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9人を信じろ「ラブライブ!スーパースター!!」肯定論:その6


2期の物語 #9 part2

第9話の続きから、改めて始めたいです。
「Sunny Passion」については前回で書き散らしたので、今回は残りの3つの要素である「2年生と1年生」「クゥすみ」「マルガレーテとかのん」を回収していきたいです。

Sunny Passionの敗退を知って、気持ちが落ち込むLiella!。
Sunny Passionが圧倒されたマルガレーテに、今のところのLiella!は勝てる見込みがありません。
そんな中、すみれは可可のことが気になって仕方ありません。
Liella!が結果を残さなければ可可が上海に帰ってしまう、そのことを唯一知っているのはすみれだけだからです。
場所を移したLiella!のメンバーはかのんの喫茶店に集まって、東京大会進出を祝いました。(マンマルケーキに目を輝かす、恋ちゃんが可愛い。そして恋の隣の席に座るメイちゃんもなんか良い)
しかし先ほどの件もあって、素直に喜べない雰囲気です。
ですがマルガレーテが喫茶店に来たことを知らされると、またテンションが変わります。可可、かのん、すみれはそのことに対して素直に驚きますが、夏美と四季は勝つための強硬手段を提示したりします。
(ラブライブ特有の唐突なコント)
当然のように二人の案は却下されますが、それだけマルガレーテが強い敵と思っているのであり、ある種の危機感の表れだと思います。
そして何かを変えないといけないと思っているのは、千砂都も同じでした。
1年生が帰った後、2年生だけで集まって話し合います。


「1年生が?」
千砂都
「うん。動画見てはっきり分かったんだ。まだ私たちとかなり実力差がある」
かのん
「1年生頑張ってるよ。この前のステージだって私たちと一緒のステップできてたし」
千砂都
「それはもちろん分かってる。でも・・・」
すみれ
「できてるのと、勝てるかどうかはまた別の話、ってことでしょ」
可可
「このままでは決勝進出は難しいですか」
千砂都
「多分・・・」
すみれ
「で、千砂都としては1年生に猛特訓させた方がいいってこと?」
千砂都
「どうするのが良いのか、みんなの意見聞きたくて」

「ですが、話したら気にしますよね」
すみれ
「そりゃね。ただでさえ私たちと差を感じてるって言ってたし」
可可
「話さなくていいと思います」
かのん
「可可ちゃん」
可可
「1年生は頑張ってます。今話したらきっと、頑張りすぎてしまう気がします。歌うのが辛くなってしまうと思います」
すみれ
「でもさ、あんた」
可可
「可可は楽しく歌いたいです!」
かのん
「うん。私も賛成」
千砂都
「じゃあ、1年生には言わずに練習メニューの方を少し考え直してみようか」
可可
「はいです!」
すみれ
「・・・」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第9話

この会話シーンから色々な点を整理したいです。
まず、すみれは最初から2年生だけで出場するべきとは考えていないということです。すみれが一番に考えていることは可可が上海に連れ戻されないようにすることであり、そのためにできるだけ勝てるようなやり方にした方が良いと思っています。ですから、この場ではすみれ自身の意見こそ述べていませんが、勝つためには現状を話して1年生に猛特訓させた方がいいと考えていると思われます。
そして、本心では猛特訓させた方がいいと思っているは千砂都も同じでしょう。誰よりもダンスのレベルが分かっているからこそ、このままではいけないことは千砂都が一番良く分かっているはずです。
(このエピソードの最後で千砂都は9人が出れるような猛特訓の練習メニューを最終的には持ってくることからも千砂都の本心が分かります)
しかし、千砂都は強引に自分の意見を押し付けるようなことはしません。まずは一歩引いてみんなの意見を先に聞きます。
恋は1年生に話すべきか迷いますが、可可は1年生に実力差のことを話さない方がいいと言いきります。1年生がそのことを聞いて、頑張りすぎてしまうことを危惧したからです。可可がスクールアイドルを始めたいと思ったのは、上海にいた時の勉強漬けの毎日から抜け出したかったからです。それと同じような体験をスクールアイドルでもしたくなかったと想像します。
1年生に楽しく歌ってほしいことはかのんも同じなので、当然ですが可可の意見に賛成します。
そして、かのんの意見を聞いたからか(?)千砂都は1年生には言わずに練習メニューの方を少し考え直すことを決めるのです。

上手く結論を出したかに見えましたが、すみれは納得がいっていない様子です。可可が自分の境遇を隠し続けることが辛くなっているのではないかと心配します。

すみれ
「いいの?」
可可
「・・・何がです」
すみれ
「ラブライブ!で結果を出さないと上海に連れ戻されるって話は、まだ生きているんでしょ?」
「去年見逃してもらったってことは、今年は絶対結果が必要ってことなんじゃないの?」
可可
「・・・すみれには関係ないです」
すみれ
「関係なくない・・・。少なくともLiella!にとっては大きなことでしょ!そんなにみんなのことが信用できないの!・・・可可!」
可可
「・・・嫌いです」
すみれ
「みんなにちゃんと話したほうがいい」
可可
「できません・・・。可可はみんなと楽しく歌っていたいのです。それが可可が夢見たスクールアイドルなのです」
すみれ
「・・・可可!」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第9話

可可はみんなで楽しく歌いたいと思っていますが、スクールアイドルを続けるためには勝ち進まなければいけないことも当然ながら理解しています。
でも可可は自信の置かれた立場をメンバーの前で話すことはできませんでした。Liella!の中で一番元気で誰とでも距離を近づける可可でも、自分のことを素直に話すことは難しいのです。
その痛いところをすみれに突かれたことで、可可は耐えきれずに「嫌い」という言葉で誤魔化して、その場から走り去ってしまいます。
可可のことを思ったこそのすみれの言葉でしたが、可可は素直に受け取れません。ただここでは、すみれも自分の気持ちを正直には伝えていれません。
可可が上海に帰ることはLiella!にとって大きいだけでなく、すみれ本人が一番帰ってほしくないと思っています。
2人はこれまでお互いのことを表向きは仲悪そうに振る舞っていました。
(本当は仲良いことは、2年生には明白ですけど)
今まではそのようなコミュニケーションの仕方でも上手くやれていましたが、もうそれでは解決できない問題に今回は当たってしまったということです。

みんなと別れた後、かのんは自室でマルガレーテとSunny Passionに関するニュースを見ていました。すると、第3話でもあったようにマルガレーテが突然かのんに会いにやってきます。またしても高い場所からかのんに声をかけたかと思うと、「どうしてこんなところで歌っているの?」と問いかけます。
いきなりそんなことを言われて、当然のように面食らうかのん。
そんなかのんに対して、マルガレーテは本当の歌を教えると言い、ラブライブ!のステージを見下します。
ここでのかのんは第3話と同じように、ラブライブ!をバカにされたことに対して反発しますが、前回が少し自信が無かったのに対して今回は強く言い返します。
優勝候補として自信を失っていた前回と比べて、今回はSunny Passionが敗退したこともあって、マルガレーテに勝たなければいけない状況にLiella!は追い込まれており、かのんの焦りみたいなものも感じます。

ここから物語はかのんVSマルガレーテの構図がより明確になります。
対決の鍵を握っているのはマルガレーテが言った「本当の歌」です。
しかし、ここではその対決姿勢を明らかにすることにとどまり、決着自体は第10話に持ち越されます。

また、少しここで注目したいのはマルガレーテがラブライブ!を否定する発言を行っているということです。
今までのシリーズですと、アイドル活動にネガティブな反応を示すことはあっても(例えば露出の少ない衣装を恥ずかしがったり、聴衆の前で歌って踊ることに抵抗を示す等)、大会としてのラブライブ!やスクールアイドル自体を貶める発言はありませんでした。
(「サンシャイン」の劇場版では鞠莉の母親が確かに言葉では否定していましたが、それはスクールアイドルを否定していたというよりかは鞠莉のことを責める発言としての意味合いが大きいです。
そして街中でAqoursのパフォーマンスを披露した後、母親は娘の言葉を受け入れます。結局、ここではスクールアイドルが問題なのではなく鞠莉の成長を確かめたかったということだと思います)

作中の世界ではラブライブ!を優勝することはとても大変なことであり、そもそも歌やダンスや衣装を作ることのハードルが高く、スクールアイドルを始めて継続することにも大きな価値を持っていました。
そして当たり前ですが、従来の物語におけるラブライブ!やスクールアイドル活動は、登場人物が持つ夢や青春そのものです。それはある種、絶対的に肯定されるべきものとして物語の中に位置づけられていました。
かのんも今までのシリーズの主人公と同じようにラブライブやスクールアイドルを擁護する立場をとっていますが、今までと違うのはそのことをめぐって対立する展開があるということです。
例えばA-RISEやSaint Snowではラブライブ!に真剣に向き合う姿と、それにやや未熟なμ’sやAqoursといった対立構造がありました。ラブライブ!にどこまでストイックに勝ちを求めるのかに関して、従来のライバルたちとマルガレーテには共通する点があると思います。

しかし、ラブライブ!やスクールアイドルを否定して、主人公と対立する同世代としてのライバルはマルガレーテが初めてでしょう。
つまり、ここで描かれているのはラブライブ!やスクールアイドルだけが夢や青春の全てではないということです。
そのことがどんな意味を持つのかは「ラブライブ!スーパースター!!」の物語を追っていくことからはやや外れるので、ここでは詳細を避けます。
これはシリーズ全体の総括で考えるべきものだと思うからです。
この時点で言えるのは、「ラブライブ!スーパースター」の物語において、スクールアイドルは従来シリーズとは違って絶対的なものではないということです。
従来シリーズのようにどんな場合でも最後には肯定されるものではなく、時には別の事柄と対立して否定されなければいけない場面も出てきます。
(先回りしていえば、これは第11話以降の展開になります)
この物語におけるスクールアイドルは決して絶対的なものではなく、相対的なものであるということです。

話を戻しますと、次の日の練習で千砂都はみんなで話し合ったように、新しくした練習メニューを1年生の前に持ってきます。
東京大会に向けて気合が入る1年生ですが、そこへ水をさすようにすみれが話し始めます。可可が上海に連れ戻されることを避けるために、Liella!が勝つ可能性を少しでも上げるために、すみれは2年生だけで次のステージに出場することを提案します。
いきなりの提案に戸惑って、その真意を問う千砂都や恋に向かって、すみれはマルガレーテに勝つにはそれしかないと理由を語ります。
それが理由の全てではないことは、可可はもちろん分かっていますが、昨日すみれに言ったように自分からはここでも言い出せません。
かのんも問い詰めますが、すみれはマルガレーテがSunny Passionを破ったことを理由に付け加えます。
そして、9人から5人への出場が規則の範囲内で実現可能だと言われた後、2年生だけの方が素晴らしいステージを作れると感じてしまい、1年生たちは出場に後ろ向きになってしまいます。

メイ
「私らが休めば」
四季
「2年生だけで、より素晴らしいステージが作れる」
きな子
「ていうことすか・・・」
かのん
「バカなこと言わないで!」
千砂都
「そうだよ。5人だけで出場して勝っても何の意味もない」

「学校のみんなで勝って喜ぶのが目的です」
メイ
「でもさ、負けちゃったらどうするんだよ」
四季
「たくさんの人が悲しむ」
夏美
「それだったら少しでも勝てる可能性がある方が・・・」
すみれ
「・・・。聞いたでしょ、1年生もこう言ってるのよ」
かのん
「すみれちゃん」
すみれ
「勝たなきゃいけないの」
かのん
「私だってそう思ってる。でもLiella!全員で挑まなきゃ意味がない。だって・・・ここにいる全員がLiella!なんだもん!」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第9話

2年生だけの出場に理解を示そうとする1年生に、かのんは一喝を入れて千砂都や恋は5人だけで勝っても意味がないことを伝えます。
ただ勝つのではなく、みんなで勝って喜ぶことがLiella!の目的だからです。
(しかしこの場面、仮に5人でなら勝つ前提で話しているのか、ちぃちゃんは)
しかし9人で負けてしまっては、また同じように応援してくれる人たちが悲しむかもしれません。9人で負けるよりは、5人でもいいから勝った方がいい、そんな考えに1年生は流されそうになります。

ここで再度Liella!に突きつけられているのは、Liella!の目指していることの難しさであり、その矛盾です。去年の敗退から、Liella!はみんなで勝って喜ぶことを自分たちの目標にしました。
ただその目標は1期の終わりの頃とは少し形が変わっています。
みんなを笑顔にするために優勝を目指していることは変わりませんが、2期ではこの「みんな」の中にはLiella!に新しく入った1年生も含まれるようになります。
しかしラブライブ!に勝ちたいのでしたら、経験と実力のある2年生の5人だけで出た方が良いはずです。
1年生をLiella!に加入させることはみんなで喜ぶことに繋がるかもしれませんが、ラブライブ!で優勝するために必要なことではないかもしれません。
当事者の1年生はそのことを誰よりも実感していると思われます。

そんな1年生の気持ちにすみれは心を痛めながらも、自分の言い分に利用してしまいます。
かのんはすみれに詰め寄り、自分も勝たないといけないと思っているがここにいる全員がLiella!なので誰も欠くことはできないと言います。ここでかのんは何か説得力のあることを言ったわけではありません。かのんも具体的な解決方法までは、まだ分からないのです。
ただこれで話が一巡してしまって、状況に変化が起きなさそうなのも事実です。
すみれは可可のことを気にするそぶりを見せ、Liella!の話は一度やめて今度は自分の話を切り出します。
ショービジネスの世界に帰りざくためにここで結果が必要なことを語り、すみれは自分の目的のために、勝ちにこだわることを正当化しようとします。
すみれのこの発言は先ほどとは違って、本心である可可に帰って欲しくない気持ちからはだいぶ離れてしまっています。
すみれ自身が本心ではそう思っていないことは、2期でスクールアイドルについて語った第1話や第3話での姿を見れば明らかです。

ただすみれがここで思わず口走ったことは、「ラブライブ!スーパースター!!」のテーマでもある「私を叶える物語」と「みんなで叶える物語」の問題とも言えます。
それはつまり、「私」を叶えられないのならば、「みんな」で叶えようとすることに意味があるのかということです。
すみれも1期ではセンターで輝くという「私」の夢を、スクールアイドルという「みんな」の夢の中で見つけました。
今回のケースで言えば、「私」の夢を守りたいがために「みんな」であることを否定してしまいます。
しかし、それがかえってかのんの逆鱗に触れてしまいます。昨晩にマルガレーテがラブライブ!を軽視した時と同じように、すみれにも強くあたります。
かのんの中では、「みんな」をないがしろにして「私」を叶えることは自分勝手な行為であり許されるものではないのです。
(ですが、これと似た問題がいずれかのんにも降りかかってきます)

かのんの迫力に結構びびってしまうすみれですが、今さら後には引ける状況ではありませんでした。可可のためを思って自分から悪者になる覚悟はしたつもりでしたが、それでも嘘を貫くことは限界のように思われました。
すみれの言葉を聞いた後、かのんは我慢しきれずにいよいよ、
すみれに一発かますのか!?と思われた一歩手前で可可がそれを遮ります。
可可はやめて下さいとしか言えませんが、その目に浮かぶ涙を見てかのんは手を止めます。
流石にこのまま続けるとまずい雰囲気になると感じたのか、すみれはその場から立ち去ります。

ここまでで振り返れば確かにこの騒動はすみれが引き起こしたものかもしれませんが、可可はすみれだけでなく自分にもその責任の一旦があると感じています。
可可はみんなと楽しくスクールアイドルをしたいと思って、自分の事情をできるだけ表にしないようにしてきました。しかし、そのことを隠し続けたことで(すみれの暴発?を招き)、結果として楽しくスクールアイドルを行う状況からは離れてしまいました。
すみれも本心を隠していますが、それは可可も同じだということです。
結局、本音で話し合わないと何事も問題は解決しないばかりか、積み重なってしまうということです。
そして可可は他の2年生に頼らずに、すみれと向き合う決心を固めます。

一方で1年生の4人は、2年生だけですみれと話し合うと言われても、心配や不安な気持ちは消えたわけではありません。
夏美やきな子は言われた通りにして、2年生だけで解決するのを期待した方が良いと考えていますが、メイはそれで良いとは思っていませんでした。
メイはすみれだけでなく他の4人も同じぐらい勝ちたいと思っていると言います。
どうしたら良いのかと、きな子はメイに聞きますが、メイに逆に聞き返されます。可可と同様に1年生も自分たちで答えを出さなければいけないのです。

すみれが神社で悩みながらも掃き掃除をしていると、聞いて欲しいことがあると1年生の4人が姿を見せます。手を繋いで合唱(?)をすると、2年生だけで出場して勝つところを見せて欲しいと言います。
1年生の答えは自分たちのことよりもLiella!が勝つことでした。
思い出したいのは、第6話で夏美が1年生の4人だけでユニットを組むことを提案した時の3人の反応です。あの時はLiella!の力になれないのならスクールアイドルをやるつもりはないと答えています。
1年生にとってスクールアイドルをやる理由は自分たちのためだけではなく、何よりもLiella!のためなのです。そのことを突き詰めて考えた結果として、Liella!が勝つために東京大会は2年生だけで出場した方が良いと考えたのではと推測します。
(逆に言えば、2年生だけよりも1年生がいた方が、勝てるという話になれば良いだけともいえます。もちろん第10話はそうなります)

1年生にいきなりそんなことを言われたからか、すみれは1年生を差し置いて2年生だけで出場することはできないと言い始めます。
さっきまでと言っていることが真逆なことに1年生が呆気に取られているところに、可可がやってきます。可可は大切なのはみんなで歌うことだと、2年生の中での総意を改めてすみれに伝えると、次になぜ可可が望んでもいないことをするのかと尋ねます。
すみれは雨のシーンの時と違って、可可と一緒に3年間スクールアイドルを続けたいという自分の気持ちを今度ははっきりと伝えます。(すみれを追いかけようとするかのんを止めるために首の後ろをつかむ、この時のちぃちゃんがかわいい)
そして自分が可可に救われたことに対して感謝しており、そのお礼がしたいと言い、勝てないと可可が連れ戻されるかもしれない不安な気持ちを吐露します。
可可もすみれの本心を受け止めて、すみれのことが大好きだと正直に言います。OA見た時、泣きました。

そんな様子を木の影から見ていたかのん、千砂都、恋の3人は何やら意見が一致したらしく、9人出るために練習メニューをまた練り直してきます。

第9話はいろいろありましたが、どういう話だったかと言うと、9人となったLiella!が覚悟を決めて再スタートする話です。
今までの物語で問われていたのは、バランスの問題です。つまり「みんなで楽しく歌うこと」と「勝つこと」のバランスをどう取るかです。
1年生に実力差のことを話さなければ、みんなで楽しく歌いやすくなりますが実力差はあまり埋まらないので勝つことは難しくなります。逆に話して猛特訓すれば、それを気にして楽しく歌えなくなるかもしれません。
はじめは慎重に考えたためか前者の案のように話さないことを2年生の間で一旦は決めます。
その後、すみれは「勝つこと」を最大限に追求する方法として、2年生だけで出場することを提案します。
当然ですが、この案はかのん、千砂都、恋に否定されます。
なぜなら、Liella!は9人でなければ意味がないからです。
前にも話した通り、1期のLiella!を乗り越えるとは、5人から9人のLiella!になることです。その前提条件は崩してはならないのです。みんなで勝って喜ぶとは、2年生と1年生が一緒のステージで歌うことも含まれます。

では、すみれの案を却下して、2年生だけで決めた最初のやり方に戻ることになるかといえば、そうなりません。
最終的には、1年生に猛特訓させる練習メニューを千砂都は持ってきます。
忘れてはいけないのは練習メニューが最初の案から変化していることです。
なぜこの変化が生まれたかといえば、以前とは9人の覚悟が違うからです。
Liella!のために自分を犠牲にする1年生の覚悟、可可と一緒にスクールアイドルをやり切りたいすみれの覚悟、9人全員で歌うことを譲らないかのんの覚悟、すみれの気持ちに真正面から応える可可の覚悟。
第3話までのLiella!は「勝つこと」と「みんなを笑顔にすること」(新入生を加入させることも含まれる)のバランスや矛盾に悩んでいましたが、学校に感謝を伝えるライブを行うことで、一旦は「勝つこと」よりも「みんなを笑顔にすること」を優先することになりました。
解決したかに見えたその問題にLiella!は第9話でもう一度ぶつかりました。
そして、これまでの姿勢のままではLiella!は「勝つこと」が難しいことを実感します。

ですが、各メンバーが譲らない点や覚悟を見せることで、Liella!は再出発を果たします。9人で東京大会に挑む決意を固めて、特訓と称して練習も妥協しないことにします。つまり、Liella!は今までよりも勝つことを目指しながら全員で歌うことも諦めないということです。
2つのバランスを上手く取るという今までのやり方を超えて、
これからは矛盾も抱える2つの目標を同時に達成するということです。

千砂都
「じゃあ、1年生覚悟はいい?」
かのん
「今日から特訓開始するよ。この9人で勝つために」
かのん
「Liella!ー」
全員「スーパースタート!!」

「ラブライブ!スーパースター!!」2期 第9話

第9話はその決意を固めて終了します。
では具体的にどうやって9人のLiella!で、Sunny Passionを破ったマルガレーテに勝つのでしょうか。一見すると無謀な挑戦にも思えますが、第10話ではその回答を鮮やかに示します。
第10話はLiella!に1年生が加入するという2期のテーマにも一旦は決着がつき、2期の物語のピークとも言えるエピソードになっていきます。


疲れたので、今回はここまでにします。
やっぱり、第12話まで進めるのは無理でした。
第9話だけで思ったより文量が多くなってしまいました。

次回は第12話までをひとつにまとめたいです。

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