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オリラジが好きという話

時折自分の年齢について書いているけれど、私は現在44歳で、ロストジェネレーションと呼ばれる世代だ。

ロストジェネレーションというのは、ザックリ言うと、バブルの恩恵を全く受けず、バブル崩壊から低迷続きで、全く好転しない時代を生きている世代ということになる。

地デジ化も、PCの普及も、全部成人した後だから、デジタルネイティヴでも無い。なんだか非常に中途半端な世代なのだ。

先日観たこちらの動画で「平成というのは丸ごと失われた時代」だと中田敦彦(以下、あっちゃん)は言っていた。バブル崩壊後、他国が軒並み経済成長を続ける中で、日本だけが成長出来なかった時代なのだと。

で、今回は特にロスジェネや平成という時代を語りたいわけではなくて、ただ私がオリラジ=オリエンタルラジオが好きだと言う、それだけの内容です。なのでオリラジ好かんという方には面白くもなんともない内容かも知れません。

オリエンタルラジオは中田敦彦と藤森慎吾(慎吾ちゃん)のお笑いコンビ。2003年結成で正式なデビューは2005年だが、吉本興業のお笑い養成所である東京NSC在学中の2004年に、彼らは準決勝まで進んでいる。そしてデビュー間もなく『武勇伝』ネタでブレイクし、一気に人気芸人の仲間入りをした。正に快進撃といった感じだ。

そこから先の紆余曲折はWikipedia辺りに載っているし、テレビでも本人たち(主にあっちゃん)が語っているので、省略します。

私がオリラジを好きになったのは、ブレイク後の低迷期から抜け出した後だった。リズムネタの部類があまり好きではないので、デビュー間も無いブレイク時の印象はキングコングに近くて(西野さんは今のあっちゃんの師匠的な存在)、「若いのに上手だけど、器用貧乏でちょっと足りない」と感じていた。

そこから低迷期に入るが、個々で慎吾ちゃんがチャラ男キャラでブレイクし、その後あっちゃんが都市伝説やアメトーーク、しくじり先生のトーク番組で本領を発揮し始める。

そしてコンビとしての力が合致し、結実したのがこちら。

ネタ番組で普通にネタをやるのかと思いきや、コレが始まった時の空気感たるや、なかなかに痛快だったし、本当に笑った。

最近でもあっちゃんは、オリエンタルラジオの武器は『歌』だと言っている。『PERFECT HUMAN』はそれ(+ダンススキル)を最大限に活かしたネタ(?)だ。歌詞はあっちゃんの自尊心の強さをイジったような内容で、書いたのは慎吾ちゃん。秀逸で、満点の歌詞だった。パクリ論争もあったけど、当時はカラオケでも聴かない日が無いくらい、大人にも子供にも受け入れられた。

ある時期から二人はほとんどピンで活動しているし、コンビ内の上下関係もハッキリしているけれど、コンビとして活動する時には、やはり慎吾ちゃんの歌の力をオリラジの重要な武器として捉えている。

しかしながら、その武器は『芸人』という括りでは認められ難い部分があり、衝動的に動く癖もあるあっちゃんは、ダウンタウン松本人志に牙を剥くという御法度をやらかした。

現在のお笑いの業界において、松本人志という価値基準は、間違い無く絶対的な存在だ。大袈裟じゃなく、今の吉本興業の隆盛も、全国ネットを関西の芸人が席巻しているのもダウンタウンがいたからで、吉本興業の現在の幹部は軒並みダウンタウンと関わって来た人ばかり。噛み付いた結果は言うまでもない。

私は完全なダウンタウン世代だし、芸人としてダウンタウンより上は存在しないと思っている。

とは言え、笑いの価値基準が一つになることに対しては、危機感しか無い。松ちゃんが「面白い」と言ったら面白くて、「なんか違う」となったら皆んなが首を傾げる。それって思考停止でしかない。

その最たる例がキングオブコントのにゃんこスター現象だと思う。勿論決勝までは実力で上がった訳だけど、松ちゃんが賞賛しなければ、あそこまで天才扱いされなかったと私は思っている。申し訳ないけど、個人的には全くピンと来なかった。一発屋の典型のように感じていたから。事実、化けの皮が剥がれるのは一瞬のことだった。

中田敦彦は、自尊心と承認欲求のモンスターである。が、なかなか思うように認められない。とにかく認められたい、満たされたいあっちゃんは、前述の事件後、干される前に自ら新しい居場所を探しに動いた。そしてやがて、自分が輝ける場所に辿り着いた。

それがYouTubeだった。

元々一人話芸が上手だったし、授業形式もテレビ番組で慣れている。YouTubeに、そしてその形式に辿り着くまで暗中模索の期間はあったようだけど(当時は芸能人の参入がまだ少なかった頃。芸人は皆YouTubeを敵視していた)、『型』が出来てからは瞬く間に閲覧数が伸び、フォロワー数も加速度的に増えた。

次から次へと動画をアップし、内容も幅が広がって行った。相変わらずアンチもたくさん抱えるあっちゃんでは有るが(私が好む人はアンチがとても多い)、YouTuberとして確固たる地位を確立(フォロワー数は現在500万人超え)。それは芸人の頃に感じることが出来なかった「認められた」という感覚に繋がり、承認欲求も今は満たされているようだ。

そして今、彼らはネクストステージに進んでいる。YouTubeではコンビのオリエンタルラジオとしてテレビ的な作りの番組をスタートさせ、しばらく遠ざけていたテレビにも出始めた(出ただけでヤフコメで叩かれてたw)。たぶんスポットだけど。

2人で出演しているのを見ると、なんでかホッとする。あっちゃんが慎吾ちゃんを必要としているのを感じると、とても安心する。このままそれぞれピンで活動していくのかなって思っていたから。

松ちゃんとの対話についても言及していたけれど、いずれ実現して欲しいし、テレビでもまた観たい。あくまで主役は中田敦彦の番組を。アンチは置き去りの番組を、テレビで観たいなぁと、私は願っている。


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