見出し画像

【Perfect Ends】補足


世界観など

 パラレルワールドの近未来。世の中ではAIや拡張現実の技術が当たり前に使われるようになっている。麻雀においてもその技術をふんだんに使い、パブリックビューイングではまるで、その会場で選手が打ってるかのような状態での観戦が可能になり、古くからあるゲームながら最新技術と融合し、古さを感じさせないスタイリッシュさを演出している。AIは当の昔に人間の実力を上回り、現在では検討に用いられてる。

用語、裏設定解説

 独自用語のみで、ここに書いてある解説は全てフィクションです。

あらすじより

  • 氷見岬

 21歳、中学生の頃から後述のストラテジーゲームにのめりこみ、念願の第2期プロ試験を突破しライセンスを獲得するも、直後にその大元の団体が消失する形で失効。記憶力と逆算能力で、相手の手を丸裸にし、その上で自身が先に勝利条件を満たす盤面を作ることに長けていた。反対に記憶力が活きない短期決戦に持ち込まれると弱い。

  • 氷見岬がプロだった大人気ストラテジーゲーム

 もとは、地方大学のボードゲームサークルが人数が集まるまでの暇つぶしとしてトランプを用いて遊んでいたゲーム。その後卒業生有志らがルールやカードに手を加え同人ゲームとしてリリースしたところ、スマッシュヒットした。やがて演出などに手を加えられ、オンライン対戦可能なゲームとして家庭用ゲーム機で発売されると、そのルールの簡潔さと1試合が長くなりづらいことに加え、状況によって戦略が大きく変わる奥深さと絶妙なバランス調整がウケ人気が爆発した。
 ルールを簡単に説明すると、山札、手札、攻陣(5枚)、防陣(5枚)があり、攻陣のカード1枚使って相手の攻陣を崩すことが可能な他、攻陣5枚を特定の組み合わせにすると大きくポイントが加算される。そのため防陣のカードを上手く使い相手の攻撃をいなしながら、いかに自分攻陣を整えられるかというのが見どころだった。

  • 葉月雪咲

 21歳。現役麻雀プロであり、C2クラス。大垣にあこがれて見る雀からプロになったという経歴を持つが、プレイスタイルが大垣とは反対のハイリスク・ハイリターンな攻撃型。プロデビューはギリギリ高校生のときであり、榊と同期。そこから飛び級含めてストレートでB1まで駆け上がった彼のことを妬んでいるが、わずか3年でC2到達は将来有望である。しかし、いかんせんデビュー時期が近い化け物が大勢いるせいで霞んでしまってる。テレビ対局などもこなし、それなりに固定ファンもいるはずなのだが、全日本ツアー会場内で声を掛けられることがなく人知れず落ち込んでいた。

第一話より

  • Rii-TEC 新東京フューチャードーム

 東京ベイエリアの再開発に伴い建設された、当時最新鋭の技術をふんだんに使った、マインドスポーツの聖地。ポーカーやチェスの世界大会が行われた実績もあり、前述した氷見岬がプロとしてプレイしていたゲームも、ここでタイトルマッチの準決以上が行われることもあって、氷見岬にとっても聖地であった。
 麻雀全日本ツアーはFINALがこの会場で行われることが定番であり、対局中こそパブリックビューイングの形式だが、対局後選手の表彰まで生で行われる。ちなみに、前年度は竜ノ睛がウイニングライブを行ったことでかなり話題になった。

  • 麻雀全日本ツアーFINAL

 元は、麻雀団体が複数あった時代に主要団体4団体のトップが集って優勝者を決める大会だった。各地にマインドスポーツ用の競技場が整えられていくにあたって、全国を巡りながら対局する形に変更。また団体統一後は名人位、賞金ランキング1位と予選を勝ちぬいた1名に出場権が与えられ、もう1枠はVMU(Virtual-Mahjong-Union)内のリーグ1位となっている。
 6節まで、北海道・東北、関東、中部、近畿、中国、四国・九州・沖縄の各会場を巡り1節で4半荘打ち、最終節は東京で1半荘の合計25半荘で行われる。

  • 名人位

 最高の栄誉を持つタイトル。13リーグに全雀士が振り分けられA級の上位3名と前期名人がタイトル戦で競る。詳しくは名人戦の項目で

  • 人間のVtuber

 Vtuberのうち、モーション、ボイスいずれも人間の身体的活動により生成されているものをこう呼ぶ。かつては人間なのが当たり前だったが、コミュニケーションAIの発達により、徐々にAIのVtuberも台頭。24時間365日配信可能なことに加え、超人的な設定もこなせることにより人気を博した。一方人間のVtuberも数は減ったものの、未だ一部からは根強い人気がある。

  • キューブロコン

 発売当初は新世代通信機器として名を馳せた。名前の通り立方体状の見た目をしており、使用目的に合わせて展開する。持ち運びやすいが無くしやすいため、特に眼鏡を付けることに抵抗がない人は、グラス型ウェアラブル端末の方を使用することが多い。

  • 肩を小突くようなポーズ

 第28期名人戦において最終戦の西1局で大垣が山に1枚の9索単騎待ちで猛プッシュの後、あがりを決め、大垣と同年代の当時の名人が優勝を称えると同時に行った行動。対局後意図について尋ねられると、「あの待ちでプッシュしてくる奴のどこが金剛なんだ、身体の硬さか?と思って殴ってみたら全然硬くなかった。あいつを金剛と呼んだ奴は見る目がないと反省した方がいい。今までは、あいつの硬さしか活きない場面しか訪れてこなかっただけだ」と発言した。

  • 顕現

 特殊なモニターにキューブロコンの投影機能を使うことで立体的な画像や動画を映すこと。キューブロコン上では撮った写真を2確認できない(一応床や机に投影して2Dで確認することは可能)ため、撮影スポットや観光地には、こうした顕現用のモニターが設置されていることが多い。

  • 設定

演出:あがりや副露の際に専用の演出が付く
実況解説:ありにするとテレビと同様の実況解説が聞ける
周辺音声:観客やBGMの音声調整
卓音声:対局者が出す音の大きさ調整
同行者音声:あらかじめ同行者設定していた人との会話音声調整。周りがうるさくても会話が可能となる
リアル映像:AR表示されている部分以外の映像設定。光効果減などがある。氷見は人ごみとかが苦手なので、少しでも楽に見て欲しいという葉月の心遣いでなしとなった。
手牌表示:ARでは手牌が対局者の身体によって見えづらいことがあるので、別で撮影している手牌をどこに表示させるかという選択
補助機能:待ち表示や向聴表示など、初心者でも分かりやすいような情報が表示される。
葉月は過去に氷見と別のゲームのドーム観戦に行ったときに、演出や音声が少なめの設定にしてたことを思い出し作中の設定にした。

  • 期待値

 現在の手牌と山に残っている牌より、ツモあがったときの期待値が表示される。ロンあがりや、あがれない場合を含まないので厳密な意味の期待値と異なる。

  • 神童の異名

 榊亮憧の名前の一部から取ったもの。本人は少し安直すぎではというのと成長したらどうするんだと思っている。

  • アビサルディーヴァ

 直訳で深海域の歌姫。初タイトルで海底(最後の牌でツモ)と河底(最後の牌でロン)を3回あがったことから名づけられた。

  • 決着局

 タイトル戦の決着局では一部例外を除いて、今回のように南4局が終わっても試合が続行し、局開始時点で総合優勝だった人があがったり、それ以外の人が流局時不聴だとその時点で終了する。
 これにより、最後まで目なし(優勝条件が残っていない)が発生しない。

第二話より

  • Black Side

 トランプのスートの色由来で黒と赤に分けられている。

  • No.13

 第1期プロライセンス獲得者は12名、第2期のプロライセンス獲得者も12名であるため、No.13は第2期プロライセンス試験をトップで通過した証。

  • 24人のなかでの頂点を決める大会

 優勝賞金8000万円、総賞金1億越えの超ビックタイトル。予選1st(24→12)と予選2nd(12→4)を突破してファイナルに駒を進めた。

  • AIがゲームを完全に解析した

 実際にはある程度条件を絞って探索したため、完全に解析したわけではない。しかし、ゲーム展開上現実に現れる局面すべてについてこの結論が当てはまる。解析開始から発表まで実に6年半の年月がかかっている。

  • 知り合いがやってる麻雀ができるお店

 麻雀bar。オープンスペースに麻雀卓6卓とカウンター席が13個あり、個室も4つほどある。広々としていてゆったりできる代わりに料金はお高め。

  • 高校生プロデビュー

 麻雀はそのゲームの性質上、プロのハードルを上げ、極端にデビューする人間を絞るのは好ましくないと考えられているため、枠数が多く、また幼少期から親しむ人間が増えたため、高校生デビューも珍しくない。そのため雪咲も目立っているとは言えない。ただデビュー後の競争は苛烈を極め、特に大学や就職を機にプロをやめてしまうものも多い。
 そのため雪咲のように大学にも行かず麻雀に打ち込むものは珍しく、一部化け物同年代と比べては劣るとはいえ、着実にクラスを上げてきてる彼女を応援するものは少なくない。

  • Broadvert

 双方向性メディアがほとんどの中で、有名人やインフルエンサーのための発信専用の一方向性SNSとして台頭した。発信側に立てる人間が限られる分、ソートやおすすめ機能が充実しており、ユーザーの満足度は高い。発信者によってはコミュニティーを開設し、閉鎖的であるが双方向性のコミュニケーションも可能。

  • フューチャードームで声もかけられてなかった

 一応薄めのサングラスで変装していたが、ちゃんと気づいたファンはいた(写真撮ってるときなど)。しかし、明らかに仲睦まじい男性と一緒にいるのを見て自粛した。民度がよい。

  • すでに手牌の中で面子が完成している部分の牌を持ってきて、それが要らないものだったら、必ず持ってきた牌ではなく、手牌の中にある同じ牌を切っていた

 いわゆる、手出しツモ切りをしっかり観察していただけにとどまらず、相手の手牌、山のから持ってきた牌すべて、手牌のどこに収められ、最終的にどこへ行ったかを完璧に3局分記憶していたからできた芸当。それを確認するため彼女は1局目の配牌を聞いた。本来なら見えていない情報だが、最終的に彼女の手を通った牌はすべて開示されるため、全ての牌の経路が追えている岬には可能な芸当だった。

  • 2の萬子、4の萬子が2枚、5の萬子、筒子が3,4,5,6で索子は1が2枚と5と9が1枚ずつ。あと読み方わかんない緑色の字牌が1枚

 流石に索子については間違えている。一応雪咲はその間違えに気づいているが、些細な間違えなどどうでもいいくらい、見てもない相手の3局前の配牌を言い当ててくるのは衝撃的。

  • 捨てられた全ての牌がいつ引いてきて、手牌のどこにあったものかを覚えている

 前述の通り。岬はこの技術を既に養っていた。彼がプレイしていたストラテジーゲームは長引くことが多く、山札がプレイヤーによって変わらないため、相手が使用したカードを覚えるほど後半戦は有利になり、加えて彼は伏せカードの位置まで覚えられるため、カード開示が進むほど相手の意図を正確に読んでしまう。
 この暴力的な記憶力で、彼はプロまで上り詰めた。

第三話より

  • 名人戦

 最高峰のタイトル。全雀士がA, B1~B2, C1~C2, D1~D4, E1~E4の13リーグに振り分けられる。13リーグすべてに特徴があるが、上位者が昇級、下位者が降級(C1~C2は降級点付与)ということは同じ。毎回昇級したとしてもAに行くまで最低4年かかり、実力者が思わぬ下位リーグで足止めを喰らうのも少なくない。

  • C2リーグ

 半期で12節+プレーオフの13節で昇級を争う。1節あたり5半荘なので65半荘半年で打つこととなる。今期は120名参加で、2名がPOスキップで昇級、3~30位がPO進出で内6名が昇級、下位1/4にあたる30名に降級点が付与される。
 上位1/15しか昇級できないという厳しい昇級争いに目を向けられがちだが、このリーグ最大の特徴は60代以上の雀士がこのリーグで降級になると即引退、60代未満であっても名人戦の参加資格を失うという厳しい降級争いにある。これはD1以下が仮プロの色が強いのに対し、C2以上は即降級がなく対局料が高く、参加可能なタイトルも増えるいわば一人前のプロという意識があるからである。
 参加資格を失っても他のタイトルで所定の成績を収めれば復帰可能である。

  • プレーオフ

 リーグ戦成績上位者のみで争う昇級争い。B2リーグ以下で行われる。1節5半荘で、誰と当たるかがそれまでの順位で自動的に決まる。また1半荘ごとに下位成績者が脱落となる。C2の場合6枠の昇級を28人で争い、毎半荘4人ずつ脱落、最終半荘は12人での争いとなる。

  • 放送対局

 C2リーグ以上の対局やタイトルの本戦では、その日に行われる対局の中から注目度の高い1卓が選出され放送卓となる。放送卓ではカメラや視聴者への配慮などの都合上所作が変わるため、慣れていないとやりづらい。
雪咲は斎藤光への注目度の高さから放送対局に選出されたと思っているが、元A級の五十嵐、目立った実績はないものの、70回以上C級で残留を決めている大石など、見る人が見れば注目の卓であり、そして何より若干21でC2に所属し今季も好順位につけている雪咲も放送卓選出の要因にはなってる。

  • D1リーグ

 四半期で5節+プレーオフの6節で昇級を争う。毎回200~多いときで300人くらいが参加し、昇級枠はたったの6枠。これは全リーグで最低の昇級率である。四半期開催であるD1以下に比べて、C2以上は半期開催であるためこのようになっている。D1以下は半人前とみなす文化があるため、ここが一人前と認められるための最終関門となっている。
 D1が狭き門になって以降、数多くの実力者がここで煮え湯を飲まされ、将来有望とされていた人物でさえもこの壁を破れず立ち去ったことがある。
 なお、C2リーグの項目で、参加資格を失っても他のタイトルで所定の成績を収めればC2に復帰可能であると述べたが、この所定の成績を収めればD1以下でもC2にジャンプアップできる。しかしC2に一度でもタッチしていないと参加できるタイトル戦が限られるため難易度は高い。

  • 20代後半でプロ入りした人のD1突破は8年ぶり

 麻雀を幼少期から触れる人間が増えたことや、プロ入りの若年齢化により20代後半のプロ入りだったとしても、遅いと見られ実際、斎藤光もプロ入り直後は厳しい目を向けられていた。しかしこの快挙を達成したことで世間の目も変わり、今や注目選手の一人となっている。
 なお、8年ぶりなのは20代後半でプロ入りした選手に限る場合であり、60代で会社を退職したアマ強豪が、アマでの成績を引っ提げてプロ入りしD1を突破するということはわりとよくある。

  • 大石賢太

 66歳。C2在籍期間は堂々の1位であり、年々あがっていくC2のレベルに振り落とされず40年近く在籍していることはかなり評価されている。彼と同期の人間は軒並み引退しており、自身も一昨年降級点を取ったことからそろそろ引退かと観念はしている。が、長年培ってきた土壇場での勝負術は他の追随を許さず、彼のC2門番としての地位を確固たるものとしている。

  • A級

 名人戦リーグ最高峰のAリーグに所属するたった12人の雀士のことをそう呼ぶ。1000人以上いるプロの頂点の12(名人含めて13)人であり、実力は全員が折り紙付きの化け物。その12人で年間25節100半荘を闘い、上位3名が名人への挑戦権を得て、下位3名は即降級となる過酷なリーグである

  • 降級点

 C1とC2に存在する制度。下位でリーグを終えると降級点を付与され2点貯まると降級。降級、昇級、PO進出で消去ができる。これによりC1~C2は最低でも2年間は在籍できる。

  • 高田笑蘭

 22歳でC1に所属している。彼女より若いC1以上のプロは数えるほどであり、将来を期待されている1人である。プロ入り自体は亮憧や雪咲より2年早い。変わった人ばかりの同年代のなかで雪咲が仲良くできる数少ない友人であり、笑蘭にとっては雪咲は世話の焼ける後輩である。

  • 大人用お子様ランチ

 コンビニで売っているもの。少々お高めだが満足感はすごい。

  • ランチゼリー

 一食分の必須栄養素、ミネラル、ビタミンを効率よく摂取できるゼリー。性別、年代、味によって細かくシリーズ化されており、麻雀打ちにとっては対局中でも片手で素早く摂取できるため重宝される。

  • シリーズは第四節くらいには終わった扱い

 第四節までの16半荘で既に竜ノ睛が500ポイント近く2位と差をつけており、事前予想から圧倒的と評されていた竜ノ睛がこの差をつけたことで、この時点で逆転はほとんど絶望視されていた。

  • 最強位アマ予選

 タイトル戦の1つ最強位はアマチュア枠が用意されており、予選を勝ち上がり本戦、決勝で好成績を収めることで出場権が得られる。そのためアマ大会では最も盛り上がる大会である

  • アマ予選だと得点計算は卓がする

 現在アマ大会や雀荘などでよく使われる卓は牌ごとにICチップが埋め込んであり、あがりを認識すると牌姿から得点を計算し、点数移動までを自動で行う。対局後には各局の牌譜まで見ることができる。プロの対局でもほとんどがこのタイプの卓だが、一部放送対局やタイトル戦の本戦以上など公式に牌譜を獲る記録係と立会人を取れる対局のみ、昔ながらの自己宣告制によるあがり点確認と点棒授受が行われる。

  • 東京予選

 5thレグ、10日程が用意され、うち3つのレグでポイントを獲得することで本戦への出場権を得られる。
 2着以上を勝ち、3着以下を負けとして。各レグ3敗するまでに3勝でポイント獲得となる。条件は割と緩いため本戦出場権は得やすい。

  • 教えて1ヶ月でアマ予選勝っちゃうんだ

 前述した本戦出場権は得やすいと矛盾するようだが、この大会は予選の時点で実力者が多く、初心者で突破する例はほとんどない。

  • 21でC2なら十分

 どんな実力者でもD級突破に時間がかかることがあるため、二十代前半のC2は上澄み。焦っている雪咲がおかしいのである。が、雪咲からしたら、A級やタイトルを獲ろうと意気込んでいる人間がC2に2年も3年もいて良いわけがないと考えているため、焦っている。同年代ながらこのハングリーさに笑蘭も多少刺激を受けている。

  • A級で待ってるよ

 とんでもない大言壮語。廊下で歩いている最中にこれを聞いてしまった大石はびっくりして思わず苦笑いしてしまった。と同時に同じクラスにいながら、若さゆ、えまだまだA級を明確に夢見て挑める2人のことをうらやましいとも感じたはずだ。
 実際、笑蘭も雪咲も、これまでの戦績から考えるといつかA級にたどり着けてもおかしくない逸材ではあるが、それでも大言壮語になってしまうくらいには道のりは険しい。

  • B1の田中さん

 B1に長く在位する実力者で解説の腕は絶品。落ち着いた渋めの声が魅力で、選手の打牌意図を余すところなく拾うことを得意とする。

  • shINe

 色でつながるSNSをコンセプトに開発された、メッセージアプリ。あらかじめ、やりとりをしたい人間と色の取り決め(青色は悲しいことのような喜怒哀楽と色を結び付けたり、黄色はすぐ返信して欲しいのように重要度と色を結び付けたり)をし、メッセージを送信する際、色を設定することで、メッセージと受信共にキューブロコンがその色に光り出す。
 岬と雪咲は赤を嬉しいとき、青を悲しいとき、緑を電話して欲しいとき、黄色を何かいつもと違う連絡をするとき、白をなんでもないときや返信という風に設定している。

第四話以降の展開

最強位アマ本戦編

 最強位アマ東京本戦、岬は早々に敗者となり、裏街道と呼ばれる敗者復活戦に回り1日で6半荘というを戦い抜きどうにか2日目に進出した。その夜、岬の元に1人の人間が訪れる。京角俊樹、かつて麻雀プロを目指していたが育成会すら抜けられず、岬と同じゲームのプロとなった男。彼も東京予選の2日目に進出していた。
 岬が初めて数か月のド素人という事実に激昂し2日目で叩きつぶすと宣言。そうでなくても岬の噂は2日目に残った強豪の面々に届いており、徹底的なマークされる予感があった。それでも岬は自身の能力を信じ、卓につくのであった。
 一方、雪咲は3年連続のPOを決めたものの、1半荘目の足切りラインですら普通のトップでは足りないという非常に厳しい状況にいた。しかし明確な苦境に立たされて、初めて彼女は自身の強さに気づいていく。

四大タイトル編

 最強位アマ本戦決着後、岬はプロ試験に合格し、新たなプロ生活の一歩を
歩み始めた。名人戦E4リーグ、クラッシク8組B、最強位1次予選、紅龍位1次予選、新人が最初に挑むこととなる対局が次々と押し寄せる環境に戸惑いながら確実に勝利を重ねていく。
 雪咲はC1リーグへの昇級を収め、他タイトルでも抜群の好成績で勝ち進んでいく。迎えた最強位予選決勝を勝ち残り、初の本戦を決めた。本戦抽選会、強豪の名前がずらっと並ぶ中、彼女が引き当てたのは大垣のいる卓だった。「プロになりたいのであれば、僕にあこがれるのではなく、僕に勝ちにくるつもりで挑んでください」と10年前に言われた言葉を思い出し、今までとは全くレベルの異なる闘いへ身を投じる覚悟を決める。

新人王編

 タイトル戦本戦入りを決めた雪咲にとって、規定で最後の出場となる新人王戦。そして岬はこれが最初の新人王戦。お互いに違うブロックに分けられ、直接当たる可能性があるのははるか遠くの決勝。互いに相まみえることを望み、長いトーナメントを勝ち上がっていく。奇跡とも言える2人ともの決勝進出を果たし、初めて公式での対局が実現する。そしてその対局は想像を絶するほどの血みどろの戦いとなるのだった。

地上の地獄編

 新人王戦から1年、岬はD1リーグへの昇級を決める。参加人数に対し、少なすぎる昇級枠を前に、第1節終了時点で事実上の昇級争い敗戦すらあり得る戦い。毎試合毎試合なんとか昇級の目を残そうとするライバルたちを蹴落とすうちに勝利に恐怖を抱くようになってしまった岬。恐怖によって些細な選択を間違えた岬は、あっという間に蹴落とされる側になってしまう。どうにもならない状況で、彼はC2のPOのときの雪咲を思い出し最終節に挑む。
 雪咲は、B2リーグに辿りついていた。最終節、同卓は笑蘭をはじめとして入会前から関係のあった4人。ポイント状況的に4人は大差なく、しかしA級に行けるのはこの中で多くても1人。青春時代から共に麻雀を打ってきた4人での絶対に負けられない1戦が始まる。

タイトル編

 岬は二度目のD1リーグを危なげなく抜け、C2へと辿り着く。新たに全日本プロ予選への出場権を獲得し、あのとき行けなかったドームへの夢を駆け上る。
 雪咲はB1の舞台にたどり着くも、その力の差になすすべもなく、多少の運の良さでなんとか喰らいついていた。そんな中、紅龍戦で初のタイトル戦出場を勝ち取る。自分の実力が追い付いてない状態でのB1リーグ、そしてタイトル戦で心身共に限界を感じつつも、最大のチャンスを逃すまいと鬼気迫る闘牌をみせる。

全日本麻雀ツアー編

 岬は全日本プロ予選準決勝で惜しくも敗退し、来期こそはと決意を新たにする。しかし、全日本麻雀ツアーは来期で最後と告げられてしまう。全日本麻雀ツアーFINALを関係者席で観戦した後、帰りがけに竜ノ睛のマネージャーに引き留められる。全日本麻雀ツアーと同じく、次期で解体になると告げられたVMU最終期で優勝するため、力を貸してほしいと頼まれる。
 タイトルホルダーや賞金ランキング上位が次々辞退したことにより、B1の雪咲に全日本麻雀ツアー出場権が回ってくる。VMUからの相手は家庭用パソコンという縛りの中でも信じられないくらいの実力を発揮する最新AIを搭載したVtuber、AIvyだった。人間側が勝負を避けたと言われ、ツアー自体が盛り上がらず、雪咲は麻雀以外の環境との闘いに四苦八苦することとなる。しかし全日本プロ予選を勝ち抜いた、無名のプロがAIvyに対し互角の勝負を広げたことで、事態は大きく変わっていく。

人間の意地編

 全日本麻雀ツアーは1:3の構図にも関わらず5年連続VMU側の雀士の勝利という結末で終わりを告げた。岬も雪咲も傷をおったまま、竜ノ睛との研究会に赴く。そこで竜ノ睛はAIに勝つために常軌を逸した対局ルールを提案してきた。
 そして開幕したVMUリーグの最終期、竜ノ睛はAIたちに善戦し最後の盛り上がりを見せる。
 岬も最後の全日本予選を勝ち上がり、一足先に全日本麻雀ツアーへの出場権を勝ち取る。
 一方雪咲はA級昇級に向け、他の全ての対局を捨ててまで入魂し、文句なしの首位通過でA級へと返り咲く。

 迎えたVMUリーグ最終局、好順位につけていた竜ノ睛はAIたちの弱点をつき、想像もつかないような大逆転での優勝を決める。プロたちの間では、AIが来るより楽な相手になってよかったと安堵する声が大きかった。だが、ただ一人岬だけは、一番来てほしくなかった相手だと弱音を吐く。しかしその瞳の奥には確かな闘志が揺らめいていた。

頂上決戦編

 全日本麻雀ツアーは予選勝ち上がりの岬と、VMUリーグ1位の竜ノ睛、そして最年少名人となった亮憧に、賞金ランキング1位を加えた4名での闘いとなった。お互いに死力を尽くした勝負はもつれにもつれ、全日本麻雀ツアー初の大混戦で最終節に突入する。

エピローグ

 全日本麻雀ツアーが終わり、竜ノ睛は表舞台から姿を消した。岬はB1に昇級し、雪咲は紅龍戦での初のタイトル獲得を目前にしていた。
 そんななか、岬に一通の差出人不明のメールが届く。
 それは麻雀を完璧に解析したから、この結論を報道機関に流す前に買わないかという、半分脅迫を含むメールだった。岬はそのメールを消去し、紅龍戦の会場へ赴く。雪咲の初タイトルを見届けるために。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?