感。ちょうど出張に行くタイミングでもあり、移動のお供として手に取ったのが、読書という旅に気持ちよく誘ってくれる平松さんのこちら。

本の花』(平松洋子/KADOKAWA )

大人気エッセイストの平松さんは、食や読書、生活のあれこれをイキイキと描く、「暮らしを味わうプロ」。平松さんのエッセイって、身の回りのちょっとしたことに意識を向けてみようとか、美味しいもの食べてにんまりしようとか、明日を生きる楽しみをくれるんですよね。ちいちゃな飴ちゃんくらいのささやかで、でも確かな楽しみ。

本書は、平松さんが読んだ215冊の本を紹介する書評エッセイ。ただ本をひたすら紹介する無味乾燥な書評本とは一味も二味も違う、「本と著者の距離が近い」一冊です。

何を隠そうワタクシは、「旅行のときには平松洋子」と公言しているほど。(「外の音、内の香」でそんなコラムを以前書きました)ハズレがなく、心が不穏に揺れすぎず、むしろ気持ちよく整う感じ…平松印には絶対的信頼を置いております。

今回も、たくさんの人と社交してザワザワした心を、そっとなだめてくれたのでした。

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『苦海浄土 わが水俣病』2024/5/30(木)読んだ本


小洞天の冷やししぐれ辣麺。読みながら食べてたら旧友に目撃されてたらしい👀

「きのう、何読んだ?」

明日の読書会の課題図書、ぎりぎり読めました…!

苦海浄土 わが水俣病』(石牟礼道子/講談社)

最初に読んだのは学校図書館。司書さんに聞いて探してもらい、席について読み始めたはいいけれど当時の私には恐ろしすぎて、でもせっかく探してもらったし司書さん見てるし…。結局途中からは自宅でなんとか読み通した記憶があります。教科書だけでは分からなかった、壮絶な人々の姿が写し出された歴史的名著。

石牟礼道子さんは故郷の熊本県水俣町で発生した奇病を知り衝撃を受け、現地に通い人々の話を聞き記録を始めます。石牟礼さんは10代の頃から自殺未遂を繰り返していたそうで、本書を書き始めた頃は結婚を機に教職を辞め、主婦をしていたそうです。生死にひときわ深い関心があったであろう石牟礼さん。仲間と水俣市対策市民会議を立ち上げルポルタージュを書き上げたバイタリティに驚かされます。

口がきけなくなり、目が見えなくなり、体がぐにゃりと曲がり、狂人のように痙攣を起こす…。

「いま三人とも地獄におっとじゃろかいねえ」

病気などしたことのない屈強な漁師が、一族を率いていた溌剌とした女性が、野球が大好きな少年が、生まれるのを今か今かと心待ちにされている胎児までも。

化学工場から排出された汚染水を通じて、町の人々は次から次へと地獄に叩き込まれた。遅れに遅れる自治体の対応、保身に走る企業…。方言そのままに語られ綴られる被害者の叫びと、無味乾燥な報告文書や報道の抜粋のコントラストがあまりに残酷で、読んでいて息がしづらくなる。

一方で、石牟礼さん自身が「この本は浄瑠璃のようなもの」と言っていたように、独特のリズムと抒情的なムードが全編に漂う。語り継ぐ、ということの貴重さに胸が震えます。

今週はボロボロだったので、本書を読むのにちょうどよかった。ときに幽体離脱のようになる頭と心に細い声が幽玄に響く…そんな読書体験でした。

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