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地域みらい留学オンラインへの挑戦

地域・教育魅力化プラットフォーム 辻田雄祐

本取材は2020年12月に発行した「2017-2020活動報告書」からのインタビューのWEB版です。活動報告書についてはこちらから
2020年度の地域みらい留学フェスタは、新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となった。参画校が増える中での初の試み。結果的には、7-9月の6日間で延べ約1700組が参加した。企画した地域・教育魅力化プラットフォーム(魅力化PF)の辻田雄祐さんが手探りの中で目指したのは、「偶発的な出会い」だったという。

目指したのは「偶発的な出会い」

 フェスタは、68の参画校と地域みらい留学に興味のある人たちとをマッチングしていく重要なイベントです。準備自体は昨年度から始まっていたのですが、5月にオンラインのみに絞ることになりました。魅力化PFとしても初めての試みだったので、特設サイトの開設から当日のプログラムづくりまで、手探りで進めるしかありませんでした。
最も意識したことは、「偶発的な出会い」をいかにつくるかです。オフラインのフェスタでは「呼び込み」があるので、参加者は、生徒や先生たちの雰囲気を感じながら、いろいろな学校の説明をのぞくことができました。偶然の出会いから実際に進学先を選ぶ生徒も多く、フェスタの価値でもありました。


 オンラインでも偶発的な出会いを生もうと考えたのが、テーマ別説明会です。参画校に希望を聞きながら、「島の学校」などいくつかの特徴でグループ分けし、1コマで3〜4校のプレゼンを聞けるようにしました。1日6コマなので、最大24校のことを知ることができる計算です。参加者に感想を聞いていると、「最初は〇〇高校がいいなと思っていたけれど、より自分に合いそうな学校を見つけた」という声があり、参画校からは「これまで来たことがなかった地域の生徒とつながりができた」という声を聞きました。
地域みらい留学の“裾野”が広がった感覚があります。「自分に合った高校を、全国の中から探し、選んでいく」という世界観がオンラインでさらに進んだと思います。

意外だったのは参画校からの反響が大きかったことです。「ほかの学校の発表を聞くことができて勉強になった」と多くの学校関係者から聞きました。よく考えると、オフラインのイベントではそれぞれがブースで説明しているので、ほかの学校の発表を聞く機会がありません。「ほかの地域の取り組みや教員の思いを聞けてよかった」という声があり、ほかの学校の発表を聞いてプレゼン資料を磨き直した学校もありました。フェスタが高校同士の共学共創の場になったことも新たに生まれた価値です。来年度以降も続けていきたいと思います。

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地域みらい留学は「地域選び」

魅力化PFに入る前は、私立大学の入試課で働いていました。やっていることは近いと思うんです。大学も高校も、入学のタイミングは一年に一度しかない。卒業までその学校にいることを考えると、いかにミスマッチをなくすのかが重要です。どうやったら学校のことをちゃんと伝えられるのか、を考え続けてきました。
魅力化PFで参画校を訪れ、気づいたことがあります。初めての土地を訪れる時、ドキドキする。このドキドキ感はきっと高校生も同じだと思うんです。その学校がどういう教育をやっているかももちろん大切なんですが、どんな人たちが住んでいて、学校の外ではどんなことができるのかも重要な要素。地域みらい留学は「地域選び」でもあるんです。
そう考えると、中学生が「3年間ここに住むんだ」という大きな決断をしているんだ、と気づきました。自らの意志で大きな決断をして3年間学び、都市部にはない価値がそれぞれの地域にはあるということを知っている高校生が増えている。これが全国で起こっているということはとても大きなこと。この形をもっと広げていきたいと思っています。

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辻田雄祐(つじた・ゆうすけ)

2020.12(取材・写真/笹島康仁)

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